全日本ロードレース選手権JSB1000に参戦する“TONE RT SYNCEDGE4413 BMW”が、横浜市内でボルドール参戦報告会&シーズンエンドパーティを開催した。
チーム代表&チーフメカニックの高村嘉寿、監督・山下祐、ライダー・星野知也、石塚健、中冨伸一は、世界耐久選手権(EWC)第4戦フランス、ボルドール24時間耐久にオールジャパンのチーム編成で参戦し、決勝28位で完走を果たした。プライベートチームで戦い抜いたことや、最高速を記録したことなどで大きな注目を集めた。その参戦への出発から帰国までのドキュメンタリー動画、参戦秘話を関係者やサポーター80名を前に披露した。
TONE RT SYNCEDGE 4413 BMW は「“その向こうへ”をコンセプトとし、各人が自分を超えることを目指します! レースのプロフェッショナルが集まりチームを組むことで、監督、メカニック、ライダー、チームスタッフの少数精鋭による無駄のないチームで全日本選手権及び鈴鹿8 耐で優勝を目指す」をスローガンに掲げ活動を始めた。
2019年鈴鹿8耐で、より市販車に近いSSTクラス優勝を果たし、EWCセパン8時間耐久レースに参戦しSSTクラス3位となる。全日本参戦参戦を続けながら、24時間耐久参戦の実現に向けての準備を重ね、今季、遂に参戦を叶えた。
ライダーの星野は「ケガの影響が残り、万全の状況ではなかったというのがありますが、その中で、全ての力を出し走り切れた。50歳ですが、まだまだ頑張れます」と語り、盛大な拍手を浴びた。
2019年~2020年とFIM/CEVレプソルカップ参戦していた石塚は「24時間は初めてでしたが、良い経験が出来ました」と語ると、星野が「石塚選手は、3人のライダーの中で一番の若手でしたが、実は一番走行時間が短い」と言うと「その通りです」と頭を下げた。石塚が走行中にトラブルが発生し、ピットにいる時間が長かったのだが、石塚がさぼっていたわけではない。しかし星野と中冨の確実な走行が完走に繋がったことも事実のようだ。
2006年~2008年までスーパーバイク世界選手権に参戦していた中冨は「24時間を走るというのは大変なので、あまり行きたいと思っていたわけではありませんが、声をかけていただき、初めてトレーニングをしました。引き受けたからには、しっかり頑張りたいと思ったからです。海外を走る機会がまたあるとは思っていなかったので、久しぶりの海外参戦にはいろいろな思いがありましたが、走ってみて、やっぱりたいへんなレースだと思いました」と語った。
ボルドールではBMWのケータリングを利用、多種多様な美味しい食事が用意されていたが、「中冨さんがいないと思って探したら、温めるごはんとカップ麺の食事をしていた」と暴露され、中冨は「野菜が食べられないので……。でも、ごはんとカップ麺があれば大丈夫です」と笑わせた。トレーニングをしないことも、野菜が嫌いなことも初めて聞くファンも多く意外な一面を見せた。
山下監督は「2017年にボルドール24時間耐久を観戦に行き、参戦したいと思いました。プライベートチーム参戦は、なかなかハードルが高いものでしたが、皆さんの支援のおかげで実現できた。ボルドールでは予想もしないことが次々と起こりましたが、新参者の自分たちに、サーキットにいる人達が本当に優しく温かった。その人達の支えがなければ完走できませんでした。来年も参戦します」と語った。
チーム代表であり、チーフメカニックの高村は「星野が、俺たちが24時間耐久に参戦するというのは夢があると言った言葉が始まりでした。無理だと思ったら、何も始まりません。出来るということを信じて進んで来た。そして、いつの日かEWCフル参戦出来るチームを目指したい」と飛躍を誓った。
TONE RT SYNCEDGE 4413 BMWの2022年シーズンは、全日本ロードJSB1000は星野がランキング22位、ST1000で石塚がランキング7位、鈴鹿8時間耐久は総合17位でSSTクラス3位を獲得している。
(レポート:佐藤洋美)