速報! 2022 EICMA/ミラノショー Part 1
プレスデイ初日、トップバッターとしてプレスカンファレンスをスタートさせたのがロイヤルエンフィールド。カンファレンス前に朝食を用意しておくから食べに来てね、と事前にお誘いをいただいてたこともあり、カンファレンス開始の30分以上前からブース内は沢山の人たちで溢れていました。で、着いた早々に「エスプレッソ? お水は? なんか食べてって!」と。うれしい限りです。8月に参加したインド・ヒマラヤ周りを走る「モト・ヒマラヤ」ツアーに参加したときに偶然会うことができたロイヤル・エンフィールドの首脳陣たちにも再会できました。
その首脳陣たちが発表したのが“ダイナミック・クルーザー”と呼ぶ「スーパー・メテオ650」でした。昨年のEICMAで彼らがコンセプトモデルとして発表した、カスタムバイクのようなルックスの「SG650 Concept」は、このスーパー・メテオ650がベースだったんですね。フレームは、兄弟モデルとなったメテオ350と似ていますが全くの新作。エンジンはINT650やコンチネンタルGT650と同じ空冷の並列2気筒。フレームを新作したことでエンジンマウントを一新。その車体に合わせて吸排気系のレイアウトが変更されています。ステップが車体前方に位置するフォワードコントロールですが、スーパーなめらかなエンジンの出力特性と、ヒラヒラと街中からワインディンも楽しめるハンドリンクから、彼らはこのスーパー・メテオ650を“ダイナミック・クルーザー”と呼ぶんだそうです。
ビモータは、カワサキとタッグを組んで3回目のEICMA。そのプレスカンファレンスでは、カワサキのエンデューロマシン「KX450」をベースにした、ビモータ初のオフロードモデル「BX450」を発表しました。また同時に新型のコンセプトフレーム「TERA/テラ」を発表しました。
このフレームは、ビモータ独自のフロントスイングアーム&センターハブステアシステムと、2019年に発表した「TesiH2」が搭載した、フロントのサスペンションユニットを、リアサスペンションユニットと並列して一般的なリンク式サスペンションの位置に搭載する構造を活用。しかし長いロッドとリンクで構成されていた操舵システムを一新し、リンクを介しながらステアリングステムとセンターハブステアを直接つなぎ、ハンドル操作によってダイレクトにフロントタイヤを操舵するシステムを構築しています。これによりフロントフレーム構造がシンプルになり、エンジンハンガープレートを介してどんなエンジンでも簡単に搭載することができ、しかもハンドル切れ角も大きく取ることができる。
また前後サスペンションユニットをセミアクティブ化することで車高調整も容易になり、スポーツバイクからアドベンチャーバイクまで幅広いモデルキャラクターを作り上げることができるのだそうです。天才エンジニアであり現ビモータの代表であるピエルルイジ・マルコーニさんのこの笑顔は、新型フレームを作り上げた達成感と、その自信が表れています。
インディアンのプレスカンファレンスでは、米国で開催されているバガーモデルのレース“キング・オブ・バガーズ”と大排気量2気筒市販車で争われる“スーパーフーリガン・レース”で2022年に同時タイトルを獲得したテイラー・オハラと、そのオハラと両クラスでデッドヒートを展開したジェレミー・マクウィリアムス、そして米国フラットトラック選手権で通算7度目のタイトルを獲得したジャレッド・ミースが登壇。会場を盛り上げました。車両は「FTR1200」のニューカラーに加え、「FTR1200カーボン」、そして「チャレンジャー・エリート」「パースーツ」のアップブレードを発表しました。
KTMグループとの強力なパートナーシップと、その一環でKTMグループのデザインを一手に引き受けるデザイン会社キスカと提携したことで、昨年のEICMAで台風の目となった中国のCFMOTO。今年は、そのブース面積を3倍近くにも広げていました。
そこで発表されたのがコンセプトモデルの「NK-C22」。並列2気筒の800ccエンジンを搭載したマシン。昨年彼らが発表したコンセプトモデル、排気量400ccの並列2気筒エンジンを搭載した「SR-C21」が、ほぼその姿のまま市販されたことから、市販実現の可能性とそのときのスタイリングの再現性が非常に高いモデルだと考えます。
また同ブース内に、CFMOTOの電動スクーターブランド「ZEHO/ジーホ」もカッティングエッジな電動スクーターを発表。コレ出るの?と聞いたところ、まだコンセプトだけどCFMOTOはコンセプトモデルと言っても市販時にスタイリングを大きく変えないので、このままの可能性もあるよ、と。うーん、好き嫌いは別にしても、コレを出せちゃう&出しちゃうCFMOTOの勢いを、ますます感じたのでした。
もう飛行機のチケットを買った後に、プレスデイ前日の11月7日にプレスデイを開催というメールを受け取ったファンティック・キャバレロ。そのカンファレンスで発表されたのが「キャバレロ700」です。エンジンとフレームはなんと、ヤマハMT-07用。シリンダーヘッドはファンティックによって新作されているようです。ヤマハのCP2エンジンはテネレ700にも搭載されていますが、アドベンチャーとは違うスクランブラースタイルはなかなか新鮮。これ、良いと思います。
またファンティックのMoto2マシンも展示されていました。フレームはKalex製ですね。
ライディングギアやウェアを展開するゴールドウィンとパートナーシップを締結し、国内販売を目指すことが発表されたスウェーデンの電動バイクブランドCAKE(ケイク)は、フラッグシップとなる50台の限定モデル「Bukk(ブック※で発音はあってるのかなぁ……聞き忘れてしまいました。すみません)」を発表しました。新型フレームに、大容量バッテリーと高出力モーターを搭載するフラッグシップ的モデルです。カンファレンスはCAKE創設者でCEOのステファン・イッターボーンが集まったメディアにマイク無しでしゃべりまくるユニークなスタイル。モデルの説明などほとんどなく、いま取り組んでいるカーボンニュートラルへの取り組みを、コレでもかって感じでまくし立てます。で、何か質問は? と。いやー、彼の言動は楽しみだし、CAKEの日本展開も楽しみです。
KTMからの出資で話題となったMVアグスタは、今回EICMAには不参加。しかしプレスデイ初日が終わった8日夜に、ミラノにあるMVアグスタ・ディーラーでニューモデル発表会を開催しました。
そこでは1000cc4気筒エンジンを搭載した2つのモデルが発表されました。その一つが「スーパーベローチェ1000セリエ・オロ」です。人気のネオレトロスタイルのスーパーベローチェに、4気筒エンジンを搭載したこのモデルは、久しぶりに“セリエ・オロ”の名前を使用。ネオレトロなスタイルながら、ウイングレットがデザインされていて、MVアグスタらしいモダンさを感じます。もう一台は「921S」。セリエ・オロと同じく4気筒エンジンを搭載している、ネオレトロなネイキッドマシンです。とはいっても、ネオ成分高め構成でした。↓
セリエ・オロはなる早の展開、921Sはその後の市販化を目指しているとのことです。
アンベールにはジャコモ・アゴスティーニが担当。ベールをはぐるとすぐに跨がり、そして子供のような目つきで各部を眺めるその姿に、皆に愛されるレジェンドの理由が分かりました。
トライアンフはプレスカンファンス無し。しかも本社ではなく、イタリアのローカルがブースを展開。とはいえその規模は大きく、先に発表されたメッキパーツを使った「クロームコレクション」の7モデル、そしてMotoGP最終戦のバレンシアで発表された新型「ストリートトリプル」ファミリーなどを展示していました。
昨年不参加だったドゥカティは、このEICMAで復帰。以前より規模は小さくなったもののブースを展開しました。ドゥカティは9月から7回に分けてニューモデルのオンラインローンチを展開。プレスデイ前日の7日に、そのファイナルとなる新型「スクランブラー」ファミリーを発表しました。会場には、その各モデル(初回のストリートファイターV4ランボルギーニを除く)を展示。
また閉館時間を過ぎた19時過ぎから、招待者のみで行われた特別イベント「Passion, Design, Tecnologia. Made in Italy」を開催。ボローニャの広報担当者がインビテーションを送ってくれたので、僕も参加してきました。内容は、まぁお酒や軽食をいただきながらいろいろ話しましょう的な会合だったのですが、そこにCEOのドメニカーリはもちろん、MotoGPを終えたばかりの、2022年チャンピオンのフランチェスコ・バニャイア、2023年にファクトリーチームに加わるエネア・バスティアニーニ、テストライダーのミケーレ・ピッロも登壇するという豪華版でした。
というわけで、現地からの速報はこれにて終了。僕は最終日まで取材を続けます。で、日本に戻ってから2022EICMA記事をまとめたいと思います。ではまた後日。お付き合い、ありがとうございました。(文・写真:河野正士)
[Part1へ]