遅ればせながらあけましておめでとうございます。G2連邦・整備局委託長官のツボ8です。今年もこれまでどおり、誰の役にも立たないであろう、自分のXLR80Rの改造ネタなどを、ユルっと書いていく所存でありますので、よろしくお願いいたします。
さて前回は、縦型エンジンのルーツとなるCB50のオーナーさんたちの集まりをレポートさせてもらいましたが、今回は自分のエンジン改造ネタに戻ります。ナラシ運転後のシリンダーやピストンの状態を確認すべくバラしたエンジンを組み直したのですが、その際、強化バルブスプリングと実質ハイカムとなるXR100モタード純正カム(※以下100カム。エイプ100純正カムも同じです)に変更しました。
100カムと強化バルブスプリングをナラシ時に組み込まなかったのは、以前も書いたような気もしますが、ナラシの邪魔になるからです。100カムは組むと軽く1万回転以上回るようになり、上の回転ではかなりパワフルになるものの、低速がかなり非力(50ccの時に組んだフィーリングです)。対して頑張っても1万回らないエイプ50純正カム(※以下50カム)は、相対的に低回転域でのトルクが厚いので、発進時などのエンジンに掛かる負荷が小さく、ナラシ運転向きだと思ったわけです。
また、1万回転以上回らない50カムだから、1万2000回転以上回す時に効果を発揮する強化バルブスプリングも無用の長物以外の何ものでもなく、微々たるものとはいえ硬いバルブを縮める分、負荷が増加するのでナラシ運転であればノーマルの方が適しているはずです。
そんなウンチクの下、100カムと強化バルブスプリングを組まずにナラシ用エンジンを組んだわけですが、わざわざ再度エンジンをバラしてまでやるほどのメリットはないと思います。真似する人はいないと思いますが、今回のようにナラシ後にエンジン内部を確認したいなんて時以外は、こんなことする人いないという話でした(笑)。
さて、ナラシと内部チェックが完了し、上記のような理由で組み込んでいなかった100カムと強化バルブスプリングを組み込むわけですが、それを組むにあたって、ちょっと確認しておきたいことがありました。それは吸排気バルブとピストンがタッチしてしまうことがないかどうか? バルブにピストンが当たってバルブが曲がってしまうということが、カムやバルブ、ピストンの変更やバルブタイミングの変更により起こるようになるので、今回組み合わせる部品で、そんなことが発生しないかを確認しておきたかったのです。
というのも今回組み込む100カムは、以前も書きましたが、50カムと比べリフト量もプロフィールも異なり、相対的にいわゆるハイカムとなります。つまりバルブがシリンダ側に突き出す量も多く、バルブが開いている時間も長い。ということはバルブがピストンに当たってしまう可能性が高くなるわけです。さらにいえば今回のエンジンは、エイプ100用のヘッドを組んでます。100ヘッドは燃焼室容積も大きいですが、吸排気バルブ共に径も大きい。これもやはりピストンに当たる可能性が高くなります。
バルブとピストンが当たらないようにすべく、ピストンにはバルブの逃げ加工(バルブリセス)が施されています。これはボアアップキットのピストンはもちろんですが、純正のピストン(50も100も)にもリセスが設けられているんです。ってことはバルブとピストンは、ノーマルであってもかなり近づく設計になっていると思われます。
今回使用するボアアップキットのピストンにもバルブリセスは刻まれています。しかしこれは、恐らくノーマルの50ヘッド+50カムを想定したものだと思われます(メーカー不明なのでそんな注釈はもちろんありませんが)。リフト量もプロフィールも違う100カムで動く径が大きい100バルブを組んだら、バルブとピストンが果たして当たるのか当たらないのか? こればかりは実際に組み付けて確認するか、もしくは三角関数(?)を駆使して計算してみるかしかないようです。計算するスキルがない自分は、前者の方法を使って確認することにしました。
ちなみに100ヘッドを組んだ時点で、50カムで動かすとはいえ大きくなったバルブとピストンの接触を確認すべきだったわけですが、やらないまま組んでました(笑)。幸いにもピストンとバルブが当たらなかったのですが、100カムを組み合わせた場合は、果たしてどうなるのでしょうか?
バルブとピストンが当たるかどうかを確認すべく、エンジンを仮組みします。ちなみにピストンとバルブの位置が重要となるので、ヘッドガスケットとベースガスケットも実際に使用するものを使って組む必要あり。それからピストンとバルブの最小時のクリアランスを確認できるようにピストンの頭に粘土を盛っています。この状態で仮組みしたエンジンのクランクを回してやると、バルブが粘土を押し潰すので、バルブとピストンが最も近づいた状態でのクリアランスを確認できるというわけです。
仮組みしたエンジンをバラして、バルブが押し潰した痕跡の残った粘土を確認すると、幸いにも粘土の層が途切れてピストンのアルミが見えてしまっている部分はなく、ピストンとバルブの接触はなさそうです。ちなみに本来であれば粘土の断面の厚さをしっかり測定すべきだったのかもしれませんが、バルブとピストンのクリアランスを確認するという作業を行うのは今回が初めてで、粘土からピストンのアルミ地が見えなかったことに満足してしまって、具体的なクリアランスは確認しておりません(笑)。
というワケで、現状のパーツの組み合わせとなるメーカー不明のボアアップキットにエイプ100純正ヘッドと100カムを組んでもピストンにバルブがヒットしないことが確認できましたので、本組みしたいと思います。