すでに2023シーズンのテストも行われ、それぞれの様子が伝わってきていますが新たなシーズン開幕の前に、もてぎを写真で振り返ってみたいと思います。
もてぎピットの眺めは見慣れぬ景色、マルティン選手やマリーニ選手、ベゼッキ選手がMotoGPクラスにいることに加速度的に世代交代を感じます。前戦アラゴンから復帰、決勝は転倒のマルケス選手。マルケス選手と接触したファビオ・クアルタラロ選手は腹部に大きな火傷を負い、痛々しい。パドックの裏手は感染対策により立ち入りが制限されているので選手を囲むファンがいなくてちょっと閑散とした雰囲気でした。
成長している日本人ライダーたちの姿、とても頼もしかった!
佐々木歩夢選手は2016年にGPデビューして以来の初優勝遂げ、凛々しい姿で凱旋。Moto3クラス決勝はトップ争いの末に3位表彰台を獲得しました。山中琉聖選手8位、古里太陽選手14位、鳥羽海人選手21位、鈴木竜樹選手はポールポジションでしたが、残念ながら転倒リタイア。
Moto2クラスの小椋藍選手、雨の予選では13番手に沈み、決勝は5列目グリッドからでしたが、いいスタートを切り、1周目に6番手まで追い上げます。
トップを走行するのは今シーズン藍選手より先に優勝を決めたチームメイトのチャントラ選手ですが、その後転倒してしまいます。藍選手はロペスとのトップ争いを繰り広げ、残すところ10ラップの90度コーナーでトップに立ち、背後のフェルナンデス選手を押さえての今期3勝目!! 日本ラウンドでの日本、ミドルクラス優勝は2006年以来、その時のウィナーはなんとチーム監督の青山博一さんでした。
日本で3年ぶり開催にして優勝が見られるとは! 決して緩めることのない攻めのレースは、今後の期待と希望を感じさせるもので楽しみでしかないです。
MotoGPクラスの中上貴晶選手。もてぎ前のアラゴンにレースで怪我を負って痛々しい姿で私たちの前に現れました。メディアセンターでのカンファレンスでも、指に巻いた包帯からは血がにじんでおり、とてもまともに走れる状態ではないのだろうと察するに余りあるところでしたが、3年ぶりの母国GPへの想いは伝わってくるので、ただただ転倒しないことを願うばかり。
ハードブレーキングが試されるコーナーでは、見ている方も思わず手に力が入りました。リザルトは本意ではないと思いますが、、目の前を全力でラップする姿、たとえ何位で終わろうとファンの心に響く走りでした。
もてぎでは、8耐ウィナーの長島哲太選手もワイルドカード参戦。現在MotoGPのテストライダーな長島選手、Moto2で優勝経験はあるものの実戦でのMotoGPは、予選のウェット走行も初めて。タイムを望むにはセッションが足らなすぎる感じでしたが、8耐ウィナーとしてのプライドそして長島選手のキャラクターで自分の世界にしていました。
普段はテストで誰もいないサーキットを走っている長島選手。32000人の観客が詰めかけた決勝は3ラップで転倒してしまいましたが、実践での経験という大きな収穫を得て、もてぎ以降のタイGPにも中上選手の代役として参戦。
SUZUKIはチーム撤退のアナウンスがされ、最後の日本GPはいつものように淡々とレースウィークを進行。RSタイチの社長による「感謝」のセレモニーなどありました。
決勝では、ミルの代役で参戦の津田拓也選手は車両火災、リンス選手はトラブル(パンクとの報道が)で両者リタイア。
ご存じのとおり、最終戦ではリンス選手の劇的な優勝で幕を閉じます。
スズキの皆様、お疲れさまでした。最後までありがとう。
MotoGPは非日常の塊、ここにしかない世界が広がっています。画面で見ている光景がリアルで体験できることを大切にしたいです。これからもずっと日本で開催してくれることを願います。
(文・写真:楠堂亜希)
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