受講生たちは朝の受付を済ませると、ビブスを身に着け、少し緊張の面持ちで開講式に臨んだ。傍らに整列した指導員の方々は、教習所の教官や白バイ警官など、受講生にとってまさしく雲の上の存在だ。準備体操をおこなうと、乗車前の点検項目や乗車姿勢などについて説明がある。
交通機動隊の白バイと原付スクーターの警官がそれぞれの説明ごとにお手本を見せてくれて、安全のためのプロテクター装着についての指導もあった。
いよいよ乗車しての実技講習が始まる。まずは教習コース内の課題セクションで教官のお手本をじっくり見ながら説明を受け、内容やコースを覚え込む。課題は規制路走行、スラローム、制動、コーナリング、状況判断、見通しの悪い交差点、一本橋という順に続き、教官の目の覚めるような素晴らしい技術にしばし圧倒され、誰もが羨望の吐息。
休憩をはさんで、受講生たちはヘルメットを被り愛車に跨ると元気にコースへ、慣熟走行のあと課題セクションに挑戦だ。受講生のバイクは原付スクーターやスポーツタイプなど様々で、バイク選びにも個性が出る。
教官が鮮やかにクリアしていた各セクションも、いざ走るとなかなかテクニカルで、フラついてしまったり足が出たり、始めのうちはヒヤリとするシーンもあったが、45分間を周回しながら反復するうちにみな着実に上達していく。
制動は時速40km/hから決められた場所で停止、コーナリングは時速25km/hと35km/hでまわってそれぞれのライン取りの違いを実感した。状況判断のセクションでは、停車したトラックの横から交差点に進入し、右折車や自転車がいる状況での注意事項を学習。一本橋では全員のタイム計測がおこなわれ、最長時間でクリアした受講生は23秒6の好記録をマークした。
各セクションでは教官が一人一人の走りを見守りながら、アクセル開度、目線や姿勢などについて細やかなアドバイスをおこなった。
この時間に並行して、これからバイクに乗る予定の受講生達は、教室で『高校生のためのセーフティライディング講話』の講義を受けた。
実技講習を終え、休憩のあとは涼しい教室で45分間の講義だ。交通ルール説明のほか、実際に街中を走るシミュレーション画面を見ながら、他車の動きなどで状況が危険と思った瞬間にボタンを押す『動画KYT(危険予測トレーニング)』を使った講義は、わかりやすく楽しみながら学習できる。最初にボタンを押した受講生もわかるので、押した理由を発表するなど活気ある参加型講義だ。
そして最後のカリキュラムは救急救命法。各班に分かれ、事故時の対処方法、救急車が到着するまでの時間におこないたい心臓マッサージのやり方、AEDの使い方について、全員が実践体験した。
※参加者コメント
「今年5月に普通二輪免許を取ったばかりなので、今日の内容は懐かしかったです。でも一本橋のタイムは自己ベストよりだいぶ落ちていたので、このような講習は役に立ちますね」
「今年2月に原付免許を取ったので参加しました。座って講義を聴くのはあまり得意じゃないですが(笑)、今日は走りのほかAEDなどについても教わって良かったです」」
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