2022 FIM世界耐久選手権 “コカ·コーラ” 鈴鹿8時間耐久ロードレース 第43回大会に参戦する「Kawasaki Racing Team Suzuka 8H」と「Kawasaki Plaza Racing Team」が体制を発表した。3年ぶり鈴鹿の地に降り立った「Kawasaki Racing Team Suzuka 8H」のジョナサン・レイとアレックス・ロウズ。鈴鹿サーキットでは2日間の合同テストが行われ、カワサキレーシング勝利へのカウントダウンが始まった。
「Kawasaki Racing Team Suzuka 8H」のメンバーは、ワールドスーパーバイク選手権でカワサキレーシングから参戦のジョナサン・レイ選手、2020年から同チームメイトのアレックス・ロウズ選手、ブリティッシュスーパーバイク選手権に参戦中のレオン・ハスラム選手の3名体制で、マシンはNinja ZX-10R(鈴鹿8耐仕様)。
コロナ禍に入る前の2019年、26年ぶりの優勝を果たしたカワサキレーシングだが、2019年のレースはチェッカー間際、トップ走行中だったレイ選手をアクシデントが襲った。正式発表の前に行われた暫定表彰式、モヤっとした空気のなか「2位のポジションからのセレモニー参加でしたが、その後の審議の結果、カワサキレーシングの「優勝が決定。無観客の表彰台で優勝の記念撮影のみ行われたが、今回は正真正銘、大勢の8耐ファンの前で一番高いところに立つことを目標に掲げての参戦だ。
「日本に戻ってこられたことにとてもエキサイトしています。2019年は(優勝という)良い思い出を持っているので、その記憶を持って今回も日本に来ました。この3年間、色々と状況が変化しました。それが次第に通常に戻ってきつつあり、今回の大会は多くのファンのみんなが会場に足を運んでくれることを期待しています。スタンドを埋め尽くす観客、表彰台から見下ろす景色を、是非また見たいと思っている。とにかく日本のファンとまた会えるということが自分のなかで大きな意味を持っているんだ」(レイ選手)
「日本に帰ってこれてとても嬉しい。鈴鹿8耐は世界的にも有名でとても価値のある大会、日本の気温や湿度など、簡単ではないレースですが、自分としては良い成績を残し続けているレースだし、今回もとても楽しみにしている」(ロウズ選手)
ワールドスーパーバイクで6連覇を成し遂げたレイ選手は2019年と2012年の8耐で優勝、ロウズ選手、ハスラム選手はともに8耐で3勝を記録している。今回のテストはハスラム選手を除く2人での参加となりましたが、ハスラム選手が6月のテストに参加してマシンのベースが作られたおかげでテストはスムーズに行われ、8耐マシンのセットアップが進められた。
「スーパーバイクは割りとすぐに勘が戻ってくるのだけど、耐久仕様に乗るのは、タイヤの違いなどもあり慣れるのには少し時間がかかる。特にフィーリングをしっかり持っていくのはいつも苦労しているところだ。それもやはり、ラップを重ねるごとに慣れていくもので、2019年もファステストラップを出したのはレース後半の方だったし、確かアレックスもそうだったと思う。そうやって徐々に勘を戻していくんだ。そのためにテストはとても重要だ。バイクは仕上がりつつあるし、この2人は似たような特徴を持ったライダーなので2人でセットアップをしていけば問題はない。決勝については、何が起こるかわからないのがレースなので全力を尽くしていくだけだ。安全を意識しながら表彰台を狙っていく」(レイ選手)
「ジョナサンには3年ぶりだが自分は初めてこのチーム、このバイクで戦うので色々と探りながらやっているが非常に良い感じを得ている。それぞれのライダーが過去に優勝経験をもっているが、過去は過去。これから起こる事に集中していきたい。このメンバーこのチームであれば、最高の結果につながるだろう」(ロウズ選手)
テスト1日目の午前中はまだウェットな路面でしたが、午後からコンディションも回復。レイ選手、アレックス選手、蒸し暑さもあいまってテスト序盤は硬い表情だったが、ともに耐久仕様のマシンにフィットしていき、コンスタントに2分8秒台から、ナイトセッションでは2分6秒台のセッショントップタイムで1日目を終了。2日目は晴れ時々曇り、午前中は80分の走行で2分6秒台。8耐は、一発の速さよりアベレージが重要になる。午後は風も強く吹く中、2名はロングランテストで、レイ選手は連続27ラップを走行しテストは終了。今回のテストには参加しなかったハスラム、そしてレイ、ロウズの3人は幼馴染で気持ちも通じ合っていて、なによりお互いの走りを熟知している間柄。息のあったチームワークを見せてくれるだろう。8耐決勝に向けての準備は万端だ!
「Kawasaki Plaza Racing Team」とは、全国の85店のカワサキプラザ店がスポンサーとなり、プラザのスタッフもお客さんもまるっと巻き込んで、モータースポーツの面白さ、モーターサイクルの楽しさを共感できるチームとして立ち上げられた。鈴鹿8耐では、「Kawasaki Plaza Racing Team」はSST(スーパーストック)クラスに参戦し、スタッフもお客さんも、チームに思いを託して皆で応援し一緒に戦う。マシンはカワサキNinja ZX-10Rの鈴鹿8耐仕様。
ライダーは全日本ST1000クラス参戦の岩戸亮介、初の鈴鹿8耐参戦となるワールドスーパースポーツ300を戦う岡谷雄太、そして昨年まで全日本ST1000クラスに参戦していた清末直樹。監督は、これまでも8耐や全日本をカワサキ一筋で戦ってきた西嶋修。
SSTのマシンは、普段岩戸選手が全日本を戦っているものをベースに進めらる。全日本で参戦しているST1000クラスはダンロップのワンメイクレースだが、8耐はブリヂストンタイヤを使用するため、タイヤの違いが大きく、それに合わせた車体セットを進めているところ。
全日本ロードレースST1000クラスに参戦し、メインライダーの岩戸亮介は「僕が元々乗っていた車両なので、少し心配もあったのですが、テストを重ねていくうちに2人がしっかり乗りこなしてくれているのですごく安心できました、いい流れで進んでいると思います」
8耐には全日本チームのスタッフのほか、プラザ店のスタッフも参加し、ウチから外からプラザ店の強力なバックアップで目指すはSSTクラスの優勝!
「全日本選手権は現在2戦を終えたところですが、チームとしては8耐をメインにとらえています。ライバルチームはたくさんありますし、前を走るライダーがいると追いかけたくなりますが、8耐というのは全てが上手くいかないと一番いい結果にはならないので、周りを気にせず、ライダーとしてミスなく走ることに集中し、全国のプラザ店の皆さんとお客さんと、優勝をめざして一緒に戦っていけたらと思います」(岩戸選手)
「普段はワールドスーパースポーツで戦っていて、母国グランプリはスケジュールに無いので、自分自身も不思議な感じです。カワサキから話をいただき、日本に帰ってきてプラザチームの一員として走れるのは光栄です」(岡谷選手)
「昨年でレースを離れる予定だったのですが、走らないかと声をかけていただきました。昨年の9月以来の1000ccでのレース、周りのチームを意識せず集中して、しっかりバトンをつないで、プラザのお客様とともにSSTクラス優勝できるように精一杯やっていきたいと思います」(清末選手)
(撮影&レポート:楠堂亜希)