XL750 TRANSALP 車両解説
トランザルプ750がマイナーチェンジ
1987年4月に発売されたトランザルプ600V。“雄大なスケールのツーリングが楽しめる新しいタイプの大型スポーツバイク”として発売されたアドベンチャーモデルだった。ただしわずか300台が限定発売されたのみだった。
当時、世界一過酷なラリーといわれたパリ・ダカールラリーで、’86年、’87年と2年連続で優勝(二輪車部門)したレースマシン「NXR750」で得た技術をフィードバックし開発したものとアナウンスされていた。
エンジンは、軽量・スリム・コンパクトな水冷・4ストローク・52度V型2気筒。34mm径の2連キャブレターと大容量エア・クリーナーを備え、1気筒あたり2本の点火プラグや吸気弁2本・排気弁1本のスリーバルブ方式を採用。また、振動を低減させるホンダ独自の位相クランク・シャフトもあわせて採用していた。
車体レイアウトは、未舗装路走行での踏破性を高めるためのフレームやサスペンションの構造にくわえ、空力特性の良い大型フェアリングを採用し、高速走行でのライダーの疲労軽減を図っているのが特徴だ。さらに、エンジンの出力特性も通常使用することが多い中・低速域で、特に扱いやすく力強い加速性能を発揮する設計とし、ライダーへの負担軽減を図るとともに、舗装路での快適な乗り心地と不整地でのすぐれた操縦性を両立していた。
“雄大なスケールのツーリングが楽しめるオールラウンドスポーツバイク”の400版として国内仕様が登場したのは1991年10月。「ホンダトランザルプ400V」として発売されている。
さらに外観を変更し使い勝手を一段と向上させて発売されたのは、1993年の第30回東京モーターショーに出品し、登場が待ち望まれたモデルで、1994年3月に発売されている。
現代のトランザルプストーリーを切り拓いていくであろうXL750 TRANSALPに焦点を移すと、まずエンジンは、新開発の水冷4ストロークSOHC4バルブ直列2気筒、754cm3エンジンを“親しみやすくタフネスを表現したアドベンチャースタイル”の車体に搭載。
防風性能と空力性能を兼ね備えた機能的な大型ウインドスクリーンの中に納まるのは、車両の情報を集約し表示する5.0インチTFTフルカラー液晶マルチインフォメーションディスプレイ。最新の電子システムももちろん搭載で、あらかじめ設定された出力特性を選択できる「ライディングモード」や「HSVCS(Hondaスマートフォン・ボイスコントロール・システム)」など各種の先進装備も強力だ。
車体は、レイアウトの最適化と各部の軽量化を施したリアフレーム一体型のダイヤモンドフレームに、ショーワ(日立Astemo株式会社)製SFF-CATM倒立フロントフォークを、リアには路面追従性に優れたプロリンクサスペンションに軽量高剛性のアルミスイングアームを組み合わせて採用することで、市街地から未舗装路までオールラウンドで快適な乗り心地に寄与しているという。
ブレーキは、フロントに2ピストンキャリパーに直径310mmのダブルディスクを、リアブレーキには直径256mmのシングルディスクを採用し、リニアな制動フィーリングを実現している。
2025年5月、デュアルプロジェクターヘッドライトや、インテークダクトを設置し環境に優しい素材を使用したウインドスクリーンの採用でフロントデザインを一新。さらに前後サスペンションのセッティングを変更により乗り心地の改善などを行った。車体色はイメージカラーのロスホワイトに加えて、新たにパールディープマッドグレーを設定して2色のラインアップとなった。
今回はホンダが開発したクラッチ操作を電子制御化することにより,面倒なクラッチ操作を不要とした(繰り替えによってマニュアル操作も可能)Honda E-Clutchを、XL750 TRANSALPに搭載してモデルチェンジ(従来モデルは廃止)。スロットル操作を電信信号化したスロットルバイワイヤシステムとE-Clutchの組み合わせは4月16日発売のCB750 HORNET E-Clutchに続いて2台目。またアルミ製のスキッドプレートが標準装備となった。車体色はマットバリスティックブラックメタリック。
★HONDA ニュースリリースより (2026年3月6日)
「Honda E-Clutch」をスロットルバイワイヤシステムと組み合わせて搭載した「XL750 TRANSALP E-Clutch」を発売
Hondaは、アドベンチャースタイルの大型スポーツモデル「XL750 TRANSALP」に、「Honda E-Clutch」を搭載するとともにカラーリングを変更した、「XL750 TRANSALP E-Clutch」をHonda Dreamより4月23日(木)に発売します。
- -スロットルバイワイヤシステムと組み合わせたHonda E-Clutchを初めて搭載したモデル
- -カラーリングにマットバリスティックブラックメタリックを採用
- -アルミ製スキッドプレートを標準装備
今回、ライダーのスロットル操作を電気信号に変換し、スロットルバルブの開閉を制御するスロットルバイワイヤシステム(以下、TBW)採用モデルに、クラッチコントロールを自動制御するHonda E-Clutchを初めて組み合わせて搭載しました。TBWとHonda E-Clutchの協調、制御技術により、さらに快適に、ときに冒険的に、ライダーの好みや技量、多様な走行シチュエーションに応じた、よりきめ細やかで洗練されたライディングフィールを提供します。
XL750 TRANSALPは、市街地から高速道路、そして峠道から未舗装路までオールラウンドで雄大なスケールのロングツーリングを快適に楽しめるモデルとして2023年に発売しました。2025年にはヘッドライトのデザインを一新し、よりアドベンチャーイメージを強調するデュアルプロジェクターヘッドライトを採用するなど、従来から持つ魅力のブラッシュアップを図り、ツーリング志向のベテランライダーを中心とした幅広い層のお客様に好評を得ています。
- ■販売計画台数(国内・年間)
- 300台
- メーカー希望小売価格(消費税10%込み)
- 1,430,000円(消費税抜き本体価格 1,300,000円)
- *価格(リサイクル費用を含む)には保険料・税金(消費税を除く)・登録などに伴う諸費用は含まれておりません
=主な特徴=
- Honda E-ClutchとTBWを組み合わせて搭載
- Honda E-Clutchは、発進、変速、停止など、駆動力が変化するシーンで、ライダーのクラッチレバー操作を必要とせず、最適なクラッチコントロールを自動制御することで、違和感のないスムーズなライディングを実現する電子制御技術です。XL750 TRANSALP E-Clutchでは、TBWとの協調、制御技術と組み合わせることで、スロットルを開けた際のバタフライバルブ開度やエンジン反応の最適化を図り、ライダーの技能や走行環境にあわせて、より柔軟かつ快適なクラッチ操作やスロットルワーク実現に寄与しています。シフトダウンの際は、半クラッチ制御にTBWがエンジン回転数を合わせることで、短時間で回転差を吸収し、変速ショックの低減を図っています。また、急減速時や、路面の段差などによってリアタイヤが跳ねる場面では、前後輪の車輪速差からリアタイヤが跳ねている可能性を検出し、半クラッチ制御を介入させることで、車体挙動の安定化を図るとともに、オフロードや悪路走行時での、後輪がスリップしている状況でもシフトペダル操作のみで適切な変速ができるよう制御しています。
搭載レイアウトは、従来のHonda E-Clutchに対し、リフト機構を2軸化することで、クラッチアクチュエーターを前方に配置することを可能とし、エンジンの構造を大きく変更することなく、システムのコンパクト化を実現しています。 - カラーリング
- 落ち着いた印象の中にスポーティーさを感じさせる「マットバリスティックブラックメタリック」の1色設定としています。
- その他
- 車体下部にアドベンチャーイメージをさらに引き立てる、アルミ製スキッドプレートを標準装備しています。
- サステナブルマテリアルの適用
- Hondaは、環境負荷ゼロ社会の実現に向けて、2050年のサステナブルマテリアル率100%を目指しています。XL750 TRANSALP E-Clutchでは、使用済みプラスチック製品を回収、適切な処理工程を経て、リサイクル材として外装の一部に使用することで省資源化を図るとともに、ウインドスクリーンには環境に優しいバイオエンジニアリングプラスチック「DURABIOTM>※1」を使用しています。
- DURABIO™は三菱ケミカル株式会社の登録商標です
主要諸元
| 車名型式 | ホンダ・8BL-RD16 | |
|---|---|---|
| XL750 TRANSALP E-Clutch | ||
| 発売日 | 2026年4月16日 | |
| 全長×全幅×全高(mm) | 2,325×840×1,455 | |
| 軸間距離(mm) | 1,560 | |
| 最低地上高(mm)★ | 195 | |
| シート高(mm)★ | 850 | |
| 車両重量(kg) | 216 | |
| 乗車定員(人) | 2 | |
| 燃費消費率(km/L)※2 | 34.5(国交省届出値 定地燃費値 60km/h 2名乗車時)※3 | |
| 22.7(WMTCモード値★ クラス3-2 1名乗車時)※4 | ||
| 最小回転半径(m) | 2.6 | |
| エンジン型式 | RD16E | |
| 水冷4ストローク直列2気筒OHC(ユニカム)4バルブ | ||
| 総排気量(cm3) | 754 | |
| 内径×行程(mm) | 87.0×63.5 | |
| 圧縮比★ | 11.0 | |
| 最高出力(kW[PS]/rpm) | 67[91]/9,500 | |
| 最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 75[7.6]/7,250 | |
| 燃料供給装置形式 | 電子制御燃料噴射装置(PGM-FI) | |
| 始動方式★ | セルフ式 | |
| 点火方式★ | フルトランジスター式バッテリー点火 | |
| 潤滑油方式★ | 圧送飛沫併用式 | |
| 潤滑油容量(L) | – | |
| 燃料タンク容量(L) | 16 | |
| クラッチ形式★ | 湿式多板コイルスプリング式 | |
| 変速機形式 | 常時嚙合い式6段リターン | |
| 変速比 | 1速 | 3.000 |
| 2速 | 2.187 | |
| 3速 | 1.650 | |
| 4速 | 1.320 | |
| 5速 | 1.096 | |
| 6速 | 0.939 | |
| 減速比1次/2次 | 1.777/2.812 | |
| キャスター(度)★ | 27°00′ | |
| トレール(mm)★ | 111 | |
| タイヤサイズ | 前 | 90/90-21M/C 54H |
| 後 | 150/70R18M/C 70H | |
| ブレーキ形式 | 前 | 油圧式ダブルディスク |
| 後 | 油圧式シングルディスク | |
| 懸架方式 | 前 | テレスコピック式(倒立サス) |
| 後 | スイングアーム式(プロリンク) | |
| フレーム形式 | ダイヤモンド | |
■道路運送車両法による型式指定申請書数値(★の項目はHonda公表諸元)
■製造事業者/本田技研工業株式会社
※2 燃料消費率は定められた試験条件のもとでの値です。お客様の使用環境(気象、渋滞など)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状態などの諸条件により異なります
※3 定地燃費値は、車速一定で走行した実測にもとづいた燃料消費率です
※4 WMTCモード値は、発進、加速、停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果にもとづいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます

