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エンタメ

第135回 「激動の春」

 ロシアの(というかプーチンの)ウクライナに対する暴挙、他人事だと思っている人は今時いないと思います。まさか自分が生きている間に、核戦争や第三次世界大戦が現実味を帯びるなんて、夢にも思っていませんでした。第二次大戦前夜もこんな感じだったのでしょうか……
 どうでもいいことですが私、学生時代第2外国語はロシア語を選択しました。中国語が漢字だからなんとなく簡単そうという理由で一番人気の抽選になり、当然はずれた私は不人気ナンバーワンのロシア語に配属されたのです。「チェ! 転属ですか ソ連軍の給与は最低なんですぜ(by黒騎士物語 小林源文先生)」とぶーたれながらも授業の初日、ロシア語教授から選択理由を問われました。第一印象は大切です。当時は末期とはいえ東西冷戦時代「来たるべきソ連の北海道侵攻に備えてであります」と勇んで答えたところ、教授は悲しい目をしました。後に教授の信念が日ソ友好の架け橋になること知りました。若さゆえの勘違い、今もちくちく胸が痛みます。
 ロシアの大統領と共に同じ未来を見たと公言したあの人、今も首相を続けていたら、今回の暴挙にどんな対応をしたのでしょう。恐いもの見たさで見てみたい気もしますが、マスクどころの騒ぎじゃないような気もします。歴史は繰り返すといいますが、日本は81年前の愚挙を絶対に繰り返さないでほしいと切に願います。

教科書
成績表
ロシア語の教科書見つかりました。覚えているロシア語は「я ученик」(ヤー ステゥデンスカ=私は生徒です)。「Очень хорошо」(オーチェン ハラショ=たいへんすばらしい)のみ。当時もその程度でこの2つで対ソ戦に挑もうとしたのですから、恐怖すら覚えます。教科書になぜか成績表も挟んでありました。第二外国語はさておき、第一外国語も壊滅状態……今さらながらあきれます。

 ロシアとウクライナ、そしてソには深い関係があることをご存じでしょうか。実はそばの生産量はロシアが第1位、ウクライナが第3位なのです(ちなみに第2位は中国、わが国は第6位。2020年)。侵攻した側とされた側がそば生産の二大国家なのです。そば好きならずとも知ってほしいです(私もさきほど知りましたが)。ロシアの侵攻が長引けば、いや今でさえ充分、そばの価格に影響がでることは否めないでしょう。もっともウクライナのみなさまにとっては、そばどころの話ではない状況であります。ソをすするとき、当たり前にすすれる幸せを噛みしめたいと思います。

 立喰・ソ界も激動の時代のようです。一時閉店していた宝町の老舗スエヒロは、立喰・ソ界の伝説といっても誰も異論は挟まない超重鎮、一由の創業者がサプライズ登板。これには立喰・ソファンの多くがビッグボス以上に腰を抜かして狂喜乱舞したことでしょう(詳細は師匠のコラムでどうぞ。謎の多い六文、スエヒロの解説もあり、相変わらず勉強になります)。スエヒロはビルの耐震工事で4月から再び休業に入るとのことです。久々の超明るいニュースでしたから、青山の信越や有楽町の新角のような悲しい話にならないことを願うばかりです。

スエヒロ
スエヒロ
来年の桜はまた違った景色で見えることでしょう。しばしのお休みです。(2022年4月撮影)

 
 志の高い後継者が現れて見事に伝統を継承してくれた、揚げたてあつあつ天ぷらてんこ盛りの名店、三崎町のとんがらしは事実上の閉店(2022年3月25日。閉店ランチ営業は別会社が継承とのこと)が告知されてしまいました。継承系の場合ごくごく一部の話だと思いますが、継承者が自分はえらいと勘違いしたのか無愛想はまだしも、ふんまんやるかたない接客態度で、先代の顔にう○こを塗りたくるような醜態もあったと聞きます。しかしとんがらしは、こちらが恐縮してしまうほどフレンドリーな対応で、お腹も心も満腹満足だっただけに、悲しさもいっぱいです。

とんがらし
とんがらし
とんがらしは3月25日で終了しましたが、天盛りは新店に引き継がれるようです。悲しさのあまり写真はブレています。世界の天盛りになっての凱旋、お待ちしております。(2022年3月撮影)

 混沌とした激動の現代を象徴するかのような立喰・ソが明神そばでした。2020年7月20日突然の閉店、2021年11月25日唐突に復活、そして2022年2月24日まさかの閉店と、立喰・ソファンを一喜二憂させたのです。きっとまた知らないうちに復活して二喜二憂させていただけることを切に願っております。何事も私ごときは願うことしかできませんが。

明神
明神
激動の時代を象徴するかのような明神そば。再びサプライズがありますように。(2020年9月/2022年4月撮影)

 最後に珍しい? お知らせをひとつ。東京駅八重洲口からほど近く、朝からゆでたてソをいただけて、夜は気軽に一杯やれるたいへん使い勝手のよろしい正源そば、なんと閉店のおしらせが。しかし、閉店は来年の3月31日と一年前からカウントダウンです。こんな告知は今まで聞いたことがありません。ん? 今日は4月1日。ひょっとしてエープリルフールのいたずら??と願いたいのですが……明日行けばわかりますが、行くのが恐いような。
 来年の春は、どんな出会いと別れがあるのでしょう(ほとんど意味はないけど、誰も文句の付けられないシメ)。

正源
正源
夜の幕が出たままになっていますが、朝からは正源です。エープリルフールと信じたい貼り紙が……まだ300日以上ありますが、1年なんてあっという間です。「いつまでもあると思うな立喰・ソ」です。(2022年4月撮影)


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2022/04/08掲載