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試乗・解説

ストリートボブの名前は伊達じゃない。ハーレーは様々な遊び方があるけれども、最も気軽に走り出せるのはストリート。家を出たらもうそこがステージなのだから即座に楽しめるわけだが、そこにピッタリなのがストリートボブだ。
■試乗・文:ノア セレン ■写真:Harley-Davidson Japan ■協力:Harley-Davidson Japan https://www.harley-davidson.com/jp/ ■ウエア協力:アライヘルメット https://www.arai.co.jp/jpn/top.html、KADOYA https://ekadoya.com/

小さい方のミルウォーキーエイトがフィットする

 実は前からこのストリートボブは個人的に大好きだった。最もハーレーらしい、王道のバイクに感じるからだ。ドッカと腰を下ろし高い位置のハンドルにぷらりと手を伸ばし、「はははっ! あーらよッ!」と何だか粋な江戸っ子のように走り出せるような感覚があるのだ。1800ccもあるだとか、270万円するんだとか、そんなことは完全スルー。取り回しのしやすさ、シートの低さなど含めて、気軽さがとても魅力的だ。
 以前のツインカムエンジンが搭載されていたストリートボブもこのような魅力があり本気で購入を検討したほどだったが、今のストリートボブにはミルウォーキーエイトエンジンが搭載されている。しかしその種類は114の方で、排気量は1868cc、ミルウォーキーエイトエンジンの「排気量の少ない方」だ。そう聞くと欲が出て、なんだよ、どうせなら大きい方を載せてくれれば良かったのに……なんて思ってしまうが、走り出すとそうでもなかった。114の方が、ここまで述べてきたストリートボブの気軽な性格にとても良くマッチしていたのだ。

Harley-Davidson streetBOB

独特ポジションがストリートにマッチ

 気軽さだけでなく、ストリートにマッチするように絶妙なチューニングが為されていると感じるストリートボブ。ハンドルは高い位置にあるのに、意外や垂れ角が強く、かつバーエンドは手前に引かれず逆に前方に垂れるような、ちょっと不思議なポジション。このため、こんなに高い位置に手があるのに、握った感じはセパハンチックでどこかスポーティさが隠れている。これに加えてしっかりと尻をホールドしてくれるシートが信号ダッシュを力強く支えてくれるのだ。シグナルグリーンでダン!っとクラッチを繋げば、本当にセパハンのバイクにまたがって加速しているような一体感がある。
 加えて一般交通の中を泳いでいると、バーエンドではなく一般的な位置についているミラーやスリムな車体、114だからこそどんな回転数でもスムーズで扱いやすいエンジンなど、なるほどこれはストリートにピッタリだと実感。ただ交通を捌けるといった意味だけでなく、ストリートでこそ、このバイクの魅力を最大限楽しめるんだな、と感じたのだ。

Harley-Davidson streetBOB

素直なバイクは素直に走らせられる

 フロント19インチ、リア16インチのホイールと、奇をてらわないタイヤサイズ、そしてナチュラルなポジションなど、ストリートボブはハーレーラインナップの中では個性は少な目かもしれない。鮮やかなイエロー塗装や誇らしいゼッケン「1」はついているものの、その中身はとても素直な成り立ちなのだ。
 だからこそ、走りも素直なのだろう。特別強いアピールがないからこそ日常的にも付き合いやすいだろうし、楽しむために乗るとき以外(いわゆる「移動」をしている時)には逆に良き脇役に徹してくれる。それでいてその気になればドタタッ!ドタタタッ!といかにもハーレーらしい加速があり、十分以上に速い。
 中にはツインカムエンジンからこのミルウォーキーエイトエンジンになって、ちょっと洗練されちゃったかな? という感覚を持つ人もいるかもしれないが、しかしそんなこともないだろう。メカニカルノイズやシフトショックは確かに減ったが、そういったモノは減ってもいいモノであり、楽しい走りのためにマストなものではなく、このミルウォーキーエイトエンジンストリートボブはむしろ雑味が減って、その代わり速さも磨きがかかり、とても味わい深いパッケージになっていると感じる。

Harley-Davidson streetBOB

入門からベテランまで

 気楽なポジション、付き合いやすい性格、タンデムもできる仕様と、ストリートボブはスタンダードな良いトコ取りなモデルだ。敢えて注文を付けると、その気になれば速いだけにブレーキがもう少し効いて欲しいかなというのはあったが、それでも握り込めば問題はない。
 ハーレーを捕まえて「万能」などと言っては怒られてしまいそうな気もするが、ストリートボブはハーレー初心者/バイク初心者にもすんなりと楽しめる乗り物だと思うし、逆に既に大排気量バイクを所有している人でも、それこそストリートを楽しむために増車するにも良いと思った。
(試乗・文:ノア セレン、写真:Harley-Davidson Japan)

Harley-Davidson streetBOB
ハーレーのクルーザーラインナップで、ソフテイルスタンダードと並んで最もベーシックな立ち位置となっているストリートボブ。ただこちらはタンデムができる仕様で、かつマフラーの長さがずれていたり、アクティブなカラーリングが展開されたりと個性的だ。

Harley-Davidson streetBOB
エンジンは先代のツインカムからミルウォーキーエイトに変更されているが、その中でも排気量の少なめの114を搭載(と言っても1868ccあるが!)。その分振動が少なくメカニカルノイズも極小。とてもスムーズな性格はまさにストリート向きである。
Harley-Davidson streetBOB
他のハーレーラインナップにも言えることだが、排気音はとても整っていてマフラー交換がしたくならないのが魅力だ。一時期は各種規制を通すためにいくらかくぐもった印象があった時代もあったようだが、それは過去のこと。ドタタッ!と駆ける様は本当に気持ちが良い。

Harley-Davidson streetBOB
エイプハンガーに近いような大きなハンドルだが、タレ角はあっても絞り角は少なめの印象。こんなに高い位置に手があるのに不思議とセパハン的なホールド感、一体感があった。ミラーがバーエンドではなく一般的な位置についていることもあって、都市部の渋滞路も苦にしない。
Harley-Davidson streetBOB
メーターはハンドルクランプ上にミニマムなものがつくだけ。表示はスピードと燃料計と時計。無駄がそぎ落とされていて潔い。

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フロントには19インチのホイールに黒く塗られた6本スポーク。そのデザインを邪魔しないような小径のディスクブレーキが備わるが、ブレーキ性能はもう少し強力でもよかったかもしれない……と思わせるぐらいエンジンが速いのだ。
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リアは16インチホイールに伝統のベルトドライブ。クリーンで静か。タンデムステップ位置も低く、パッセンジャーの快適性も確保される。

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ストリートボブはタンデムもできるのが魅力だが、タンデムシートは特別快適性が高い仕様というわけでもない。タンデムをある程度の距離を楽しむのならばシートそのものの変更に加えバックレストも追加したいところだ。ライダー側のシートはとても快適で、腰のホールド性が高いため膝やつま先を開いたようなリラックスした姿勢でも鋭い加速を楽しめる。
Harley-Davidson streetBOB
モダンなLEDライトながら伝統的な丸形状のライトは小ぶりでストリートボブのキャラクターに合っている。フォークブーツの採用もポイントだ。

Harley-Davidson streetBOB
カラーはこのイエローベースに黒の他に、黒ベースにオレンジ、赤ベースに黒でこのゼッケン1のデザインが入るのがラインナップされ、いずれもスポーティでアクティブなイメージだ。

Harley-Davidson streetBOB
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●ハーレーダビッドソン・ストリートボブ114 主要諸元
■エンジン種類:可変バルブタイミング機構付き水冷4ストロークV型2気筒DOHC Milwaukee-Eight114 ■総排気量:1,868cc ■ボア×ストローク:102×114.3mm ■圧縮比:10.5 ■最高出力:70kW(94PS/5,020rpm)■最大トルク:155N・m/3,250rpm ■全長×全幅×全高:2,320×──×──mm ■軸間距離:1,630mm ■シート高:680mm ■車両重量:297kg ■燃料タンク容量:約13.2L ■変速機形式: 6段リターン■タイヤ(前・後):100/90B16・150/80B16 ■ブレーキ(前/後):320mmシングルディスク+ラジアルマウント4ポットキャリパー/260mmシングルディスク+2ポットキャリパー ■懸架方式(前・後):懸架方式(前・後):テレスコピック式・スイングアーム式 ■メーカー希望小売価格(消費税10%込み):2,703,800円~


[『Sporster Sの試乗インプレッション記事』へ]

[『Breakoutの試乗インプレッション記事』へ]

[Harley-DavidsonのWEBサイトへ]

2023/04/03掲載