「ニューCBシリーズ」として、2012年11月のミラノショーで発表された「CBR500R」、「CB500F」、「CB500X」と同構成の国内向け400バージョンとして2013年6月に発売が開始された「400X」。その年の3月のモーターサイクルショーでも大注目を集めた新型ツインエンジンを搭載する新シリーズのトップバッターとなったのは、フルカウルスポーツ版のCBR400Rで、4月23日に発売。その後、1ヵ月遅れで、ネイキッドスポーツ版のCB400Fを発売。そして、こちらオン・オフスポーツの400Xは、やや遅れて6月7日の発売となっている。
ニューCBシリーズ発売ではしんがりとなった400Xだが、すっかりホンダのメインバリエーションとなった“クロスオーバー”モデル。いわゆる“オン・オフ”モデルだ。デザインキーワードは「Modern & Stylish」。海外向けではストレートにCB500Xとして発売されたが、国内向けではこのモデルだけ「CB」が付かず、ホンダにしては珍しい数字で始まる車名となった。ちなみに数字で始まりアルファベットが続く車名というのは、’81年の250Tや、’82年の125T以来か。
また、CBR400RやCB500Fの15リットルとは異なり、400X専用で17リットル入り燃料タンクを開発することで、航続距離を伸ばし、また、ライダーの自由度を高める専用のダブルシート、ライダーへの走行風を軽減するウインドスクリーンなど独自の装備も採用と、さすが売れ筋となってきている“オン・オフ”だけあって力が入っているモデルとなっている。
2016年2月にはこの400Xを、より個性的に、より快適に、を目標にマイナーチェンジが行わた。クロスオーバーモデルの旗艦、VFR1200XのDNAを受け継ぎ「FEEL THE ADVENTURE FORM」を踏襲したデザインでフロント周りを一新。フロントサスもプリロードアジャスターを装備、ライダーの手のサイズに合わせられる5段階調整可能なブレーキレバー、フューエルタンクは、給油時に便利なヒンジタイプのキャップを採用するなど、使い勝手の向上も行われている。
2017年4月には、カラーリングの変更のみが行われた兄弟モデルのCBR400Rとは異なり、軽快感のあるデザインと歯切れの良いサウンドを奏でる新型の小型異型マフラーの導入や、小型のメインステップホルダーが採用された。また、アンダーカバーも廃止されている。カラーは「パールサンビームホワイト」を継続し、「キャンディプロミネンスレッド」と「ソードシルバーメタリック」の2色を新たに採用した。
2018年4月には、車体色を「キャンディークロモスフィアレッド」と、「マットバリスティックブラックメタリック」の2色に設定。また、これまではタイプ設定とされていたABSを全車標準装備とした。
今回、初のフルモデルチェンジといえる大規模なデザイン変更と、フロントに19インチタイヤの採用、ホイール形状の変更、パワーユニットの吸排気系の見直し、アシストスリッパークラッチの新採用、クラッチレバーの操作荷重の低減、新設計LCDメーターの採用などが行われた。
★HONDA ニュースリリースより (2019年1月29日)
クロスオーバーモデル「400X」に19インチフロントタイヤを
採用するとともに、外観を一新し発売
Hondaは、水冷・4ストローク・DOHC・直列2気筒・399ccエンジンを搭載し、市街地走行からツーリングまで幅広い用途で使用できるクロスオーバーモデルとしてご好評をいただいている「400X」の外観を一新するともに各部の熟成を図り、Honda Dreamより3月22 日(金)に発売します。
400Xは「冒険心を呼び起こす、正常進化Cross Over」を開発キーワードに、よりアドベンチャーイメージを強調した外観に一新しました。フロントタイヤサイズを17インチから19インチに大径化しフラットダートでの走破性を向上させています。また、ウインドスクリーンの高さを従来モデルより延長するなど、クロスオーバーモデルとして走破性と高速巡行時の快適性を追求し各部の熟成を図っています。
パワーユニットは、吸排気系を見直し、幅広い走行状況に対応できる力強い走りを実現。また、アシストスリッパークラッチを新たに採用し、よりスポーティーな走行に寄与するとともにクラッチレバーの操作荷重を低減するなどロングツーリングでの疲労感の軽減を図りました。
電装は、シャープな造形のLEDヘッドライト、テールランプに加え、新たに前後ウインカーにもLEDを採用し軽量コンパクト化に寄与しています。
新設計のLCDメーターは視認性を向上するとともに、ギアポジションインジケーターなどの機能を新たに採用しています。
車体色にはアドベンチャーイメージを強調した「マットバリスティックブラックメタリック」とスポーティーなイメージを強調する鮮やかな「グランプリレッド」の2色を設定しています。
- ●販売計画台数
- (国内・年間) 700台
- ●メーカー希望小売価格(消費税8%込み)
- 811,080円(消費税抜き本体価格751,000円)
- ※価格(リサイクル費用を含む)には保険料・税金(消費税を除く)・登録などに伴う諸費用は含まれておりません。
- =400Xの主な特徴=
- ■スタイリング
- ・ブロックパターンイメージの19インチフロントタイヤや高剛性なテーパー形状のハンドルバーを採用するなど、より威風堂々としたフォルムにアドベンチャーテイストを新たに注ぎ込むことで、一層力強くタフなイメージに一新しています
- ・ラジエーターシュラウドを大型化するとともにサイドカバーの形状を最適化。ライダーの足に当たる走行風とラジエーターからの排風をコントロールすることで快適性を高めています
- ・ウインドスクリーンの高さを従来モデルより20mm延長し、ウインドプロテクション性能を向上。長距離走行、高速巡行時の疲労感の軽減に寄与しています
- ■パワーユニット
- ・バルブタイミングおよびリフト量、インジェクターの最適化を図るなど、低中回転域のトルクを向上させ、低速域の粘り強さと心地よい吹け上がり感を実現
- ・吸気系の構成部品の最適化により吸気効率を高めるとともに、エキゾーストパイプのキャタライザー前後のボリュームを増したことで、エンジンの吹け上がりの鋭さと力強いトルク特性に寄与しています
- ・マフラーはテールパイプを2本に増やすなど構造を変更し、よりパルス感を高めた高揚感のある排気音を表現しています
- ・トランスミッションのドッグ形状を最適化し、スムーズで質感の高いシフトチェンジフィーリングとしています
- ・アシストスリッパークラッチを採用。クラッチレバーの形状変更と合わせ、操作荷重を低減させ、より扱いやすいクラッチ操作フィーリングを実現するとともに、シフトダウン時などで生じる急激なエンジンブレーキによる後輪ホッピングを抑制しています
- ■足回り
- ・19インチフロントタイヤを採用するとともに、リアサスペンションのストロークを従来モデルより長く設定するなど、未舗装路での⾛走破性をより高めるとともに、舗装路での乗り心地に配慮しています
- ・リアサスペンションには、サスペンション内のガスとオイルを完全に分離させる構造とした分離加圧式を採用。路面追従性をさらに高めることで、よりスポーティーな走行に寄与する運動性能を実現しています
- ・ハンドル切れ角を従来モデルに対し片側3度ずつ、左右合計で6度増やす事で、狭い道やUターン時での取回し性を向上させています
- ・制御をより緻密化したABSモジュレーターを採用。ABS※1作動時のレバー、ペダルへのキックバックを低減させるなど、制動時の安心感をより高めています
- ・リアサスペンションのストローク量を延伸しながらも、シート前部の形状をスリム化することで、従来モデルと同等の足つき性を確保しています
- ※1 ABS はライダーのブレーキ操作を補助するシステムです。ABS を装備していない車両と同様に、コーナーなどの手前では十分な減速が必要であり、無理な運転までは対応できません。ABS作動時は、キックバック(揺り戻し)によってシステム作動を知らせます
- ■電装
- ・ギアポジションインジケーター、シフトアップインジケーター、水温計などの機能を新たに設定するなど、豊富な情報をライダーに伝える新設計のLCDメーターを採用しています
- ・急ブレーキ時にハザードランプを高速点滅させるエマージェンシーストップシグナルを採用しています
★主要諸元
車名型式 | 2BL-NC56 | |
---|---|---|
400X | ||
発売日 | 2019年3月22日 | |
全長×全幅×全高(m) | 2.140×0.825×1.380 | |
軸距(m) | 1.435 | |
最低地上高(m)★ | 0.150 | |
シート高(m)★ | 0.800 | |
車両重量(kg) | 196 | |
乾燥重量(kg) | – | |
乗車定員(人) | 2 | |
燃費消費率(km/L)※2 | 41.0(国交省届出値 定地燃費値 60km/h 2名乗車時)※3 | |
28.3(WMTCモード値 クラス3-2 1名乗車時)※4★ | ||
登坂能力(tanθ) | – | |
最小回転小半径(m) | 2.5 | |
エンジン型式 | NC56E | |
水冷4ストローク直列2気筒DOHC4バルブ | ||
総排気量(cm3) | 399 | |
内径×行程(mm) | 67.0×56.6 | |
圧縮比★ | 11.0 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 34[46]/9,000 | |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 38[3.9]/7,500 | |
燃料供給装置形式 | 電子制御燃料噴射装置[PGM-FI] | |
始動方式★ | セルフ式 | |
点火方式★ | フルトランジスタ式バッテリー点火 | |
潤滑油方式★ | 圧送飛沫併用式 | |
潤滑油容量(L) | – | |
燃料タンク容量(L)★ | 17 | |
クラッチ形式★ | 湿式多板コイル・スプリング式 | |
変速機形式 | 常時噛合式6段リターン | |
変速比 | 1速 | 3.285 |
2速 | 2.105 | |
3速 | 1.600 | |
4速 | 1.300 | |
5速 | 1.150 | |
6速 | 1.043 | |
減速比1次/2次 | 2.029×3.000 | |
キャスター(度)★ | 27°30′ | |
トレール(mm)★ | 108 | |
タイヤサイズ | 前 | 110/80R19M/C 59H |
後 | 160/60R17M/C 69H | |
ブレーキ形式 | 前 | 油圧式シングルディスク |
後 | 油圧式シングルディスク | |
懸架方式 | 前 | テレスコピック式 |
後 | スイングアーム式(プロリンク) | |
フレーム形式 | ダイヤモンド |
■道路運送車両法による型式指定申請書数値(★の項目はHonda公表諸元)■製造事業者/本田技研工業株式会社
※2 燃料消費率は、定められた試験条件のもとでの値です。使用環境(気象、渋滞等)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状態などの諸条件により異なります
※3 定地燃費値は、車速一定で走行した実測にもとづいた燃料消費率です
※4 WMTCモード値は、発進、加速、停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果にもとづいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます