SUZUKI バーグマン400 ABS 車両解説
バイクの世界もグローバル化という避けて通れない変革の中にある現在。排出ガス規制の全世界統一や出力自主規制の廃止など、ライダーにとってもメリットは大きいのだが、国内市場で親しまれてきた車名が消えてしまうのは若干寂しい思いがするのも確か。
2017年8月に、それまで国内市場ではスカイウェイブ400として親しまれてきたスズキのビッグスクーターのネーミングが、フルモデルチェンジを機に、海外市場向けではすでにおなじみとなっている「バーグマン」の名称に統一された。
「スカイウェイブ」の名称は、1998年に登場したスズキ初のビッグスクーターとして、2月に250版、そして10月に400と発売時期は若干ずれたが、基本的に同一構成の兄弟車としてデビューしたモデルから採用されていたもの。
前後13インチ・タイヤにディスクブレーキ、リアにはリンク式モノショックという足回りを持つ車体に搭載されたのは、1軸バランサーを採用し、単気筒SOHCながら4バルブの元気なエンジン。「スクーターにも楽しい走りを」というスズキらしいモデルだった。シート下にはA3サイズの書類が入るアタッシュケースが収納できる“パーソナルスペース”を備えるなど、的を得た使い勝手とともに人気を集めることに成功している。その後のシリーズの発展はいうまでもないだろう。
スクーター界の“ビッグネーム”が消えてしまったのは残念だったが、現在はグローバルスクーター界の定番ブランドのひとつ「バーグマン」として内外で活躍を見せてくれている。
ちなみにフルモデルチェンジした新型バーグマン400 ABSの特徴は、「バーグマン・クーペ」をコンセプトにデザインされた四輪のクーペをイメージさせるニュースタイリングをはじめ、バーグマンシリーズに共通する左右二灯式LEDヘッドランプ、LEDリアコンビネーションランプ等の採用。装備面では、クッション厚を20㎜増やして快適性を向上させた新型シート、使い勝手を向上させた各種収納スペース、エンジン面では低中速トルクをアップさせるとともに、エアクリーナーボックスの容量アップでスロットルレスポンスの向上や力強い加速特性とするなど、各所に熟成の手が入っている。
2018年9月には、カラーリングの変更が行われたが、2019年9月のカラーでは、ホイールカラーがブルーとなり(※マット青:YUAは変更なしだった)、また、シートステッチのカラーも変更となっていた。
今回のマイナーチェンジは、平成32年(令和2年)国内排出ガス規制に対応したのがメインで“スズキデュアルスパークテクノロジーを採用し新しい触媒システムの採用と併せて対応を行っている。また新たにトラクションコントロールの装備、イージースタートシステムが装備された。
★スズキ ニュースリリースより (2021年6月18日)
エレガントなスタイリングと優れた動力性能を兼ね備えた
400cc ラグジュアリースクーター「バーグマン400 ABS」を
マイナーチェンジして発売
スズキ株式会社は、エレガントなスタイリングと快適性、充実した収納、動力性能を兼ね備えた400ccのラグジュアリースクーター「バーグマン400 ABS」をマイナーチェンジして、7月6日より発売する。
「バーグマン400 ABS」は、国内初の400cc スクーターとして1998年に発売して以来、高い走行性能や快適な乗り心地、洗練されたスタイリングで好評を得ていた「スカイウェイブ400」の全面改良モデルである。
2017年に車名を「バーグマン400 ABS」に変更。洗練されたスタイリングと快適性を維持しながら、スリム、スポーティーで軽快な印象のデザインとし、リンク式モノショックリヤサスペンションを採用、ヘッドランプとリヤコンビネーションランプにLED を採用した。
今回、新たにトラクションコントロールを装備し、エンジン出力を効率よく路面に伝えることが可能になった。また、エンジンにスズキデュアルスパークテクノロジー※を採用し、燃焼効率の向上を実現。新しい触媒システムを採用することで、平成32年(令和2年)国内排出ガス規制に対応した。
※ 1気筒あたり2本のスパークプラグを持ち、高い燃焼効率を実現。スムーズな出力特性と高い燃焼性能、排出ガス低減に貢献している。
- ●主な変更点
- ・トラクションコントロール装備
- ・スズキデュアルスパークテクノロジーの採用
- ・イージースタートシステム装備
- ・平成32年(令和2年)国内排出ガス規制に対応
- ・車体色:3色 マット銀「マットソードシルバーメタリック(QKA)
- 黒「マットブラックメタリックNo.2」 (YKV)
- 灰「ソリッドアイアングレー」 (YUD)
- ●「バーグマン400 ABS」の主な特長
- デザイン
- ・「バーグマン クーペ」をコンセプトにデザインされた、スポーティーなクーペのようなスタイリング。
機敏な走りをイメージし、スリム、スポーティーで軽快な印象のフロントとリヤのボディデザインとした。
1)LED を採用したバーグマンシリーズ共通イメージの左右二灯ヘッドランプ
2)エレガントさと軽快な印象を与えるシャープでスリムなLED リヤコンビネーションランプ
3)流麗なフォルムを引き立てる上向きにデザインされたマフラー - 装備
- ・厚みに定評のあるクッションを採用し、快適性をサポート。ヘルメットなどの用品を収納できる
42Lのシート下トランクスペースと、グローブなどの小物の収納に便利なハンドル下左右のスペース。
右側には12Vのアクセサリーソケットを装備。 - エンジン・車体
- ・デュアルスパークテクノロジーを新たに採用した399cm3DOHCエンジンにより、燃費性能を向上しながら、二人乗り時でも余裕のある走行フィーリングを実現。
- ・スタータースイッチを押し続けずにワンプッシュするだけでエンジンが始動するイージースタートシステムを新たに採用。
- ・リンク式モノショックリヤサスペンションを採用。快適性とスポーツ性能を最大限に両立し、ひときわ優れた操縦性を発揮。
- ・スリムな車体や外装は、操縦性が良く、特に狭い道などでの走行時に貢献。
- ・シートとハンドルの位置は、快適でスポーティーなライディングポジションを実現。
- ・スリムなシートと左右の足元付近を絞り込んだカットフロアボードによる良好な足つき性。
- ・15インチフロントホイールによる高い操縦安定性。
- 電子制御
- ・新たにリヤタイヤのホイールスピンを検出した際、速やかにエンジン出力を低減するトラクションコントロールシステムを搭載。エンジン出力を効率よく路面に伝えることが可能になり、より快適なライディングを楽しむことができる。
- 商品名
- バーグマン400 ABS(AN400AM2)
- メーカー希望小売価格(消費税10%込)
- 847,000円(消費税抜き 770,000円)
- 発売日
- 2021年7月6日
- 車体3色
- マットソードシルバーメタリック(QKA)、マットブラックメタリックNo.2 (YKV)
ソリッドアイアングレー (YUD) - ※価格(リサイクル費用を含む)には、保険料、税金(消費税を除く)、登録等に伴う費用は含まれない。
主要諸元
車名型式 | 8BL-DU11N | |
---|---|---|
バーグマン400 ABS | ||
発売日 | 2021年7月6日 | |
全長×全幅×全高(m) | 2.235×0.765×1.350 | |
軸距(m) | 1.580 | |
最低地上高(m) | 0.125 | |
シート高(m) | 0.755 | |
車両重量(kg) | 218 | |
乾燥重量(kg) | – | |
乗車定員(人) | 2 | |
燃費消費率(km/L)※ | 27.2(国交省届出値 定地燃費値※2 60km/h 2名乗車時) | |
25.2(WMTCモード値※3 クラス3サブクラス3-1 1名乗車時) | ||
登坂能力(tanθ) | – | |
最小回転小半径(m) | 2.7 | |
エンジン型式 | K432 | |
水冷4ストローク単気筒DOHC4バルブ | ||
総排気量(cm3) | 399 | |
内径×行程(mm) | 81.0×77.6 | |
圧縮比 | 10.6 | |
最高出力※4(kW[PS]/rpm) | 21[29]/6,300 | |
最大トルク※4(N・m[kgf・m]/rpm) | 35[3.6]/4,900 | |
燃料供給装置形式 | フューエルインジェクション | |
始動方式 | セルフ式 | |
点火方式 | フルトランジスタ式 | |
潤滑油方式 | ウェットサンプ式 | |
潤滑油容量(L) | 1.5 | |
燃料タンク容量(L) | 13 | |
クラッチ形式 | 自動遠心式 | |
変速機形式 | Vベルト無段変速 | |
変速比 | 2.279~0.865 | |
減速比1次/2次 | 2.214/2.928 | |
キャスター(度) | 25° | |
トレール(mm) | 101 | |
タイヤサイズ | 前 | 120/70-15M/C 56S |
後 | 150/70-13M/C 64S | |
ブレーキ形式 | 前 | 油圧式ダブルディスク(ABS) |
後 | 油圧式シングルディスク(ABS) | |
懸架方式 | 前 | テレスコピック式 |
後 | ユニットスイング式 | |
フレーム形式 | パイプアンダーボーン |
※平成32年(令和2年)国内排出ガス規制に対応
※1:装備重量は、燃料・潤滑油・冷却水・バッテリー液を含む総重量となります
※2:燃料消費率は、定められた試験条件のもとでの値です。実際の燃費は、使用環境(気象、渋滞等)や 運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状態などの諸条件により異なります。
※3:定地燃費値は、車速一定で走行した実測にもとづいた燃料消費率です。
※4:WMTCモード値は、発進、加速、停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果にもとづいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます。
※5:エンジン出力表示は、「ps/rpm」から「kW/rpm」へ、トルク表示は「kgf・m/rpm」から「N・m/rpm」へ切り替わりました。( )内は、旧単位での参考値です。