チキチキVMXは全国規模。今回も北は青森県、西は香川県から、そしてキッズ9歳から御大74歳までの老若男女が、昭和の旧車を「どこから見ても美しくきれいに」「最後までちゃんと走るように」「何でもいいから好きなように」など各々の趣向で仕上げ、秋の一日を思いきり走らせた。50ccもナナハンも、国産も外車もいて、それはそれはバラエティ豊か。車種や年代別のクラス分けでのレースは、2ヒート制のスプリントに加え90分ミニ耐久もあって大賑わいだ。ユニークなクラス名もチキチキならではの『日本GP神鍋’70』『WGP’69以前』、ちょっと本気な競り合いが見られるのは『セニアスポーツ』と、とにかく次から次へと希少マシンがわんさか走る。
ウェアもみんなお洒落だ。当時の本物を押し入れから引っ張り出してきた人もいれば、今どきのクラシックデザインを着こなす人もいる。聞いたことのない音やオイルの匂いも非日常を煽ってくれる。かつてモトクロス黄金時代と言われた’60~’90年代に青春を送った人は懐かしさ一杯で走り、そのずっとあとに生まれた若者たちはヴィンテージバイクのカッコ良さにインスパイアされて走る。しかし走ればやはり、あちこち経年劣化した部分が壊れるのだそうだ。で、壊れたら直す。直す作業がまたもうひとつの愉しみなのだ。
「自分が高校生のときに雑誌で見て憧れていたバイク」を、2年ほど前、九州は湯布院の岩下コレクション(ミュージアム)に展示されいたヴィンテージファクトリーマシン、スズキTM250(’69)が売りに出ていたのをすかさず入手。「本当に希少、国内ではこれ1台なんじゃないかな?」とヤブキさん、伝説の’60~’70年代ワークスライダー矢島金次郎選手になりきるコスプレを楽しんだ。丸金マークヘルメットに注目。
香川県からいつも渾身の力作を持ってくるマナベさん、今回は『空飛ぶサスペンション』と話題になったヤマハYZ250M(‘74)、それもフレームナンバー00003番という夢の1台を完全再生、46年ぶりに息を吹き返した。「外注に出すのは内燃機加工とパウダーコーティングだけ。それ以外はすべて自分で、自宅に持つ50畳の倉庫と50畳の工房でレストアに没頭!」というワケで達成感一杯「どーだ!」の笑顔。
シマダさんいわく「ある日のことスクラップ屋にあって、ボロボロだけどこれってファクトリーマシンじゃないか!? とよく見たら本物だった」という超希少車ホンダCR250(’80)。レストアはすべて自分で、最初は「とりあえず走ればいいか~」からそのうち「もっとキレイにしなくちゃ!」とエスカレート、究極の1台に仕上がった。観戦に来ていた無限OBの方もあまりの完成度の高さに目を白黒させていたとか。
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