SUZUKI GSX-S1000 車両解説
2015年のモーターサイクルショーで国内デビューし、多くのバイクファンの注目を集めたスズキの新型スポーツモデル。その年の7月に発売が開始された。スーパースポーツ、GSX-R1000をベースとしたエンジンを、これまたGSX-R1000をベースにさらに開発を進めたフレームに搭載した。“GSX-R”というサーキット指向のスーパースポーツに対して、こちら“GSX-S”はストリートやワインディングを制する「高揚感のある加速と走りを楽しめる」ストリートスポーツだ。
発売にあたってスズキが強調したのもズバリ「GSX-S1000 ABS/S1000F ABSは、ストリートでのエキサイティングな走りのために生まれました」ということだった。スーパースポーツ、GSX-R1000をベースに開発がスタートしたのは周知の事実だった。それ故、サーキット指向の強烈な走りをそのまま引き継いでいると捉えられたくない、それが開発者たちの強い思いともなっていた。「走る」「曲がる」「止まる」を高いレベルで実現するのはスーパースポーツも同じだが、戦うフィールドが違えばおのずとその質は違ってくる。
エンジンは、GSX-R1000のものをベースに再開発している。だが、単純にベースにといっても、GSX-S1000 ABS/S1000F ABS用に選んだのは最新モデルのエンジンではなかった。実際に各世代のGSX-R1000をアップハンのネイキッドスタイルにしてテストするなど、ネイキッドスポーツとの相性を調べた結果、よりトルクフルで中低回転域も重視する2005年~2008年のモデルに搭載されたエンジンに白羽の矢が立ったという。
フレームも基本はGSX-R1000から開発が始まっているが、ストリートでのよりしなやかな特性を実現するべく剛性を中心に見直しが行われ、さらにはエンジンもデザインの一部として重要な役目を果たすネイキッドならでは、で最終決定の直前でエンジンハンガー部のリデザインなどもあえて行われたという。
このように、スタート地点こそGSX-R1000だが、ほぼ全てに渡って再開発が行われ、GSX-R1000の遺伝子がそのままのカタチで伝わっているのは、唯一スイングアームくらいなのだそうだ。
2018年2月には、このGSX-S1000シリーズに新色が追加されている。特別色「パールグレッシャーホワイト/グラススパークルブラック」(AGT)の新色が加わったGSX-S1000 ABSが2月15日、「グラススパークルブラック」(YVB)の新色を得たGSX-S1000F ABSが2月26日に発売された。
2019年2月は、GSX-S1000 ABS、GSX-S1000F ABSともにカラーの変更のみで2019年モデルとなった。GSX-S1000 ABSは、「グラススパークルブラック/トリトンブルーメタリック」(KEL)、「パールグレッシャーホワイト」(YWW)、「マットブラックメタリックNo.2」(YKV)の3色。GSX-S1000F ABSは、「トリトンブルーメタリック」(YSF)、「グラススパークルブラック」(YVB)の2色。
2020年2月にも、カラーリングの変更で2020年モデルとして発売された。「トリトンブルーメタリック」(YSF)、「マットブラックメタリックNo.2/オールトグレーメタリックNo.3」(BN8)、「マットブラックメタリックNo.2」(YKV)。同時発売のGSX-S1000Fでは、「パールグレッシャーホワイト」(YWW)、「グラススパークルブラック/トリトンブルーメタリック」(KEL)、「グラススパークルブラック」(YVB)の3色だった。
今回、2代目の登場にあたってのトピックは、扱い易さとスポーツ性能の高さという基本はそのままに、アグレッシブかつ前衛的なデザインをより強調し、メカニズム面ではエンジンの出力向上を図るとともに、電子制御システム“S.I.R.S”(スズキ・インテリジェント・ライド・システム)を新たに装備することで、より扱いやすさと、スポーティなライディングの両立を追求している。
海外ではすでに2021年6月から発売されており、スペック、装備等は欧州仕様そのまま準じているとされているという。
★スズキ ニュースリリースより (2021年7月21日)
スズキ、ストリートバイクの大型二輪車
新型「GSX‐S1000」を国内で発売
スズキ株式会社は、大型二輪車新型「GSX-S1000」を8月4日より国内で発売する。
「GSX-S1000」は2015年に初代モデルを発売して以来、スーパースポーツバイク「GSX-R1000」のエンジンと車体をストリート向けにチューニングした、高揚感のある加速と軽快な走りを楽しめるモデルとしてご好評いただいているストリートバイクである。
2代目となる新型「GSX-S1000」は、扱いやすさとスポーツ性能の高さを継承しつつ、アグレッシブかつ前衛的なデザインを採用した。また、エンジンの出力向上を図るとともに、電子制御システムS.I.R.S.(スズキ・インテリジェント・ライド・システム)を新たに搭載することで、より扱いやすさとスポーティーなライディングを両立できるストリートバイクとして進化させ、2021年6月より欧州を中心に販売を開始している。
国内で発売する新型「GSX-S1000」は、欧州同等の仕様、装備とし、スポーティーなライディングから普段使いまで、ストリートバイクにおけるライダーの走る楽しさを追求した。
- ●年間目標販売台数
- 600台(日本国内)
- ●商品名
- 「GSX-S1000」
- ●エンジン
- 4サイクル 998cm3
- ●メーカー希望小売価格
- 1,430,000円
- ※ 価格(リサイクル料含む)には、保険料、税金(消費税を除く)、登録等に伴う費用は含まれない。
- ●発売日
- 2021年8月4日
- ●カラー
- 「トリトンブルーメタリック」(YSF)。
- 「グラスマットメカニカルグレー」(QT)。
- 「グラススパークルブラック」(YVB)。
主要諸元
車名型式 | 8BL-EK1AA | |
---|---|---|
GSX-S1000(GSX-S1000RQM2) | ||
発売日 | 2021年8月4日 | |
全長×全幅×全高(m) | 2.115×0.810×1.080 | |
軸距(m) | 1.460 | |
最低地上高(m) | 0.140 | |
シート高(m) | 0.810 | |
車両重量(kg)※2 | 214 | |
乾燥重量(kg) | – | |
乗車定員(人) | 2 | |
燃費消費率(km/L)※1 | 21.2(国交省届出値 定地燃費値 60km/h 2名乗車時)※2 | |
16.6(WMTCモード値 クラス3-3-2 1名乗車時)※3 | ||
登坂能力(tanθ) | – | |
最小回転半径(m) | 3.1 | |
エンジン型式 | DTB1 | |
水冷4ストローク直列4気筒DOHC4バルブ | ||
総排気量(cm3) | 998 | |
内径×行程(mm) | 73.4×59.0 | |
圧縮比 | 12.2 | |
最高出力(kW[PS]/rpm)※4 | 110/11,000 | |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm)※4 | 105/9,250 | |
燃料供給装置形式 | フューエルインジェクション | |
始動方式 | セルフ式 | |
点火方式 | フルトランジスタ式 | |
潤滑油方式 | 圧送式 | |
潤滑油容量(L) | 3.4 | |
燃料タンク容量(L) | 19 | |
クラッチ形式 | 湿式多板コイルスプリング | |
変速機形式 | 常時噛合式6段リターン | |
変速比 | 1速 | 2.562 |
2速 | 2.052 | |
3速 | 1.714 | |
4速 | 1.500 | |
5速 | 1.360 | |
6速 | 1.269 | |
減速比1次/2次 | 1.553/2.588 | |
キャスター(度) | 25° | |
トレール(mm) | 100 | |
タイヤサイズ | 前 | 120/70ZR17M/C 58W |
後 | 190/50ZR17M/C 73W | |
ブレーキ形式 | 前 | 油圧式ダブルディスク ABS |
後 | 油圧式シングルディスク ABS | |
懸架方式 | 前 | テレスコピック式 |
後 | スイングアーム式 | |
フレーム形式 | ダイヤモンド |
※平成32年(令和2年)国内排出ガス規制に対応
※1:装備重量は、燃料・潤滑油・冷却水・バッテリー液を含む総重量となります
※2:燃料消費率は、定められた試験条件のもとでの値です。実際の燃費は、使用環境(気象、渋滞等)や 運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状態などの諸条件により異なります。
※3:定地燃費値は、車速一定で走行した実測にもとづいた燃料消費率です。
※4:WMTCモード値は、発進、加速、停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果にもとづいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます。
※5:エンジン出力表示は、「ps/rpm」から「kW/rpm」へ、トルク表示は「kgf・m/rpm」から「N・m/rpm」へ切り替わりました。( )内は、旧単位での参考値です。