ここからはHarley-DavidsonやBMW、トライアンフからベネリやモンディアルなどの老舗メーカー、そして電動バイクをリリースする新興メーカーまで、海外ブランドを紹介していきます。
■Harley-Davidson──過去イチの充実ラインナップ
2021年末から2022年前半に掛けて注目のモデルをいくつも発表&販売スタートしたハーレーダビッドソン。プレスカンファレンスに登場した代表取締役社長である野田一夫氏からは、2022年1〜2月の登録台数は過去最高で昨年対比で160%を越えていること、また新型スポーツスターSは今年に入って販売がスタート。すでに900台を越える受注を受けていると発表しました。
ローライダーST
今年1月に発表された8台の新型車のなかで、もっとも注目はこの「ローライダーST」です。クラブスタイルという、アメリカで人気のクルーザーカスタムのスタイルを取り入れたこのモデルは、先に発売されていたローライダーSをベースに、80年代に発売されたモデル/FXRTが採用していたカウルデザインをモチーフにしたもの。そこに空冷OHV4バルブの現行ハーレーエンジン/ミルウォーキーエイト最大排気量となる117キュービックインチ(1923cc)を誇るMilwaukee-Eight117エンジンを搭載。取外し可能なサイドバッグも採用しています。
ロードグライドST
シャークノーズカウルと呼ばれるフレームマウントの大型カウルを装着する「ロードグライドST」。ローライダーSTと同じくMilwaukee-Eight117エンジンを搭載。容量の大きいエクステンドサイドバッグも装備しています。
ストリートグライドST
同じくMilwaukee-Eight117エンジンを搭載。コウモリが羽を広げたようなシルエットのバットウィングフェアリングをフロントフォークマウントするのが特徴。モダンでパフォーマンスを重視するロードグライド系とは異なり、クラシックなスタイルが特徴です。
スポーツスターS
新しい排気量1260ccの挟角60度V型2気筒水冷DOHCエンジン/レボリューションマックス1250Tエンジンを搭載した、新世代スポーツスター。ボバースタイルを採用し、前17インチ/後16インチのホイールサイズをチョイス。エンジンは低回転域と高回転域でバルブの開閉タイミングを自動で変更する可変バルブタイミングシステムを採用することで、力強いトルクと高回転域でのパンチ力を両立しています。
パンアメリカ1250
ハーレー史上初のアドベンチャーモデルである「パンアメリカ1250」。日本バイクオブザイヤー2021の外国車部門において最優秀賞を獲得しました。
CVOシリーズ
CVO(カスタムビークルオペレーションズ)と呼ばれる、ファクトリーカスタムモデルも展示されていました。豪華なカスタムパーツやカスタムペイントが施された車両は大人気。そのCVOにもMilwaukee-Eight117エンジン登載モデルが登場しました。
■BMW──時代に合わせた新型電動スクーター・CE04をアピール
2月中旬に行われたBMWジャパンのビジネスストラテジー発表会で日本初お披露目となった新型電動スクーター「CE04」、そして「K1600」シリーズを展示。またプレスカンファレンスでは、昨年12月にあらたにBMWジャパン二輪事業部BMW Motorrad本部長に就任した佐伯要氏が登壇。昨年、日本での登録台数が過去最高となったことの報告とともに、新型車の詳細が発表されました。
CE04
新しいプラットフォームと新しいデザイン、さらには都市部の移動に特化した使い方など、BMW Motorradが考える新しい電動バイクの使い方やカタチを提案した「CE04」。2017年に発表された電動コンセプトスクーター「コンセプトリンク」から、そのスタイリングがほとんど変化していないことには驚きました。充電方法は、車体に付属する単相200V/15Aの普通充電器を使ったMode2のほか、単相200V/32AのMode3ハイスピード充電器にも対応しています。
G310R&G310GS
前方吸気後方排気後傾シリンダーというユニークなエンジンレイアウトを採用する単気筒ロードモデル。中型免許で乗れるBMWとして、幅広いキャリアのライダーに人気です。2022年は新グラフィックを採用しました。
M1000RR
BMW Motorrad初のMシリーズとなる、スーパースポーツモデル「M1000RR」。四輪のBMWのチューニングを手掛けるBMW M社とともに開発したカーボン製のウイングを採用。また日本のブレーキブランド/ニッシンとともにワールドスーパーバイク世界選手権の現場で共同開発した専用設計のMブレーキシステムを搭載しています。
R18B
フラットツイン史上最大の排気量1800ccエンジンを持つ、R18シリーズの最新モデル。Bとはバガーの略で、アメリカのストリートバイクカルチャーから生まれたカスタムスタイルで、大型カウルとリアケースが特徴です。アメリカンな匂いがプンプンするクルーザーですが、ワインディングもガンガン走れるロードスターになっちゃってるところがBMW Motorradらしいです。
■トライアンフ──タイガー1200ラリーエクスプローラーをアンベール
660ccエンジン搭載のトライデント660&タイガースポーツ660のミドル排気量モデルも好調なトライアンフ。プレスカンファレンスには大貫陽介トライアンフモーターサイクルスジャパン代表取締役社長が登壇。ジャーナリストのケニー佐川さんと一緒に、発売間近の新型タイガー1200ラリーエクスプローラーをアンベールしました。
タイガー1200ラリーエクスプローラー
等間隔爆発の滑らかな出力が特徴の並列3気筒エンジンを、あえて不等間隔とした“Tプレーンエンジン”を新開発。シャフトドライブに加え、フロント21インチ/リア18インチというオフロードに特化したホイールサイズをチョイス。また車体後方にレーダーセンサーを装着し後続車の接近をライダーに知らせるBSDシステムも採用。
スピードトリプル1200RR
排気量1200ccの並列3気筒エンジンを搭載したネイキッドスポーツモデル/スピードトリプル1200RSをベースに、モダンなロケットカウルを装着したのがこの「スピードトリプル1200RR」。オーリンズ製の電子制御サスペンション「Smart EC 2.0」も搭載しています。
タイガースポーツ660
先に発売し、そのコンパクトな車体と3気筒エンジン特有のフィーリングを感じられることで人気となった、トライアンフのスタンダードネイキッド/トライデント660のプラットフォームを使用したオンロードアドベンチャーモデルが「タイガースポーツ660」。ツーリング性能を高め、トライアンフ・ツーリングカテゴリーのスタンダードモデルとなっています。
ロケット3R Black
量産バイクとして最大排気量2500ccを誇る縦置きエンジンを搭載する「ロケット3R」。クルーザーと言うより、ネイキッドスポーツ的な筋骨隆々のボディデザインが特徴です。このブラック仕様は世界限定1000台の特別モデル。ブラックにこだわったディテールを採用しています。
■KTMグループ──KTMグループとなって初出展
KTM、ハスクバーナに加え、今回はGASGASとサスペンションブランド/WPという4ブランドを展示したKTMグループ。GASGASはKTMグループとなってから初の東京MCS出展。WPはハイパフォーマンスサスペンションをKTMおよびハスクバーナの車両に装着して展示しました。
KTM RC390
発表されたばかりの2022年モデル「RC390」。トレリスフレームは新設計され、また軽量化も図られています。KTMのMotoGPマシン/RC16からインスピレーションを受け、シンプルな車体構成や、パーツ脱着を容易にしレース仕様に簡単にトランスフォームできるようにもなっています。
KTM 1290 SUPER DUKE R EVO
KTMの排気量1300ccの水冷V型2気筒エンジン/LC8エンジンを搭載したスポーツネイキッドマシン「1290 SUPER DUKE R EVO」。WP製の次世代型セミアクティブサスペンションを搭載しています。
■インディアンモーターサイクル──レースでの実績もアピール
インディアンは、空冷OHV2バルブ1890ccエンジン/サンダーストローク116エンジンを搭載するスタンダードモデル「チーフ」シリーズ、クラシッククルーザーモデル「チーフテン」と「ロードマスター」、水冷DOHC1130ccエンジンを搭載する「スカウト」シリーズ、水冷SOHC4バルブ1767ccエンジン/パワープラス・エンジンを搭載する「チャレンジャー」シリーズに加え、チャレンジャーをベースに豪華装備を追加した新型車「パースート」などを展示しました。
Pursuit Dark Horse with Premium Package
レースでも活躍するパワフルなエンジンと高剛性なフレームを活かし、より快適な長距離走行を目指して開発された新型車が「パースート・ダークホース」です。リアケースやレッグカバー、フォグライトなど、豪華な装備が追加されています。
Scout Rogue
軽量コンパクトなスカウトの車体をベースに、高いハンドル、足を投げ出すフォワードステップ、スポーティなビキニカウル&シングルシートなど、ユニークでスポーティなディテールをセットしました。
Roadmaster
2021年モデルでは発売を停止していた最強の空冷エンジン/サンダーストローク116を抱くヘヴィーウエイトシリーズの中でも最重量級の「ロードマスター」。
■MVアグスタ──Moto2にも挑戦しているイタリアの至宝
イタリアの至宝/MVアグスタもニューモデルを展示しました。現在ロードレース世界選手権Moto2クラスに参戦するなど、レース活動も積極的に行い、そこで得たノウハウが市販車にフィードバックされているのです。
ブルターレ1000ニュルブルクリンク
4気筒998ccエンジンを搭載。美しい排気管は、シリンダーを1-2および3-4を組み合わせることで、独自のトルクフィーリングを造り上げています。また空力特性を高めるウイングレットも装着しています。
F3RR
新しいユーロ5に対応するとともに、より高回転域での出力特性向上を狙ってチタンバルブや、タペット周りのDLCコーティングを採用。フレーム周りも、スイングアームピボットプレートの再設計が行われ、フレーム剛性の最適化が行われています。
スーパーベローチェS
モダンクラシックというカテゴリーを越える美しさとパフォーマンスを持つ「スーパーベローチェ」。そのSモデルは798ccの並列3気筒エンジンをさらに磨き上げ、クイックシフターなども採用されています。
■モータリスト
ランブレッタ、ファンティック、キャバレロ、SYMというさまざまなブランドを展開するモータリスト。あらたにマラグーティ・ブランドと、モータリスト社オリジナルの電動バイクシリーズをラインナップに加えました。
MOTORISTS VMX12&VMS6
モーターリストオリジナルの電動バイクを開発。「VMX12」は4速ミッションを搭載したファンライド・オフロードモデル。「VMS6」はストリートファイタースタイルのストリート電動バイク。自動遠心クラッチ式4速ミッションを採用しています。
マラグーティ・ミッション125/200
復活したイタリアのスクーターブランド/マラグーティのフラッグシップモデル「ミッション125/200」。125ccと200ccの2つの排気量モデルから選ぶことが可能。
■モトコルセ
ビモータやアビントンなど、世界中のハイクオリティ・モーターサイクルを輸入販売するモトコルセは、これまでも展開してきたヴァイルス社の新型車を発表。「Alyen(アリエン)」と名付けられた車両は、美しく、そして個性的でした。
VYRUS ALYEN
世界中で、たった20台だけ造られた特別な車両が日本に上陸。モトコルセのブースで発表されました。エンジンはドゥカティ・パニガーレ1299用の水冷Lツイン。そのエンジンをオメガプレートで挟み込み、そこにセンターハブステア採用のフロントスイングアームとリアスイングアームを装着。シートを支える上部フレームなどマグネシウムパーツも多用。単一方向に繊維を並べるUDカーボンを外装に使用しています。
■アイディア&プジョーモトシクル
イタリアンデザインを採用する電動三輪スクーターを展開するアイディアと、フランスの自動車ブランドとして知られるプジョーのスクーターブランド/プジョー・モトシクルを展開するアイディア社は、働く電動バイクとともに、フレンチな雰囲気に溢れていました。
アイディア/AA-1コンセプト
「AA-1」は、フロント2輪、リア1輪の電動3輪バイク。車体の傾きに合わせて前2輪が傾斜することでバイク的な楽しさと、4輪車の安全性と快適性を追求しています。ワイパー付きフロントスクリーン、開閉式ルーフ、大型のリアボックスも採用しています。
アイディア/AAカーゴ 働く電動3輪バイク
アイディアの前1輪/後2輪電動スクーター「AAカーゴ」を実際に使用している運送会社や飲食店グループなどの車両を展示。各企業の試みも紹介されました。
■エネルジカ
建設用機械や貨物自動車の輸出に加え、海外仕様の大型二輪車の輸入などを行うエスターが、現在電動バイクによるロードレース世界選手権MotoEでレース用電動バイクのサプライヤーを務めている、イタリアのエネルジカ社の車両を日本に展開。東京MCSに初出展しました。
エネルジカ エゴ
エネルジカのスーパースポーツモデル。最高出力は107KW(145hp)。最高速は240km/hで、エコモードなら200kmの走行が可能。軽二輪登録ながら、大型二輪免許が必要です。
■サーロン
マウンテンバイクと電動バイクをミックスしたような電動オフロードバイクを展開するサーロンも東京MCS初出展。公道仕様車とファンライド専用車をラインナップ。ファンライド専用車は、日本のエンデューロ選手権JNCCとコラボし、ワンメイクレースなども展開。電動バイクに気軽に触れられる場所を提供しています。
LightBee Xカスタム
競技仕様車であるLightBeeXをベースにカスタムを施した参考出品車。軽量で高剛性な専用設計フレームを持ち、高いポテンシャルを持つ前後サスペンションやブレーキシステムも搭載しています。
■プロト
イタリアのバイクブランド/ベネリに加え、電動モビリティブランド/Goccia(ゴッチア)と車両事業を拡大したプロト。またカスタムパーツやアウトドアツーリングに便利な用品なども充実させていました。
ベネリ・レオンチーノ250
ベネリのネオクラシックモデル。250cc単気筒エンジンを搭載。レオンチーノは、1950年代にベネリが発売した歴史的車両のモデル名なのです。
ベネリ・インペリアーレ400
エンジン、車体ともにクラシカルなスタイルを採用した単気筒モデル。スプリング付きシートやキャブトンタイプのサイレンサーなどディテールにも注目です。
ゴッチアGEV600
原付一種車両として登録する電動スクーター。通勤や通学といった近距離移動を想定して車両を開発することで、車体の小型化や低価格化をしています。昨年グッドデザイン賞も受賞。
■イタルジェット
トレリスフレームとアルミダイキャストを組み合わせた個性的なフレームと、フロントハブステア、パワフルなエンジンを搭載する個性的なイタリアンスクーターブランドとして知られているルイタルジェットの車両を、MVアグスタジャパンが国内販売。その車両が展示されていました。2019年EICMAで復活が決まって、日本発売を期待する声が聞こえていただけに、コレは嬉しいですね。
ドラッグスター125/200
排気量は125と200をラインナップ。ともに水冷DOHC4バルブ単気筒エンジンを搭載し、両排気量ともにトップクラスのパフォーマンスを持っています。そのフロントハブステアシステムは、「I.S.S(インディペンデント・ステアリング・システム)」と名付けられ、ステアリングアクションとサスペンションアクションを分離し、快適でスポーティな走りを実現するのに大きく貢献しています。
■ヒョースン
Hyosun(ヒョースン) は韓国のバイクブランド。1970年代後半にはスズキと技術提携。1980年代後半から自社開発モデルの量産をスタートさせています。
GV300Sボバー
挟角60度の水冷Vツインエンジンを搭載。シリンダーに冷却フィンが見えますが、水冷なんです。同スタイルを採用している125ccVツインモデルをラインナップしていましたが、この東京MCSでGV300を初披露しました。コンパクトな車体で、とても乗りやすそうでした。
■モンディアル
イタリアの名門ブランド/モンディアル。かつてロードレース世界選手権(現MotoGP)でも活躍したモンディアルは、一度バイク史から姿を消しましたが、2014年に復活。日本への輸入もスタートし、今回東京MCS初出展となりました。
HPS300
水冷4ストローク単気筒249ccエンジンを搭載。ネオクラシックなスタイリングを持つ、モンディアルのスタンダードモデルです。
パガーニ1948 スポーツクラシック125
1949年にモンディアルを駆ってロードレース世界選手権125ccクラスのタイトルを手にしたイタリア人ライダー/ネッロ・パガーニ。彼の、1948年のGP初勝利のマシンがこのモデルのモチーフなのです。
[第49回 東京モーターサイクルショー ── 国内メーカー編へ]
[第49回 東京モーターサイクルショー ── Parts & Accessory編へ]
[大阪モーターサイクルショーへ]