YAMAHA Vino 車両解説
ヤマハの“レトロポップ”スクーター、ビーノは、ホンダとヤマハが2016年10月に発表した“50ccスクーターの協業体制”の実現化の第一弾で、現在はホンダがこのビーノとジョクの生産をヤマハに代わり行っている。また、ステップボードから後半はほぼホンダのジョルノという内容で、すでに原付一種クラスは国内メーカー同士で需要を取り合っている状況ではなく、補え合える部分では積極的に補い合って、国産の二輪車を守っていこうという決意の表れとユーザーもとらえるべきだろう。
また、2015年8月にシリーズに加わった電動スクーター、E-Vinoの存在は、今後のシティコミューターへの布石としてとして注目を集めた存在だ。
この機会にざっとVinoの歴史を振り返っておくと、歴史は、1997年3月の2ストロークモデル発売に始まっている。丸目ヘッドライト、フラットなフロア、大きめのレッグシールドに深いフロントフェンダー、フルカバードタイプをイメージさせるリアサイドカバーなどノスタルジックなビンテージスクーターフォルムに、ジョグで定評の6.3馬力エンジンを搭載してデビューした。
流行り廃りの多いファッション系スクーターといえたが、とうとう四半世紀を迎えようという歴史を積み上げてきている。やはりビンテージ系スタイルの定番スクーターには根強い力があるのだろう。それはともかく、歴史を刻み続けられたのは、2004年(3月発売)のフルモデルチェンジで、燃費向上と環境対応をはかった4ストロークエンジン搭載へと切り換えられたことも大きなポイントだ。それも原付スクーター初の3バルブヘッドとメッキシリンダーを備えた先進の4ストロークエンジンの採用だった。生産もこの頃は“定番”となりつつあった海外拠点(ヤマハモーター台湾)に移行されていた。
その後は2008年モデル(2007年11月発売)でF.I.化が行われたのが一番大きな変更点で、それ以外はイヤーモデルとしてほぼ毎年細かい改良が続けられた。2011年は、ベーシックモデルのビーノ XC50が新グラフィックの「Vino」立体エンブレムの採用と、インナー色に淡いベージュ系を取り入れカジュアル&ポップ感を演出。デラックスバージョンのXC50Dでは、ヘッドライトカバーが従来のクロームメッキ処理から車体と同色の塗装仕様となった。2012年モデル(4月20日発売)は、XC50がカラー設定の変更と新グラフィックエンブレムの採用、デラックス仕様のXC50Dがニューカラー3色の採用により、継続色の2色と合わせ5色展開になった。
2013年3月には、標準モデルのビーノXC50にもデラックス仕様と共通デザインのVinoロゴグラフィックを採用、ビーノブランドを印象づける“ビトロエンブレム”も新たに追加した。ビーノXC50Dの方は5色中4色をニューカラーとし、ボディサイドにグラフィックを追加したカラータイプもラインナップした。2014年2月には、新色の追加とカラー設定の変更で2014年モデルへ。また、2014年7月には、1,300台の限定でスペシャルカラーを施した“トロピカルな夏”モデルも発売した。
2015年2月には、女性をメインのターゲットとしていることはそれまで通りで変わりはないが(ちなみにデザインも女性チームが担当しているという)、「女の子らしいスタイルを好む女性に向けて“Vino Girl”、ボーイッシュでアクティブな女性に向けて“Vino Boy”という2つのスタイルを設定しました」。特に“Vino Girl”の新色「マットダークグレーメタリック1」では、ビーノ初のマットカラーをベージュ系ボディと調和させ、ホイール、ウインカーボディ等もベージュとしたモデルだった。
同じ年の10月には、ビーノシリーズ全体が、ヤマハの定番原付スクーター、ジョグと同様のエンジン面の改良が行われている。排気系の見直しによりエンジンの出力を3.1kWから3.3kWに、トルクも3.9N・mから4.2N・mに向上させた。また、新型ECUの採用とO2フィードバック制御を追加し、FIシステムの変更などにより、燃費性能も30km/hの定地燃費で66.0km/Lから68.3km/L(この数値のみジョグの69.7km/Lと異なっている)へアップ、WMTCモード値でも50.1km/Lから56.5km/Lへと向上を図っている。フロントバスケットを採用して2009年4月にシリーズに加わったビーノ モルフェも同様にエンジン面の改良が行われている。
このビーノシリーズのマイナーチェンジに合わせて、チョコレートをイメージさせる特別なカラーリングが採用された「Sweet Style」も発売されている。「女の子のハッピーがたくさん詰まったチョコレート」をテーマにブロンズとレッドのツートンカラーのボディをベースに、チェック柄をモチーフとしたグラフィックでアクセントを付けている。フロントにはゴールドの音叉エンブレムを採用していた。2016年7月には引き続き「Navy Style」も発売された。国内限定1,000台で「アクティブな女性のちょっとしたお出かけにピッタリなモデル」をイメージしたモデルだった。
2017年2月にもビーノ XC50Dのカラーリング設定およびグラフィックが変更され2017年モデルとなったばかりだったが、ジョグシリーズ同様、9月には平成28年度国内排出ガス規制対応シリーズとして新たに発売されることになった。
2021年3月登場の2021年モデルでは、目を引く“レッド”、深い赤のアクセントが特徴の“ブラック”、ホワイトとの組み合わせで上品さを演出した“ブラウン”、温かみを感じるモダンでシンプルな“ベージュ”の新色と継続して販売される“ライトブルー”と“ブルー”をあわせた全6色展開となっていた。
2022年モデルでは、新色2色が追加され、“ライトブルー”は水色とベージュのツートーン、“マットグリーン”は、基本色のマットグリーンにホワイトのアクセントが入り、ユニセックスかつ上品で落ち着いたカラーとしている。なお、“レッド”と“ブラック ”、“ブラウン”、“ベージュ”は、継続とされ、この全6色で展開される。
★ヤマハ ニュースリリースより (2022年3月1日)
原付一種スクーター「Vino」 2022年モデルを発売
~レトロポップなスタイルに似合うトレンドにマッチした2色を新設定~
ヤマ ハ発動機株式会社は、レトロポップなスタイルで人気の原付一種スクーター「Vino」の2022年モデルを4月12日に発売します。
2022年モデルは、シンプル&キュートな 新色を2色追加しました 。“ライトブルー”は水色とベージュのツートーンで「Vino」らしいかわいさとクラシカルな雰囲気を演出。“マットグリーン”は、基本色のマットグリーンにホワイトのアクセントが入り、ユニセックスかつ上品で落ち着いたカラーです。なお、“レッド”、ブラック”、“ブラウン”、“ベージュ”は、継続して販売し、あわせて全6色で展開します 。
「Vino」はレトロ感を表現したファッションスクーターです。ブレーキングをサポートするコンビブレーキやアイドリングストップ・システムなど、日常の移動に便利な装備も充実しています。なお、製造は本田技研工業株式会社が行います。
- <名称>
- 「Vino」
- <発売日>
- 2022年4月312日
- <メーカー希望小売価格>
- 203,500円(本体価格185,000円/消費税18,500円)
- ※メーカー希望小売価格(リサイクル費用含む)には、保険料、税金(除く消費税)、登録などに伴う諸費用は含まれていません。
- <カラー>
- ・ボニーブルー(ライトブルー/新色)
- ・マットアーマードグリーンメタリック(マットグリーン/新色)
- ・ファイティングレッド(レッド)
- ・グラファイトブラック(ブラック)
- ・マホガニーブラウンメタリック(ブラウン)
- ・バージンベージュ(ベージュ)
- <販売計画>
- 10,000台(年間、国内)