新エンジン、新フレームでフルモデルチェンジして新世代へ
YD、YDSシリーズは「2ストロークスポーツはヤマハ」のイメージを強烈に植え付けることに成功したが、1960年代の後半になると時代の流行は、大きさや豪華装備の指向が強くなっていった。そんな方向性からスポーティさをメインとする原点に戻したのが1970年発売の、史上最強の市販レーサーと呼ばれたTD-2のノウハウをフィードバックしたニューモデルRX350だった。エンジンはピストンバルブの5ポート、フレームもダブルクレードルでもちろん共に完全新設計。軽量コンパクトにまとめられた車体とパンチあるエンジンで、ナナハンに迫る加速性能を誇った。350をベースにボアを縮小したDX250も同時に発売され、後にRDシリーズへと発展、1970年代のヤマハ空冷時代を駆け抜けた。
YAMAHA スポーツDX250
2ストロークスポーツのヤマハというイメージを定着させたYDSから続くDS系を、スマートなスタイルでフルモデルチェンジ。従来は250をベースに排気量をアップして上級モデルが製作されたが、DXからはその手法が逆となり、4月に発売されたRX350がベースの250ccバージョンとして登場した。新設計の5ポートアルミシリンダー2気筒エンジンや、新設計ダブルクレードルフレームなど、市販レーサー譲りのRX350と同様の装備で、最高速度は150km/h。
1971年8月
YAMAHA スポーツDX250
1970年9月の発売当初は、白地にゴールド風のキャンディイエローラインの1色のみのラインアップであったが、翌年8月ヤマハブルー×キャンディオレンジとフロレンスグリーン×クリーンホワイトにカラーを一新。2色のラインアップとなった。価格や主要諸元等に変更はないが、カタログの車名はNEW DX250と表記された。
1972年4月
YAMAHA スポーツDX250 PRO
フロントに油圧式のシングルディスクブレーキを新たに採用したPROを追加。価格は16000円アップの212000円。オプションだった速度警告灯も標準装備。車体色はフロレグリーンとヤマハブルーで、ヤマハブラックのラインが入った新グラフィックを採用。ドラムブレーキ仕様は変更なく、前年モデルが併売された。
1973年1月
YAMAHA スポーツRD250
ヤマハ伝統のアルファベットで排気量や車種を示すシステムは何度か変更されているが、車種が増えた1970年代からシリーズ別表記となった。DXもフルモデルチェンジに合わせ350と共にRDに名称を変更。新設計の7ポートトルクインダクションエンジン、6速ミッションを新たに採用すると共にフロントディスクブレーキを標準装備し、灯火類の大型化やヘルメットホルダーの新設、ステアリングロックもメインキーと一体となるなど使い勝手も向上した。共にフロントディスクブレーキを標準装備し、灯火類の大型化やヘルメットホルダーの新設、ステアリングロックもメインキーと一体となるなど使い勝手も向上した。
1974年11月
YAMAHA スポーツRD250Ⅱ
シリンダーフィンに耐熱性ラバーを注入してフィンの鳴りを、エアクリーナーにサクションパイプを追加して吸気音などを減少させ、マフラーを40mm延長して容量のアップなどにより静粛性も向上。新燃料コック、可倒式タンデムステップ、スイッチ類の操作性の向上など各部を熟成化。スピードやパワーよりも安全性や乗り心地、騒音の低減などをアピールした。
1976年4月
YAMAHA スポーツRD250Ⅲ
前年10月の免許制度改正に合わせて、RDシリーズは400、250、125共にそれまでの曲線主体から、当時流行した直線主体のカフェレーサー風デザインへフルモデルチェンジ。エンジンはシリンダーヘッドの大型化、掃気ポートの改良で中低速域が向上。搭載位置を前方に移動させた新設計フレーム、リアに油圧式ディスクブレーキを新たに装備などで足周りや電装系など各部が大幅に改良された。
YAMAHA RD250Ⅳ
基本構造はそのままに、角形のタンクはスタイリッシュなデザインへとスタイリングを一新。シート周りを一新し、テールカウルが付いたニューデザインとなった。バックミラーも流行の砲弾型で左ミラーも標準装備となった。車体色は鮮やかなフレンチブルー、チャピィレッドの2色。
YAMAHA RD250SP
RDシリーズの最終型は、キャストホイールを装着しデザインも一新してモデルチェンジ。エンジンは左右一体式のシリンダヘッド、CDI点火なども採用された。ヤマハ2Qスポーツモデルの血統は、この後水冷となり、大躍進の時代を迎える。
[青春の2Q その3 Kawasaki空冷編-1|その4 YAMAHA空冷編-2| その5 SUZUKI空冷編-2]