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新車プロファイル2022
2022年に発売された新車の情報ページです。

YAMAHA エレクトリックコミューター、E-Vinoが容量アップのバッテリーを搭載

エレクトリックコミューター、E-Vinoが容量アップのバッテリーを搭載




●YAMAHA E-Vino 車両解説

 ヤマハの電動バイクの市販化へのヒストリーは、2002年11月に一部地域限定、翌2003年5月に全国発売が開始されたヤマハの電動バイク、Passolに始まる。由緒あるヤマハの原付スクーター名を与えられた電動バイク(Passolは定格出力から原付クラスに分類された)だったが、時代が早すぎた、というべきか一般に普及するまでには至らなかったといえるだろう。それでもヤマハが描く近未来の都市部でのコミューター像を示すには充分に話題を集めたモデルだった。

 そして2005年5月には、特異な五角形のボディカバーにより、まさにデザインルームから抜け出してきたようなスタイルと“トランクバイク”というユーティリティも提案したEC-02が登場している。またこのモデルの発売半年後の11月には、Passolのモデルチェンジ版といえるPassol-Lも発売されている。ヤマハ電動バイクがひとつのピークを迎えた年といってもいいだろう。

 そもそもヤマハの電動スクーターの歴史は、1991年の東京モーターショーに出展した電動スクーター「FROG」が始まりといえる。そして、1993年には電動ハイブリッド自転車(当時は電動アシストではなく電動ハイブリッド自転車などと呼ばれていた)「PAS」を市販するなど、ヤマハは電動コミューターに関して実に四半世紀近くの歴史を残してきている。ただ’05年以降はバッテリー性能の限界があったりで、電動バイク市場への積極的なアプローチは行われてこなかったが、2010年9月に発売されたEC-03の存在により、実は途絶えることなく連綿と開発が続けられてきていたのが分かる。

 2015年8月のE-Vinoの登場にあたっても、「5年間の空白があったわけではなく、このところの世間一般の環境意識の急激な高まりで、いよいよ電動バイクの出番が回ってきた、ということです」とした開発陣の言葉にも力がこもっていた。ちなみにEC-03では、三洋電機製の高エネルギー密度の50Vリチウムイオンバッテリーを得たことで、一充電あたり43km(30km/h定地)の走行距離を確保し、実際の公道走行に即したケースでも一充電で25kmの走行が可能とされていた。

 モーターはEC-02でも採用されていたYIPU(ヤマハ・インテグレイテッド・パワー・ユニット)という超薄型パワー・ユニットをさらに熟成。従来モデル比で10~15%、トルクを向上させている。このYIPUを遊星減速機と組み合わせることで、常に滑らかで快適な走行を可能としているのはEC-02からの特徴だ。

 EC-03では、運用上でも大きな変更点があった。それまではバッテリーを取り外して家庭内で充電するという電動アシスト自転車などと同様の充電方式だったのに対して、EC-03では充電器も車体側に組み込み、シート下に収納された電源コードを伸ばして、家庭の100V電源コンセントにつなぐことで直接充電する“プラグイン充電方式”に変更されたのだ。万が一走行途中で電気を使い切ってしまった場合でも、一般の家庭用電源コンセント(ただしアースが取れるコンセントに限るが)から充電できるという安心感の方を選んだ結果という。フル充電するには約6時間(100V2A、急速充電はこの時点では未対応)かかるが、電気代はわずか約18円程度の見当だという。今回のE-Vinoでは、手軽さの方を選んでバッテリー着脱式に回帰したといえる。

 EC-03の発表時に行われたヤマハの柳 弘之代表取締役社長の『中期成長戦略「スマートパワー」への取り組み--電動二輪車について--』という発言の中で、ヤマハは「今後、世界の電動二輪車市場へ参入(2010年代の中頃には電動バイクは30~50万台規模の市場に成長すると予想していた)、2010年代中頃までにヤマハは新たに3~4機種の電動二輪車を発表する、そして電動二輪車の普及、環境の整備にあたる」と説明されていたことも付け加えておこう。

 2015年8月登場のE-Vinoの特長は、その名の通り、レトロポップ”なデザインで若い女性を中心に人気のビーノをベースにガソリンエンジンから電気モーターへとパワー源を変更したことで、“特別な存在”としていたこれまでの電動バイクのあり方から、単に、走行パターン、使用形態に合わせてガソリンエンジン版を選ぶも良し、電気モーター版を選ぶも良し、と選択肢の一つ、的な扱いにしたことが最大の特徴といえるだろう。

 それだけ電動バイクというものをごくごく普通の乗り物として普及させたいというヤマハの強い意志が感じられる。

 EC-03からのメカニズム的な変更点では、まず充電時間の半減が上げられる。従来の6時間が半分の3時間でフル充電できるようになった。この違いは使い勝手という観点からは、大きなポイントだろう。バッテリーの管理は、手軽な屋内充電を目指して着脱バッテリー式に変更された。1充電あたりの電気代も約14円と経済的になっている。また、モーターの電流制御に“全域正弦波モーター電流”システムを採用することで、スタート時のスムーズ感がより向上している。モードも「STANDERD」「POWER」そしていざというときに30秒間のみ使える「BOOST」の3モードに切り替えが可能だ。

 バッテリーマネージメント面でも、10分割残量表示ときめ細かく表示することで、従来は40%程度の残量でも充電を行ってしまっていたパターンから開放され、本当に充電が必要なレベルまで安心して使えるようにシステムを変更している。電池をイメージしたバーグラフによる残量表示と、見やすいデジタル残量表示を併用している。オプションで29km走行可能な予備バッテリーも用意されていた。

 2020年11月、またも5年の間隔があいてしまったが、E-Vinoは装いも新たに発売以来初のカラーチェンジが行われている。

 今回のモデルチェンジは、バッテリー容量のアップがメインで、従来バッテリー比約1.2倍の容量を持つ12.2AHバッテリーを採用、1充電当たりの走行距離を29㎞から32㎞へ伸ばしたとしている。また同時に「ペールシアンパール2」(シアン/ホワイト)、「ブルーイッシュホワイトパール1(ホワイト)、2色の新色設定となった。
 

「E-Vino」ホワイト
E-Vino。「E-Vino」シアン/ホワイト

 

★YAMAHA ニュースリリースより (2022年8月25日)

電動スクーター「E-Vino」に新たなバッテリーを搭載して発売~バッテリー容量を従来比1.2倍、新しいカラーを2色設定~

 ヤマハ発動機株式会社は、バッテリー容量をアップし、カラーリングを変更した電動スクーター「E-Vino(イービーノ)」を2022年9月30日に発売します。

 今回の2023年モデルは、従来比1.2倍となる12.2Ah容量のバッテリー搭載により、1充電あたりの走行距離を29kmから32km※へ延ばしました。
 またEVらしい2色を新たに設定。加えてアシストグリップ、フラッシャーボディ、レバー、グリップエンドといったコンポーネントパーツをブラック化することでより質感を高めました。
 ”シアン/ホワイト”は、クリーンなホワイトにシアンを組み合わせることで、アクティブで明るく都会的なイメージを表現しました。”ホワイト”は、当社の実証実験用電動スクーター「E01(イーゼロワン)」と共通のパール感あるボディ色とし、またVinoロゴ脇に小さく入った”e”ロゴのカラーも「E01」のアクセントカラーとリレーションを図ることで、EVラインアップの広がりをアピールしています。

 「E-Vino」は、原付一種スクーターの「Vino」をベースに開発した当社の電動スクーター第4弾です。モーター出力制御によるスムーズな加速感や極低速での優れた実用トルク、着脱式バッテリーによる容易な充電などにより、快適な近距離移動を実現しました。
なお、本製品の製造はヤマハモーター台湾で行います。

※ 速度30km/h定地テスト値(標準モード)、乗員55kg、バッテリー新品、気温25℃、乾燥路面、無風の条件下での数値

●名称

E-Vino

●発売日

2022年9月30日

●メーカー希望小売価格
314,600円(本体価格 286,000円/消費税 28,600円)
※価格(リサイクル費用を含む)には保険料・税金(消費税を除く)・登録などに伴う諸費用は含まれていません
 
●販売計画
(国内・年間) 500台
●カラー
・ペールシアンパール2(シアン/ホワイト/新色)
・ブルーイッシュホワイトパール1(ホワイト/新色)

 





2022/08/25掲載