ずっとやってきたこと
CB400 SUPER FOURは92年に登場した時点でライバル勢の先を行く完成度を誇っていた。ダブルクレードルの鉄フレームに2本ショックという、古くから存在したオーソドックスな車体構成をしながらも、水冷4バルブエンジンや前後17インチホイール、ダブルディスクブレーキなどレプリカ愛好家が乗り換えてきてもスポーツ性能における一定の満足感が得られるモダンさがあり、むしろそれはその後のスタンダードを形作っていたとさえ言える。
その中で初期のNC31型はよりスポーティなバージョンRやS、さらにはホンダ50周年記念車などを展開した後、00年にはNC39型へとチェンジ。エンジンはVテック機構を導入したものの基本構成は引き継いだのに対し、フレームは新設計となり前後タイヤもラジアル化。車体はスポーティさも確保しながらもさらに親しみやすい構成となった。一方新機構であったVテックはその開発がさらに進み、また07年にはインジェクションも採用し現行車へと繋がってくる。
もちろん、細かいレベルでは様々な変更、進化、突き詰めが進められてはいるのだが、しかしスーパーフォアは28年の歴史の中で常に熟成路線を採ってきたのは間違いない。大きな路線変更をせず、時の流行り廃りに一切流されず、ただただ真面目に「この形をさらに突き詰める」ということを重ねてきたのだ。
継続は力なり。他社がこのカテゴリーから手を引いた後もやり続け、一部からは「まだ旧世代的な400ネイキッドやってるの?」という目で見られたこともあっただろう。しかしずっとやってきたことをずっとやり続けたことで、スーパーフォアは類を見ない高みに辿り着けていると感じる。
衰えない人気
ずっと変わらず、というとカブやSR、セローなどが思い浮かぶが、続けることでコアなファンが付く、というのは事実だろう。スーパーフォアは今や400ccとしてはわりと高価なモデルにもかかわらず、安定した高い人気を保ち続けている。それは販売面だけでなく、例えば我々メディアからはいつでも一目置かれる存在であったり、バイク便にも扱いやすさや耐久性で好まれたり、またバイクオブザイヤー的なコンペティションでも必ず上位に入ったりするという意味で、多角的に人気が高いのだ。
初期型から完成度が高く、また教習所などでお世話になった人も多いだろう機種だけに、普通二輪免許を持っている人なら誰でもなんとなくなじみがあり、そして悪い印象を持つことのないバイク。それでいてただ乗りやすいだけではなく、その先にある充実感やエキサイトメントもしっかり備えるあたり、エントリー向けとしての間口の広さがありながらも、熟成を重ねたことによってベテランユーザーに対しても玄人好みの魅力を提供できているのが根強い人気の一つの理由と言える。
事実、大型バイクを乗り継いだライダーでもCB400 SUPER FOURに乗ると多くの場合「あぁ、これで十分じゃないか」となってしまうほど、とにかく死角のないバイクなのである。
最新型はネオレトロ?
そんなスーパーフォアの最新型はインジェクションを備えたRevoから大きくは変わっていないが、17年のマイナーチェンジで各種環境規制を国際基準化したことを受け吸排気系をチューン。スーパーフォアの歴史上初めてのパワーアップを果たして56馬力となったのがトピックだ。
同時にスタイリングはよりレトロチックなものになった。砲弾型メーターや丸型ミラーなど懐古路線ともとれるチェンジに筆者は少し戸惑ったというのが正直な気持ちだった。というのもスーパーフォアは決してフィーリング重視のテイスティバイクではなく、技術の粋を集めて辿り着いた一つの究極形だからして、「懐かしい路線」は採って欲しくなかったという気持ちがあったからだ。ただ、それはこの丸ライトのネイキッドタイプだけの話であり、ハーフカウル付のボルドールは決してそういう路線ではないことを思えば、同じモデルでしっかりと棲み分けをしているともとれる。鉄のダブルクレードルフレームや2本ショックという構成は事実として旧いのだから、この姿に懐かしさを感じるユーザーが多く、それらユーザーにアピールするのも自然の流れかもしれない。
跨った瞬間の安心感
正直、押し引きしている段階ではそれほど軽いバイクという感じはない。ガレージからバックで出す、などという場面ではそれなりに力が要るだろうし、例えば整備のためにレーシングスタンドに立てるなんていう時には「重いな」と感じることもあるかもしれない。しかし跨るとそういった不安が一掃されるから不思議だ。
肝となっているのは重心の低さだろう。初期型に比べるとVテックが導入されたタイミングでエンジン搭載位置が下げられたが、このインジェクションモデルになるとさらに重心が低く感じ、かなり良好な足着き性能にも助けられてか、先ほどまで感じていた重さはきれいさっぱりなくなってしまう。ハンドル位置もとても自然なアップタイプで、ハンドル切れ角も十分なため跨ったままの取り回しも良好。200kgを超える重量があるバイクとは思えない接しやすさがある。
一方で、長身のライダーにとってはちょっとコンパクト過ぎるように感じることもあるかもしれない。筆者は身長185cmだが、低いシートに対して、バンク角を確保しているステップまでの距離は狭めの設定で、膝の曲りは大きく感じ長距離ではたまに膝を伸ばしたくなりそうな印象があった。ただそれも慣れの問題だろう。窮屈に感じるようなことはなく、そのステップ位置も実際に走っている時には適正に感じられた。
最速の類??
公道での走りにおいて「最速」などと言うのもおかしな話ではあるのだが、しかしこのスーパーフォアに乗るとそんなワードがどうしても頭に浮かぶ。公道における「最速」とは純粋に「あの峠道のA地点からB地点まで最も速く駆け抜けられる」ということではない。ブラインドコーナーもあれば対向車もある。山菜取りのおばちゃんが道を横切っているかもしれないし、湧き水が浸み出しているかもしれない。サイクリストだって野生動物だっているのが公道であり、そういう場面での「速さ」というのはすなわち「余裕をもって状況を正確に判断できる能力」を指すと思う。すなわち懐の深さ、安全性、自由度といったものがバイクに求められるのだ。
そしてスーパーフォアは高い次元でこれを持っている。先が見渡せる余裕のあるポジション。しっかりと路面を捉える足周りは荒れた路面もものともせず、いざという時にはABS付のブレーキが非常に良く効く。先が確認でき気持ちよくアクセルが開けられる状況になれば、エンジンの4バルブ領域を使って胸のすく加速を楽しめる。「最速」、言い換えれば「長距離を、マージンをもって、安全に楽しく、ハイペースで走破する能力」の高さ、こう考えると、スーパーフォアのそれはちょっと他のバイクが思い当たらないほどのレベルにあると思う。
低回転トルクと高回転パワーを両立しているエンジンも良いが、特に気持ちが良いのはハンドリングだ。前後17インチとはいえフロントタイヤは60扁平を採用することでかなり小径。90mmという少ないトレール量のおかげもあり、本当にクルクルと良く曲がる。大きなボディアクションを必要とせず、何の気なしにスイッとコーナーに放り込んだならば内側の縁石に乗り上げてしまいそうなほど良く曲がるのだ。それでいて高速域で何か不安定さがあるかと言えばそんなことはなく、ビシッと安定して東名高速の速い流れをリードでき、またレーンチェンジもより大排気量車のように安定してかつスパッとこなすことが可能。その万能さには本当に恐れ入る。
スーパーフォアと言えば接しやすさやVテックエンジンが語られることが多いが、本当の魅力はこのハンドリングにあると思う。時には舗装が切れそうな舗装林道から高速道路まで、あらゆる状況を涼しくこなすこともできれば積極的に楽しむこともできるという、夢のような車体及びハンドリングなのである。
Vテックエンジンの特性
NC39時代にスペック3まで進化を重ね、このNC42になってインジェクションの採用と共にRevoへと進化したVテック。6500rpm付近までは2つのバルブを休止させた2バルブとし、それ以降は4バルブ化するという機構である。低回転域で2バルブを使うのは燃費向上に加え、トルク特性が良いというのが主な理由だった。
この機構については多くの人が絶賛するのだが、あえて別の視点で語りたい。というのも、Vテック以前のNC31型でも400ccらしからぬ低回転域トルクがあり、とてもフレキシブルなエンジンだったのだ。最近、姉妹誌ミスターバイクBGにおいて歴代モデルに試乗できたため、比較しながら書いてみたい。
Vテック機構以前のエンジンとVテックモデルの低回転域を比べると、正直、体感的なトルクの太さは同じ、に感じる。違いと言えばVテック以降の方がアクセルをあまり開けなくても進んでいく、ということだ。アクセル微開領域においてもコロコロと進んでいくという意味ではVテック搭載エンジンは大排気量車のようなトルク感は確かにある。しかしもう少しアクセルを開けたならば、2バルブ領域は時として燃費重視のような柔らかい回転上昇をするのに対し、Vテック未搭載のモデルはよりダイレクトに加速感が生まれ元気に加速していく感が確かにある。
この違いをより明確に感じたのはVテックでもキャブモデルであり、インジェクションモデルになってからはアクセルを開けた時の加速線の細さみたいなものは感じにくくはなっていたが、そんな感覚を得た今回の比較試乗で、頭に浮かんだのは「今の技術で作ったVテック未搭載スーパーフォアに乗ってみたい」だったのだ。
Vテックが導入された時は、この新しい技術を楽しみたいという時の流れもあっただろうし、エコが叫ばれるようになる時期だったこともあり燃費の確保も重要項目だった頃。同時に各種環境・騒音規制も厳しくなってきた関係で、2バルブ領域を作ればそれら法的な要求に応えやすかったという都合もあったことだろう。しかし今、各種規制は国際基準となり様変わりしているし、車検のある自動二輪車はますます趣味性が高まっていることは価格面からも明らかであり、燃費をそこまで気にしなくなっている風潮もある。また現代の技術ならばVテックを採用しなくてもある程度の燃費は確保できるはずだ。
さらに、ワインディングを元気に走っていると4バルブに切り替わる6500RPM周辺をよく使うことに気付く。コーナー立ち上がりでアクセルを開けた時、ちょうど6300RPM辺りだと「あれ? もっと欲しいな」と感じてしまいアクセルをワイドオープン、すると4バルブに切り替わった途端にウッと前に出る。そのトルク変動を避けるべく4バルブ領域を維持するためもう1速低いギアで進入すると、こんどはエンジンブレーキが大きくなってしまう、というジレンマがあったこともあり、ますますVテックなしの、今のスーパーフォアに乗ってみたいという気持ちが湧いたのだった。
新しいスーパーフォアエンジンへの妄想
まさか、誰もが絶賛するスーパーフォアのVテックエンジンを批判する人はいまい。と自分でも思っていたが、そのまさか、自分が批判、とまではいかないが、違うカタチやより良さそうなカタチを想像するとは思っていなかった。Vテック導入からもう20年、もしかしたら、かつてのサスペンションのアンチダイブ機構やら、VTのインボードディスクのように、Vテックは技術の進歩により不要になってきている機構なんじゃないか、なんてことを考える。
馬力アップしたこの唯一の400ccインラインフォア、Vテックを廃しその分シンプルで軽量にし、ついでに馬力も気持ちよく60の大台に載せてしまおう。燃費は多少犠牲になるかもしれないが、低回転領域から一直線の胸をすく加速が得られるはずだ。さらに妄想を加速させると、サイドカムチェーンを採用してエンジンそのものをコンパクトに作り直し……なんて言い出したらコストが非現実的になってしまうし、ここまで積み重ねてきた熟成を否定してしまうから……やめておこう。
熟成を重ねてこの領域に達したスーパーフォアをリスペクトする気持ちは変わらないが、そんな新時代エンジンが、スーパーフォア30周年に登場したらなかなかステキではないか。カワサキがニンジャ400でそうしたように、日本の誇るバイクとして海外市場にも展開したら、高齢化と共に本当に良いものの選択眼を養ってきた世界のライダー達はきっと興味を持ってくれると思う。その証拠に、NC31型スーパーフォアの多くは輸出され、緻密な日本製エンジンとして海外のクラシックシーンで人気なのだから。
守って欲しい「ネイキッド感」
エンジンについてはそんなことを妄想したが、逆に車体については現在の形でパーフェクトだと筆者は思っている。全体的にユルい感じが恐怖感を抱かせないし、低いシート高と自然なポジションは本当に接しやすい。かつてのネイキッドブームの時は各社ともこういった車体構成のモデルを出していたが、いつしかバイクはより剛性が高く、同時にシートも高くなり、サーキットも含めたようなスポーツ性を持たせる方向に舵を切ったように思う。それはそれで良いのだが、スーパーフォアが持つような万能性、汎用性、あらゆる道も怖くない自由度やライダーが抱く絶対的自信は、こういったかつてのネイキッドの車体構成によるところだと思う。
またユーティリティーにおいてもこの構成は有利だろう。尖ったデザインとしていないおかげで、タンデムシート面積を確保することができ、タンデムライダーの快適性や荷物の積載性を確保できているし、ライダーの快適性も同様に高いレベルを維持できる。2本ショックはさすがに旧いイメージだが性能的には全く不満はないし、そのおかげでシート下にスペースを確保できているという利点もある。一時期廃止していた独立型ヘルメットホルダーを再採用したホンダは「趣味のバイクでも、同時に便利でなければいけない」と気づいている。
乗った瞬間に「ウヒャ!」となるバイクは確かに心をくすぐる。そしてスーパーフォアは逆に乗った瞬間「これはもう知ってるな」と安堵と共に既に消化済みの感も確かに漂う。しかしだからこそ最高なのであり、例え本当に30周年で抜本的なモデルチェンジをしたとしても、この車体の基本的方向性はぜひとも引き継いでほしいと強く思うほど、とにかく車体のパーフェクトさは特に訴えたいポイントであった。
定番商品でありつつ、決して裏切らない性能を有し、常に一定の人気があるからこそ、なんとなく見過ごしてしまうスーパーフォア。使い古された言葉ではあるが、本当に「エントリーユーザーからベテランまで、自信をもって薦められる」バイクであることの再確認ができた試乗だった。
(試乗・文:ノア セレン)
■エンジン種類:水冷4ストロークDOHC4バルブ直列4気筒■ボア× ストローク:55.0×42.0mm■最高出力:41kW〔56ps〕/ 11,000rpm■最大トルク:39N・m〔4,0kg-m〕/ 9,500rpm■全長× 全幅× 全高:2,080×745×1,080mm■ホイールベース:1,410mm■シート高:755mm■タイヤ(前× 後):120/60ZR17M/C× 160/60ZR17M/C■車両重量:201 ㎏■燃料タンク容量:18L■メーカー希望小売価格(消費税10% 込み):884,400円(キャンディクロスフィアレッド、アトモスフィアブルーメタリック)/928,400円(ダークネスブラックメタリック)
オマケ!
フラッシュバック! 過去のスーパーフォアはこうだった回顧録
NC31 1996 CB400 SUPER FOUR Version S
初期型からのバリエーションとして展開されたバージョンS。少しだけレッドゾーンが高められ、フレームにも補強パイプが追加されるなど細部に変更が加えられている。今乗ると現行車に対してはだいぶ旧車感が濃いが、かといって扱いやすさや危なっかしさは全くなく、この時点でスーパーフォアは完成していたのだな、などと再認識した。細身のバイアスタイヤに支えられた車体は現行車よりもいくらか大柄に感じるものの足着きは良好でポジションもナチュラル。エンジンに至ってはVテック未搭載ながらむしろ全域でパワフルに感じるほどで、けっこうその気になって走り回ってしまった。現行車より排気音が静かなのも、おじさんライダーになりつつある自分にとっては魅力に感じる。残念ながら近年はパーツ供給が厳しくなってきており、大切に乗りたい車種になってきている。
NC39 2003 CB400 SUPER FOUR Hyper VTEC SPEC Ⅲ
Vテックが搭載され、車体も一新したNC39型は今に続く新たなスーパーフォアの出発点。試乗したのはスペック3と呼ばれる最後のキャブ車、スーパーフォアの中でも名車と呼ばれることも多い。Vテックはモデルによって性格が違い、スペック1では2バルブから4バルブ領域への切り替わりがとてもスムーズな設定。スペック2では逆にこの切り替わりを演出し、かなり体感できる味付けに。スペック3やその後のインジェクション「Revo」では1と2の中間ぐらいの味付けだろうか。Vテックという技術をどうアピールするか模索しているのが伺えるが、個人的には切り替わりが感じにくいスペック1が走らせやすい印象がある。そしてNC31からの一番の進化はやっぱり車体。フレンドリーでいてスポーティ。現行型へと繋がる素晴らしい車体である。
BIG 1(ビッグワン)すなわちCB1000SFの400ccバージョンとして発売された初代NC31型スーパーフォア。レプリカブームが去り、ネイキッドの時代だったが、圧倒的人気モデルはゼファーだった。その牙城を破るべく登場したホンダの刺客は、鉄のダブルクレードルフレームに2本ショックというモデルだった。究極のスタンダードを目指したスーパーフォアは、大人気となった。発売当時価格は59万8000円。カラーは、ピュアブラック、パールシャイニングイエロー、イタリアンレンドの3色。同年6月にツートーンのブラック×ヘビーグレーメタリックとロイヤルシルバーメタリック×センシティブブルーメタリックが追加された。価格は1万円アップだった。
発売と同時に大人気となったスーパーフォアは、1995年、シリンダーヘッドカバーの大型化、シリンダーフィンを5枚増設、クランクケースカバー形状の変更等を受けた。車重は1kg増加して193kgとなった。そして、このモデルをベースに、PGM-IG(電子制御点火装置)、フレームダウンチューブにクロスパイプを追加、さらにビキニカウル付きのVersion Rが発売された。サイレンサー別体アルミサイレンサーの集合マフラー、肉抜きされたステップホルダーなどを装備し、スポーツ性を強調した。カラーリングは、パールライブリーオレンジとミュートブラックメタリック、スターライトシルバー。発売当時価格は60万9000円。
ネイキッド・ブーム真っ盛りの当時、ビキニカウルのVersion Rは思ったほどの人気を得られなかった。そこで、装備内容は継承し、さらにフロントブレーキはニューフローティングディスクと対向式4ポッドキャリパーを追加した他、ゴールドチェーンや専用リアサスが装着されたVersion Sが発売された。これだけの装備追加、変更がありながら、価格はスタンダードモデルから僅か1万円アップの59万9千円というお買い得設定だった。これにより、スーパーフォアの売れ行きはますます好調になった。カラーリングは、写真のミュートブラックメタリック、そしてイタリアンレッド、スパークリングシルバーメタリックの3色。
登場から7年目、車体・エンジンとも一新しフルモデルチェンジを受けた。最大の特徴は、中低速域では2バルブ、高回転域の6750回転に達すると4バルブになる新型のHYPER VTECエンジンを搭載。ホンダ独自のバルブ制御システムで、カムがリフターを介してバルブを直に押す「直押しタイプ」は量産車世界初採用だった。車体も大幅に見直され、6kgの軽量化を実現した。また、平成12年度排出ガス規制に対応するため、エキゾーストエアインジェクションシステム(二次空気導入装置)も採用。車体色は、スペンサーカラーを思い出すシルバーにブルーラインのフォースシルバーメタリック(ストライプパターン)、キャンディフェニックスブルー、ブラックの3色。発売当時価格は、60万9000円(ストライプは1万円高)。
2バルブ→4バルブへの切り替えタイミングを、6750回転から6300回転へと引き下げた。この変更により、バルブの切り替わる感覚と4バルブ領域での力強さをより体感しやすくなった。また、キャブセッティング、点火時期などの排気系を見直すことにより、低中速域でのトルクアップと全域でのパワー特性を向上させた。そのほか、メーターも電気式に一新し、楽しいアクションが見られる。また、400ccクラスとしては初のH.I.S.S.(キーに内蔵されたチップによる盗難抑止装置)も搭載。カラーリングは、4色の標準カラーと計18パターンのカラーオーダープランを設定。価格は62万9000円(カラーオーダープランは2万円高)。2002年12月には新色としてCBX400Fイメージのツートーンカラーであるキャンディブレイジングレッド(写真)を追加している。
高速道路での二人乗り解禁に合わせ、高速走行時の風圧低減と走行安定性向上を目的に、専用設計のハーフカウルを装着したスーパーボルドールを追加発売。スクリーンはスモークタイプで、カウルの内側には、通行券などを収納できる約1リットルの蓋付き収納スペースを設置(左側は鍵付き)。ベースは2005年モデルのスーパーフォア スペックⅢ。2003年に、高速巡航時の燃費向上や、2→4バルブの切り替え時の吸排気音の変化をより分かりやすく体感できるように、1速から5速の時は6300回転で、6速時のみ6750回転でバルブ切り替えを行うようにセッティング変更されスペックⅢへとなっていた。さらに2005年型では、フロントフォークに無段階調整が可能なプリロードアジャスタと共に、高密度ウレタンシートを採用することによって乗り心地が向上した。車体色は、ツートーンのキャンディブレイジングレッドと、ソリッドのブラックの2色(カラーオーダープランは設定無し)。発売当時の価格は73万5000円(ツートーンは2万1000円高)。
平成18年度排出ガス規制に対応するため、燃料供給をキャブレターからフューエルインジェクションに変更。PGM-FIを、シリーズで初めて搭載した。併せてバルブ可変システム“VTEC”は、ギアポジションとエンジン回転数に加え、スロットル開度まで検知し演算するシステムの“HYPER VTEC Revo”へと進化した。また、400ccクラスのネイキッドでは初めてとなる、前後ブレーキが連動するコンバインドABS装着モデルを設定した。型式は、これまでのNC39からNC42へと改めた。車体色は、定番ともなったCBX400Fイメージのキャンディブレイジングレッド、パールヘロンブルー2のツートーンの2パターンと、ソリッドカラーのグリントウェーブブルーメタリック、グラファイトブラックの計4色。カラーオーダープランも設定された。価格は、ABSのないソリッドカラーが一番安く71万9250円で、ABS仕様は79万2750円。ツートーンカラーは、3万1500円高。
「CB相伝・継承の外観進化 “一人でも二人でももっと遠くへ快適に”」を開発コンセプトにし、外観変更と、各部の熟成を図った。新デザインのサイドカバー、リアカウルを採用。車体では、シートレールを変更した。これは、純正アクセサリーのリアキャリアとトップボックスの装着に対応するためだ。また、10本アルミダイキャストスポークの採用、砲弾型メーターや丸ミラー、白×赤の伝統的なカラーリングでクラシカルなルックスになった。車体色はグラファイトブラック、アトモスフィアブルーメタリック、キャンディプロミネンスレッド(以上のABSなしが74万250円、ABS装着は78万9600円)、パールサンビームホワイト(ABSなしが77万1750円、ABS装着は82万1100円)。
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