KAWASAKI Ninja ZX-10R KRT EDITION車両解説
2004年に発売されたZX-10Rに始まるZX-10Rシリーズ。さらにその歴史を遡れば、1988年に海外モデルとして生産が開始されたZX-10が源流といえるだろう。
1980年代当時、GPZ900R、GPZ1000RXとビッグバイク路線を推し進めていたカワサキが、GPZ1000RXをベースにより走りの充実を図るべく、フレームをアルミ製へと発展させ、スモールヘッド化などによりさらに熟成させたGPZ1000RXベースの新型エンジンが搭載されて登場したのがZX-10だった。ただ、ZX-10の車名を持つモデルとしての歴史は短く、わずか2年後、カワサキのフラッグシップモデルとしてのポジションは後継モデルのZZR1100にバトンタッチ、「ZX」の車名もこの時点で一旦消えてしまっている。
2004年、新世代の「ZX」として蘇ったZX-10Rは、「R」がプラスされた車名の通り、カワサキのスーパースポーツモデルの顔として蘇っている。それまでのカワサキのスーパースポーツとして存在したのはZX-9Rだったが、さすがには排気量差のあるホンダのCBR1000RRや、ヤマハのYZF-R1らのリッターモデル勢とわたり合うには限界があった。そこでZX-9Rからバトンタッチを受けるべく登場したのがZX-10Rだった。ZX-10Rは生粋のスーパースポーツとして誕生したのだ。
2019年3月に国内発売が開始された時点でのZX-10Rシリーズは3タイプとなっていた。ベーシックモデルとはいえ、高次元のサーキットポテンシャルを持つエンジンとシャーシに加え、バランスフリーフロントフォーク、BFRC lite(バランスフリーリヤクッションライト)サスペンション、ブレンボ社製ブレーキシステムなどを備えたNinja ZX-10R。
さらに、Ninja ZX-10Rをベースにカワサキ最先端の電子制御サスペンションKECS(カワサキエレクトロニックコントロールサスペンション)や、マルケジーニ社製鍛造ホイールなどを装備し、Ninja ZX-10Rの魅力をさらに高めたハイグレードモデルのNinja ZX-10R SE。
そして、チタニウム製コネクティングロッド、サスペンションセッティングのファインチューン、マルケジーニ社製鍛造ホイールの採用など、エンジンとシャーシに改良を加え、ベースモデルのサーキットポテンシャルをさらに向上させた特別なシングルシートモデル、Ninja ZX-10RRの3モデルだった。
スーパーバイク世界選手権をはじめ、鈴鹿8耐などの“ 市販車をベースにしたレース”をメインに据えるカワサキがリリースしたWSBチャンピオンマシンレプリカといえるこのZX-10RR。といっても、カワサキが目指していたのは、世界で戦うトップライダーのみが扱うことのできる速さではなく、“ 誰が乗っても扱いやすく、そして速い”マシンだったという。
「サーキットにおいて誰が乗っても扱いやすく乗りやすいということを追求していけば、結果として速いマシンが出来上がる」との開発者のコメントが示す通り、Ninja ZX-10Rシリーズとは正に“RIDEOLOGY“ の集大成とも言えるモデル。その中でもNinja ZX-10RRは、世界限定500台のみが生産されるスペシャルバージョン。チタニウム製コネクティングロッドの採用、サスペンションセッティングのファインチューン、マルケジーニ社製鍛造ホイールの採用などなど、エンジンとシャーシに改良を加え、ベースモデルのサーキットポテンシャルをさらに向上させている。
2021年6月にZX-10RシリーズがモデルチェンジするにあたってZX-10RRも準じた変更が行われている。ZX-10Rからの変更点としては、高回転域の性能を向上させるPankl社製の軽量ピストンとチタニウム製コネクティングロッド、高回転域で性能を引きだす、Ninja ZX-10RR専用の新設計カムシャフト。車体面では、サーキット走行を前提にセッティングしたショーワ社製バランスフリーフロントフォークとBFRC lite リヤサスペンション、フロントブレーキに採用した高レベルのブレーキ性能に貢献するレース用ステンレスメッシュブレーキホース、機敏なハンドリングを実現するマルケジーニ社製7本スポークアルミ製鍛造ホイール、ストリートとサーキットで優れたパフォーマンスを発揮するピレリ製ディアブロ・スーパーコルサSPタイヤ、サーキットシーンでの使用を想定したシングルシートなど。
2021年12月には、本体のZX-10Rシリーズがカラー&グラフィックを変更。ただしKRT EDITIONのカラーは継続とされていた。今回は、そのKRT EDITIONがカラー&グラフィック変更の番だ。
★カワサキ ニュースリリースより (2023年3月8日)
Ninja ZX-10R KRT EDITIONのニューカラーを国内発売
- モデル情報
- 車名(通称名) ZX-10R KRT EDITIONR
- マーケットコード ZX1002LPFAN
- 型式 8BL-ZXT02L
- 型式指定・認定番号 20096
- メーカー希望小売価格 2,332,000円(本体価格2,120,000円、消費税212,000円)※カワサキケア含む※販売店カワサキプラザ
- カラー(カラーコード) ライムグリーン×エボニー(GN1)
- 発売予定日 2023年4月8日
- ※当モデルは二輪車リサイクル対象車両です。価格には二輪車リサイクル費用が含まれます。
- 価格には保険料、税金(消費税を除く)、登録等に伴う諸費用は含まれません。
- ※当モデルはABS装着車です。
- ※当モデルはETCは標準装備しておりません(アクセサリーにて設定)す。
- ※メーカー希望小売り価格は参考価格です。
- ※当モデルは「カワサキケアモデル」です。
- 【Ninja ZX-10R KRT EDITION】
レースでのポテンシャルとストリートライディングでの楽しみを提供するNinja ZX-10R。採用された一体型ウイングレット装備のカウルが優れた空力性能とダウンフォースを生み出し、小型ヘッドライトと合わせ次世代のNinjaスタイルを体現しています。また、ファクトリーマシンからフィードバックされた空冷式オイルクーラーを採用し、優れたエンジンパフォーマンスを実現。加えて、エレクトロニッククルーズコントロールやスマートフォン接続機能を備えるTFTインストゥルメントパネルなど、先進機能を採用しています。
- ■主な変更点
- ・カラー&グラフィックの変更
- ■カワサキケアモデルとは
- 安心・安全なモーターサイクルライフをサポートするため、1ヶ月目点検に加え、3年間の定期点検とオイル交換(オイルフィルター含む)を無償でお受けいただけるモデルです。
https://www.kawasaki-motors.com/after-service/kawasakicare/
主要諸元
車名型式 | 8BL-ZXT02L | |
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Ninja ZX-10R KRT EDITION〉 | ||
マーケットコード | ZX1002LPFAN | |
発売日 | 2023年4月8日 | |
全長×全幅×全高(m) | 2.085×0.750×1.185 | |
軸距(m) | 1.450 | |
最低地上高(m) | 0.135 | |
シート高(m) | 0.835 | |
車両重量(kg) | 207 | |
乾燥重量(kg) | – | |
乗車定員(人) | 2 | |
燃費消費率(km/L)※1 | 20.3(国交省届出値 定地燃費値 60km/h 1名乗車時)※2 | |
16.5(WMTCモード値 クラス3-2 1名乗車時)※3 | ||
登坂能力(tanθ) | – | |
最小回転小半径(m) | 3.4 | |
エンジン型式 | – | |
水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ | ||
総排気量(cm3) | 998 | |
内径×行程(mm) | 76.0×55.0 | |
圧縮比 | 13.0 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 149kW(203PS)/13,200rpm ラムエア加圧時:156.8kW(213.1PS)/13,200rpm | |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 115N・m(11.7kgf・m)/11,400rpm | |
燃料供給装置形式 | フューエルインジェクション | |
始動方式 | セルフ式 | |
点火方式 | バッテリ&コイル(トランジスタ点火) | |
潤滑油方式 | ウェットサンプ式 | |
潤滑油容量(L) | 4.0 | |
燃料タンク容量(L) | 17 | |
クラッチ形式 | 湿式多板 | |
変速機形式 | 常時噛合式6段リターン | |
変速比 | 1速 | 2.600 |
2速 | 2.157 | |
3速 | 1.882 | |
4速 | 1.650 | |
5速 | 1.476 | |
6速 | 1.304 | |
減速比1次/2次 | 1.680(79/47)/2.411(41/17) | |
キャスター(度) | 25.0° | |
トレール(mm) | 105 | |
タイヤサイズ | 前 | 120/70ZR17M/C 58W |
後 | 190/55ZR17M/C 75W | |
ブレーキ形式 | 前 | φ330mm油圧式デュアルディスク |
後 | φ220mm油圧式ディスク | |
懸架方式 | 前 | φ43㎜テレスコピック式(倒立式) |
後 | スイングアーム式(ホリゾンタルバックリンク) | |
フレーム形式 | ダイヤモンド |
※1:燃料消費率は、定められた試験条件のもとでの値です。使用環境(気象、渋滞等)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状況などの諸条件により異なります。
※2:定地燃費値は、車速一定で走行した実測にもとづいた燃料消費率です。
※3:WMTCモード値とは、発進・加速・停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果にもとづいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます。
※ 改良のため、仕様および諸元は予告なく変更することがあります。