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“強いホンダ”復権に向け、新生HRCが運営方針を発表

 三重県鈴鹿サーキットで、ホンダ・レーシング(HRC)は『2022 NGKスパークプラグ 鈴鹿2&4レース』のレースウィークに『HRC新体制メディアブリーフィング』を開催した。

 2021年度まで、長年ホンダの二輪レース活動をして来たHRCに、2022年4月より四輪レース活動も統合された。これまでHRCとして埼玉県朝霞市を拠点としていた二輪部門は『HRC二輪レース部』となり、二輪モータースポーツ車両の開発と運営、そしてモータースポーツ専用バイクの販売を継続。また栃木県さくら市にあるHRD Sakuraを拠点とし四輪モータースポーツ活動を行う『HRC四輪レース開発部』が新設され、その運営方針について発表された。


 会見には渡辺康治代表取締役社長、四輪レース開発部長の浅木泰昭常務取締役、二輪レース部長の若林慎也取締役、企画管理部長の長井昌也取締役が出席。ホンダのライダーを代表して、MFJ全日本ロードレース選手権JSB1000クラスに参戦する名越哲平(SDG Honda Racing)。ドライバーは全日本スーパーフォーミュラ選手権(TEAM MUGEN)とスーパーGT GT500クラス(ARTA)から参戦する野尻智紀が登壇した。

 名越は「二輪、四輪が一緒となったHRCに所属するライダーであることはホンダの看板を背負っているという自覚を持ち、ドライバーからも学び成長したい」と語り、野尻は「HRCらしい強く熱いレースをしていきたい」と決意を語った。


 渡辺社長は新生HRCの運営指針を4つのポイントとして挙げ①「HRCのモータースポーツ活動を通じたホンダブランドの更なる高揚」②「持続可能なモータースポーツを目指したカーボンニュートラルへの対応」③「モータースポーツのすそ野を広げる活動への注力」④「二輪、四輪各々の事業に貢献できるモータースポーツ活動」と説明した。これを追及することで「二輪、四輪の技術とノウハウの連携、運営の効率化を図り、より強いレースブランドを目指し、ホンダのDNAであるモータースポーツを確実に継承できるように強い基盤を築くことを目指す」と語った。

 F1の活動を渡辺社長は「2022年シーズンはレッドブル・レーシングとスクーデリア・アルファタウリのパートナーとして2チームをサポート。レッドブル・パワートレインズの要請に基づき、パワーユニットの組み立て協力やサポートサービスなどの技術協力をしているが、2023年以降の支援内容については現在協議中」と語った。
 
 二輪レース部長の若林慎也取締役は、全日本ロードレース選手権のワークス活動再開の質問に「MotoGP、ワールドスーパーバイク選手権(SBK)で、現状、苦戦しており、まずは、そこを強化することを優先し、将来的にはカーボンニュートラルを意識した上で考えたい」とした。
 
 昨年のMotoGP、SBK、全日本ロードのタイトルはライバルのヤマハが獲得、全日本においては、最高峰JSB1000において、10回目のチャンピオンをヤマハファクトリーの中須賀克行が獲得した。かつて、二輪ファンにとってHRCは、レース専門の会社としてロードレース世界選手権を頂点に、数々のタイトルを獲得し、モーターサイクルスポーツを席巻。世界のレースシーンを牽引し、数々の名車と言われるレーシングマシンを輩出し、名ライダーを育んだ。他メーカーからは、最も恐れられる存在であり続け、ライバルを鼓舞しモータースポーツ文化を根付かせた。そのHRCに四輪が加わり、そのノウハウを吸収して、より強いHRCが再生されることをファンは願っているに違いない。新体制となったHRCの、今後の二輪、四輪のレース活動から目が離せない。

(レポート:佐藤洋美)







2022/04/26掲載