KAWASAKI KX450 車両解説
2011年の7月にフルモデルチェンジが行われたカワサキ4ストロークモトクロッサーの頂上モデルKX450F。よりセッティングの幅を持たせることが可能となるF.I.制御マップの変更をカプラーオンで可能としたほか、スタート時に設定できるローンチコントロールモードを採用。ハード面ではエキゾーストパイプのテーパー形状変更、吸気カムシャフト形状の変更、ピストン形状の変更など細かい部分までさまざまな熟成が行なわれた。車体周りもフレームの剛性見直しやハンドルマウントの位置変更など戦闘力アップの熟成を受けている。
翌2012年7月発売の2013年モデルでもさらに改良が行われ、量産市販モトクロッサー初採用のニューマチックスプリングフォークやプッシュロッドタイプのマスターシリンダーの採用など、優れた作動性と扱いやすさの向上がポイントだった。
2013年7月の2014年モデルでは、新採用といえるのは新素材のハンドルグリップ程度だったが、ニューマチックスプリングフォークのさらなる熟成、全回転域での優位性を誇るエンジン性能の向上、カプラー交換のみで簡単に3種類のマップから選択ができるDFIカプラーの採用、なかでもファクトリー仕様の「ローンチコントロールモード」は滑りやすい路面で最大限のトラクションを得て最高のスタートを切るシステムだった。その他、ハンドルマウント位置を、ハンドルホルダーを変更することで4つのハンドルポジションから選択可能に、2つのポジションが選択できるアジャスタブルステップ、オプショナルパーツとしてKX FIキャリブレーションキットの発売、新ユニトラックリアサスペンションの採用、スイングアーム下にリンケージマウントを設置、またデュアル圧縮機能を設け、高精度なサスペンションセッティングを可能としていた。シリンダータンクにはカシマコートを採用し作動性の向上を図り、乗心地の向上と減衰性能、踏破性能の向上、Renthal製のハンドルバーを採用し、ハンドルグリップには新素材を採用し握りやすさを向上など改良が進んだ。
2014年8月発売の2015年モデルでも改良は進められ、フロントフォークに軽量で、容易なアジャスト等多数の利点持つショーワ製SFF-Air TACを採用、リアサスペンションのバルブセッティングを安定性を向上を目標に変更、圧縮比を12.5から12.8とし、高回転時のエンジン機能を向上、ECUのセッティング変更し、点火タイミングを最適化、大径270mmのペタルディスクを前輪に採用、ブレーキ性能を向上させている。
2016年7月発売の2017年モデルでもさらに進化の手を休めることなく、ステアリングステムの変更を始め、フロントフォークのバルブセッティングの変更、リアサスペンションのバルブセッティング、スプリングの変更、スイングアームのピボットブラケットの変更など、かなりキーポイント部分の熟成が実施されたモデルチェンジとなった。
2017年7月発売の2018年モデルではさすがに戦力アップも一休み。カラー&グラフィックの変更のみでの発売となった。
という事で、2019年モデルは熟成バージョンではなく、大幅なモデルチェンジイヤーとなった。エンジン周りでは、フィンガーフォロアーロッカーアームの採用に始まり、吸排気バルブの大径化&ハイリフト化、コネクティングロッド大端部にプレーンベアリングの採用、カムシャフトにはガス軟窒素化処理を行い耐摩耗性と高回転域での信頼性を確保、クロム鋼製バルブスプリングリテーナーの採用、吸気マニホールドの延長、油圧クラッチの採用、セルの装備などなど。
車体周りでは、アルミニウム製ペリメターフレームをより進化させ、アクスルシャフトの大径化、リアサスのリンク比の見直し。高性能φ49mm倒立フォークの採用など。まだまだ「表彰台の頂点に立たせる」というコンセプトに陰り無し。
大幅モデルチェンジの翌年ということで、2019年8月発売の2020年モデルは、カラー&グラフィックの変更のみ、と怒涛のモデルチェンジも一息ついた感じ。とはいってもカラーチェンジのみなのはこの年だけで、2020年10月には、エンジン性能を高めるためにピストンスカートの特殊フィルムコーティングの採用と、クラッチの操作性を向上させるために従来のコイルスプリングから皿バネへ変更が行われた。また、ファクトリースタイルのレンサル社製のφ28.6mmアルミファットバーの採用もポイントだった。
2022年モデルとなる2021年9月発売のモデルもさすがに開発の手を緩めて一息入れるカラー&グラフィックの変更のみ。そして今回も、KX250が大幅進化の年とあってKX450はカラー&グラフィックの変更が行われたが、それだけで終わらないのがKXの底力。
高いトラクション性能で定評のダンロップ社製の「MX33」タイヤが採用された。
★カワサキ ニュースリリースより (2022年5月9日)
KX450 発売のご案内
- モデル情報
- 車名(通称名) KX450
- モデルイヤー 2023
- マーケットコード KX450JPFNN
- 型式 –
- 発売予定日 2021年9月1日
- メーカー希望小売価格 1,012,000円
- (本体価格920,000円、消費税92,000円)
- カラー(カラーコード) ライムグリーン(GN1)
- 販売店 カワサキ正規取扱店、オフロードエントリーショップ
- ※メーカー希望小売価格は消費税10%を含む参考価格です。
- ※KX450は公道や一般の交通に供する場所での走行は一切できません。
- ※当モデルは二輪車リサイクル対象車両です。価格には二輪車リサイクル費用が含まれます。
- 【KX450】
数多くの先進機能を採用したエンジンとスリムな車体を与えられたKX450。吸気ラインのダウンドラフト化とフィンガーフォロワーロッカーアームの採用による高出力なエンジン、セルフスターターや油圧クラッチなどの搭載よる優れた操作性を実現し、レースでの高い戦闘力を誇ります。「中級レベルのライダーからエキスパートライダーまで、表彰台の頂点に立たせる」というKXブランドをこの世に送り出し40年以上経っても揺るがないKXの設計概念。数々のAMAタイトル獲得の事実は、KXの真の実力を証明しています。
- ■主な変更点
- ・高いトラクション性能を誇るダンロップ社MX33タイヤ
- ・カラー&グラフィックの変更
- ■オフロードエントリーショップとは
- ・エントリーユーザーをはじめ幅広いお客様にオフロードの楽しさをお届けする「オフロードエントリーショップ」。取扱いモデルはカワサキの「オフロードコンペティションモデル」とし、新しいモーターサイクルライフをご提案、サポートいたします。
主要諸元
車名型式 | – | |
---|---|---|
KX450 | ||
発売日 | 2022年9月1日 | |
全長×全幅×全高(m) | 2.185×0.820×1.265 | |
軸距(m) | 1.485 | |
最低地上高(m) | 0.340 | |
シート高(m) | 0.955 | |
車両重量(kg) | 110.4 | |
乾燥重量(kg) | – | |
乗車定員(人) | 1 | |
燃費(km/L) | – | |
登坂能力(tanθ) | – | |
最小回転小半径(m) | – | |
エンジン型式 | – | |
水冷4ストローク単気筒DOHC4バルブ | ||
総排気量(cm3) | 449 | |
内径×行程(mm) | 96.0×62.1 | |
圧縮比 | 12.5 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | – | |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | – | |
燃料供給装置形式 | フューエルインジェクション | |
始動方式 | セルフスターター | |
点火方式 | デジタルDC-CDI | |
潤滑油方式 | セミ・ドライサンプ | |
潤滑油容量(L) | 1.0 | |
燃料タンク容量(L) | 6.2 | |
クラッチ形式 | 湿式多板 | |
変速機形式 | 常時噛合式5段リターン | |
変速比 | 1速 | 1.750 |
2速 | 1.411 | |
3速 | 1.187 | |
4速 | 1.000 | |
5速 | 0.875 | |
減速比1次/2次 | 2.727/3.846 | |
キャスター(度) | 27.6° | |
トレール(mm) | 122 | |
タイヤサイズ | 前 | 80/100-21 51M |
後 | 120/80-19 63M | |
ブレーキ形式 | 前 | φ270mmシングルディスク |
後 | φ250mmシングルディスク | |
懸架方式 | 前 | φ49mm倒立テレスコピック式 |
後 | スイングアーム(ニューユニトラック) | |
フレーム形式 | ペリメター(アルミニウム) |
※改良のため、仕様および諸元は予告なく変更することがあります。