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エンタメ

第125回 「全自動立喰・ソ」

 このところすっかりプラモ製作からごぶさたしています(時々衝動的に買ったりするので、おそらく死ぬまでに作りきれないほど在庫はあります)。昨今のプラモ事情に疎いのですが、先日たまたま静岡ホビーショーの記事を目にすると、ハセガワからうどん・そば自販機のプラモが出るというじゃないですか。自作してしまうどえらい人はいるようですが、プラモ少年だった私にとってハセガワといえば、タミヤと並んでガチガチの硬派なプラモメーカーで、特に戦闘機とか軍用機が強いイメージでした。最近はあっと驚く2ストバイクのプラモも続々と発売していますから、飛行機のハセガワは遠い昭和の話。ハセガワのWEBサイトを拝見したら、ガチのスケールものはもちろんですが、ヤンマーのコンバインとか建設作業員セットとか,学校やオフィス用の机とか椅子とか跳び箱なんてものまで、硬軟取り混ぜていろいろラインアップされているようです。へえ〜、平成令和と世の中、変化のスピードがどんどん早くなっているんですね。今さらですが……

ハセガワ
ハセガワ1/12バイクシリーズの最新作はKR250。その昔KR250にビデオカメラを積んで白バイをぶっちぎるという、当時でも過激な映像どこかで見たような記憶があります。(2021年5月撮影)
ハセガワ
1/12スケールでこんな小物も結構出ていますから、フィギアと組み合わせていろいろ妄想できそうです。もちろんフィギアは製作はそれなりの腕が必要ですが。(2014年5月撮影)





 気になるうどん・そば自販機のプラモですが、1/12スケール(全高150mm×全幅109mm×奥行76mm)というほどよいサイズ(何かに)です。喜び勇んでAB君にさっそくLINE(デジタルに疎い私でもLINEくらいはやってます。タダですし)をしたら、「ほ〜!でも、そばが出来るわけじゃないし、内部はがらんどうのただの箱でしょ」と即斬首。世の中には、解っていても口にしてはいけないこともあるでしょ。まあ、いいです。ならば死にものぐるいできっちり内部をフルスクラッチして、AB君に一泡吹かせてやってください(誰かが)。ハセガワの名誉のために付け加えておきますが、ただの箱ではもちろんありません。割り箸取り出し口と商品取り出し口は可動しますし、うどん兼そばに割り箸も2つ付属しています。残り時間を表示するニキシー管(本名は冷陰極放電管)はどう表現されているか楽しみです。ニキシー管といえば名鉄パノラマカーの先頭部分にあった速度表示計、どこかで製品化してくれませんか。と、このまま鉄話になだれこむかと思った貴兄、鉄話はもうしません。

うどん・そば自販機
うどん・そば自販機
発売が楽しみなハセガワのうどん・そば自販機。だしの香りがただよってきそうないい感じの雰囲気出ています。1/12のうどん兼そばは、小さいだけに塗装仕上げはちょっとたいへんかも。(2021年5月撮影)。

ニキシー管
うどん・そば自販機
名鉄のパノラマカーもとっくに幻です。その昔先頭にはオレンジ色の数字が浮かび上がるニキシー管の速度計が付いていましたが、1980年代半ばには撤去されてしまったみたいです。(左 1979年8月撮影)。

 話を戻してうどん・そば自販機ですが、1/12スケールですから同時に発表された新製品リアルフィギアコレクションNo.8 BLOND GIRL PART4(ブロンドのセクシーなバニーちゃんです)と組み合わせれば、夢のようなシチュエーションが作れます。バニーちゃんは限定生産で2021年7月28日発売(5390円 以下価格はすべて税込)。うどん・そば自販機は2021年7月2日発売(1650円)です。ちなみにうどん・そば自販機は第二弾で、第一弾としてハンバーガー自販機(1430円)がすでに発売されています。あのふにゃふにゃあつあつのハンバーガーなつかしいです。

ハンバーガー自販機
第一弾のハンバーガー自販機。ネコじゃなくて太ったおっちゃんの販売機は見たことあります。(2012年5月撮影)
自販機ハンバーガー
ふにゃふにゃあつあつの自販機ハンバーガーの実物。うどん・そば自販機よりも生存率は高いかも。(2012年5月撮影)

 ハンバーガー、うどん・そば自販機ときたら、次は? ぜひエロ本自販機を希望します。もちろん昼間は一面銀色、夜になってライトが付くと中が見えるマジックミラー仕様です。家族が寝静まった夜中、100円玉を大量にポケットに詰め込んで(じゃらじゃら音が出ないようセロテープ巻いて)、ものすごい高揚感で必死でチャリを飛ばして買いに行ったはいいけれど、自販機の前にヤンキーのあんちゃんや、時にはおまわりさんまでいて(エロ本だけではなくいろいろな自販機が並んでいて、ちょっとした休憩スペースもあった。当時田舎にコンビニはほとんどなかったからたまり場だった)、ぐるぐる田んぼの周りを走り回った末に、あきらめて帰投したり。数少ないチャンスをものにして、どきどきしながらページをめくれば……表紙とは裏腹な文字ばっかり、やられた……満足よりも後悔ばかりの思い出自販機です。ハセガワは無理でしょうから、ここはぜひプラモ界の狂犬ことアオシマさんよろしくお願いいたします。エロ本自販機、今もどこかにあるんでしょうか?

 すみません、ついついカウ走りしすぎました。エロ本自販機同様、実物のうどん・そば自販機も絶滅危惧種。人手不足や高齢化が悩みの立喰・ソ界においては、最新技術を投入したうどん・そば自販機が出てきてもよさそうなものですが、そんな話は聞いたことがありません。
 そばをゆでる→洗う→締める(生そば使用時)を自動で行うロボットアームはすでに実用化されており、2021年3月10日から、NRE、じゃなくて日本レストランエンタプライズ系列のそばいち海浜幕張店でツインアームの量産型?が本格稼働を開始しました。2026年までに30店舗に導入されるとか。つゆを入れる(これも今ではおたまではなくボタンひとつで適量が入る機械を導入している店舗も多いようです)、トッピングやねぎを入れて提供するまでは人間の仕事ですから、ゆでロボットはそれほど大きな戦力ではないような気もします(券売機と連動可能で注文と同時に茹で始めることも可能。これくらいは出来た当たり前か)。しかし、ポケベルやMDがあっという間に淘汰されたように、あれよあれよという間に完全自動化された立喰・ソが出現するのかもしれません。100年後、いや50年後にはロボット立喰・ソに労働ロボットが食べに来て、0と1で立ち話をしているという世の中になりそうで恐ろしいです。まあ、その頃私は骨になっているので知るよしもありません。

 まだロボットがゆでたソは未食です。エロ本自販機に向かうような高揚感もどきどきも感じないのでイマイチ食指が動きません。やはり立喰・ソは、単に舌で味わうものではなく、五感全てで味わうものだからでしょう。と、わかったようなことを言い放って、今回はこれまで。

佐原商店のうどん・そば自販機
秋田、佐原商店のうどん・そば自販機はNHKのドキュメント72時間で主役を張ったこともある日本一有名なうどん・そば自販機でしょう。型式名は富士電機VFN901B。現在は秋田港のセリオンリスタで動態保存されています。(2018年1月撮影)
月花亭
かつては自販機がずらーっとならんだドライブインがあちこちにありました。今も探せば残っています。昭和、平成、令和を生き抜いた戦士たちに敬礼!(2012年5月撮影)


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2021/05/28掲載