「シンプルでエレガントなスタイルの、お洒落な新型メットインスクーター」として初代ジョルノが発売されたのは、1992年の3月。前年の第29回東京モーターショーに参考出品されて話題を集めたモデルの市販化だった。オーソドックスなビンテージスクーター・スタイルを、最新のメカと組み合わせて“古いが新しい”の時代感覚にマッチさせたことで、ファッションに敏感な若者層を中心に人気を呼んだ。
搭載されたエンジンは、空冷2ストロークで、ジョルノの初代としては1999年の最終モデルまで同一の仕様だった。そして、1999年7月に実質的な後継モデルといえるジョルノクレアが発売開始される。量産二輪車初の水冷4ストローク50エンジンを、これまた国内スクーター初のアルミダイキャスト製フレームに搭載しての登場で大きな話題となった。ただし、このジョルノの名称を引き継いだジョルノクレアは短命で、2001年1月に後継モデルのクレアスクーピーにバトンタッチした時点でジョルノの名称は外されてしまっている。
クレアスクーピーはバイクにとっては逆境の2000年代前半を生き抜いたが、2010年2月にニューカラーがアナウンスされたのを最後に環境対応などの面からラインナップから消えていた。そして2011年1月、実質的にクレアスクーピーの後継モデルである4ストファッションスクーターとして、名称もシンプルにジョルノとして復活したのが2世代目のシリーズだ。
ただエンジンは、このクラスとしてはユニークな存在だった水冷4ストロークは採用されず、トゥデイ・シリーズなどにも共通するシンプルな空冷4ストロークエンジンとなり、デザインもキープコンセプトながら完全に新設計のボディで登場している。クレアスクーピーの後継というよりは、やはり新時代のジョルノの誕生だった。
そして2012年1月には、ジョルノのカラー設定変更と同時に、レッドの専用ストライプなどを施し、スポーティーさをプラスした“ジョルノ・スポルト”がバリエーションに追加されている。さらに2013年1月には特別なカラーリングを施した“スペシャル・エディション”も登場している。マットアクシスグレーメタリックとパールキャンサーホワイトの2色をベースとした2タイプがリリースされた。2014年1月には、カラー&グラフィックが変更され、ラインナップもシンプルに単色系(黄と黒2色)のジョルノと、ツートーン系(桃、青、茶、白4色)のジョルノ・デラックスのバリエーションとなった。2014年11月に、ジョルノの車体色を“街中で映える”全4種類のバリエーションに、ジョルノ・デラックスを“上質感を際立たせるツートーンカラー”で2種類のバリエーション設定としたのが前型モデルの最終となった。
2015年10月には、エンジンに水冷4ストロークOHC単気筒50ccの「eSP」(※eSPの意味は下のホンダ・リリースを参照)エンジンを採用、より丸みを強調したボディにフルモデルチェンジ。家電や生活用品などのイメージを取り入れたデザインがより可愛らしさを演出したモデルとなった。また、新型ジョルノの生産は、それまでの中国ではなくなり国内の熊本工場で行われた。
2016年4月には、人気キャラクターの“くまモン”カラーを採用したモデルが登場。くまモンカラーは2014年4月に登場したモンキー・くまモン バージョンに続く第二弾だが、このeSPエンジンモデルからは限定販売ではなく、ジョルノのレギュラーバリエーションとしての存在となった。
2017年11月は、平成28年排出ガス規制に対応するとともに、カラーバリエーションを変更するモデルチェンジが行われた。人気のくまモン バージョンも排出ガス規制対応でシリーズの一員としてのポジションをキープ。
今回は、このジョルノシリーズに白と赤のツートーンカラーがおしゃれなスペシャルが登場。しかも2018年12月20日から2019年2月28日までの受注期間限定の“特別カラー”だ。
★HONDA ニュースリリースより (2018年12月20日)
原付一種スクーターの「ジョルノ・スペシャル」「タクト・ベーシック スペシャル」を受注期間限定で発売
Hondaは、取り回しやすい車体サイズに、扱いやすい出力特性を備えた環境性能に優れた水冷・4ストローク・OHC・単気筒エンジン「eSP(イーエスピー)」※1を搭載した原付一種スクーターのジョルノとタクト・ベーシックに、それぞれ特別なカラーリングを施すとともに質感の高いエンブレムを採用した「ジョルノ・スペシャル」「タクト・ベーシック スペシャル」を受注期間限定※2で1月25日(金)に発売します。
ジョルノは、親しみやすい丸みのあるデザインと、グローブボックス内にアクセサリーソケットを装備するなど、若年層を中心とした幅広い層のお客様から支持されているモデルです。今回、ジョルノ・スペシャルには、レッドとホワイトのツートーンカラーがおしゃれな、艶やかで高級感のある「キャンディプロミネンスレッド」を採用。車体側面にストライプを配することで華やかさを演出しました。
タクト・ベーシックは、シンプルなデザインと、足つき性に配慮したシート高などで、幅広い層のお客様から支持されているモデルです。今回,タクト・ベーシック スペシャルには、落ち着いたナチュラルな色調の「ハーベストベージュ」を採用。車体正面のHondaロゴをクロームメッキ調に、また、車体後部側面の「TACT」のロゴを立体エンブレムとし上質感を演出しました。
※1 enhanced(強化された、価値を高める)Smart(洗練された、精密で高感度な)Power(動力、エンジン)の略で、低燃費技術やACGスターターなどの先進技術を採用し、環境性能と動力性能を高めたスクーター用エンジンの総称です。
※2 受注期間は2018年12月20日(木)から2019年2月28日(木)まで。
- ●販売計画台数(国内・年間)
- ジョルノ・スペシャル 2,000台
- タクト・ベーシック スペシャル 3,500台
- ●メーカー希望小売価格(消費税8%込み)
- ジョルノ・スペシャル 199,800円(消費税抜き本体価格185,000円)
- タクト・ベーシック スペシャル 167,800円(消費税抜き本体価格155,000円)
- ※価格(リサイクル費用を含む)には保険料・税金(消費税を除く)・登録などに伴う諸費用は含まれておりません
★主要諸元
車名型式 | 2BH-AF77 | |
---|---|---|
ジョルノ・スペシャル | ||
発売日 | 2019年1月25日 | |
全長×全幅×全高(m) | 1.650×0.670×1.035 | |
軸距(m) | 1.180 | |
最低地上高(m)★ | 0.105 | |
シート高(m)★ | 0.720 | |
車両重量(kg) | 81 | |
乾燥重量(kg) | – | |
乗車定員(人) | 1 | |
燃費消費率※3(km/L) | 80.0(国交省届出値 定地燃費値 30km/h 1名乗車時)※4 | |
58.4(WMTCモード値★※5 クラス1 1名乗車時) | ||
登坂能力(tanθ) | – | |
最小回転小半径(m) | 1.8 | |
エンジン型式 | AF74E | |
水冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ | ||
総排気量(cm3) | 49 | |
内径×行程(mm) | 39.5×40.2 | |
圧縮比★ | 12.0 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 3.3[4.5]/8,000 | |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 4.1[0.42]/6,000 | |
燃料供給装置形式 | 電子制御燃料噴射装置(PGM-FI) | |
始動方式★ | セルフ式(キック併用) | |
点火方式★ | フルトランジスタ式バッテリー点火 | |
潤滑油方式 | – | |
潤滑油容量(L) | – | |
燃料タンク容量(L) | 4.5 | |
クラッチ形式 | – | |
変速機形式 | 無段変速(Vマチック) | |
変速比 | – | – |
キャスター(度) | – | |
トレール(mm) | – | |
タイヤサイズ | 前 | 80/100-10 46J |
後 | 80/100-10 46J | |
ブレーキ形式 | 前 | 機械式リーディングトレーリング |
後 | 機械式リーディングトレーリング | |
懸架方式 | 前 | テレスコピック式 |
後 | ユニットスイング式 | |
フレーム形式 | アンダーボーン |
■道路運送車両法による型式認定申請書数値(★の項目はHonda公表諸元)
■製造事業者/本田技研工業株式会社
※3 燃料消費率は定められた試験条件のもとでの値です。使用環境(気象、渋滞など)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状態などの諸条件により異なります
※4 定地燃費値は、車速一定で走行した実測にもとづいた燃料消費率です
※5 WMTCモード値は、発進、加速、停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果に基づいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます