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レース・イベント

11月最初の週末は世界の中高年ライダーが、カリフォルニア州グレン・ヘレン・レースウェイで開催のワールドVET(ベテランズ)モトクロスに集まる。参加国数もエントリー台数も年々増加の一途、これに応えて主催側は従来のレースに加えネイションズやビンテージなど新企画を惜しみなくロケットスタートさせ、参加の楽しみをますます広げている。羨ましいぞアメリカ!
■文・撮影:高橋絵里
WVET

「えー、スゴイですねぇ!」
「スゴくはないよ、ただ好きなだけさ」
 ワールドVETに行くたび、何だかいつもそんな会話をしているように思う。実に色々なライダーがいて「マジか」「それもアリか」と毎回感心する。
 70歳代のエントラントが増えた数年前、そのうちできるのではと思っていたら今年は本当に+80歳クラスが新設されて、82歳と80歳のお爺ちゃんライダーが颯爽とバトっていてかっこ良かった。そうか、80歳を過ぎたってモトクロスをしていいのだ。

 一方で女性クラスも着実に増えて今年は37台の参加があった。小さなお子さん連れのママさんライダーも見かけたし、旦那さんとサポートし合う熟年マダムライダーもいた。そうか、お爺ちゃんだけではない、お婆ちゃんになってもモトクロスをしていいのだ。もはや年齢も性別も走らない理由にはならない。
 誰もが「モトクロスはとてもヘルシーなんだ」と笑って走る先輩ライダーをリスペクトしながら、後輩ライダーには生涯モトクロスの魅力を伝えていく。優勝は大変な名誉だし順位も気になるけれど、好きならとにかく走ろう、楽しもうの、世界最大規模の草レース。
 ここにいると、年齢も性別も国も越えてモトクロス愛の輪がびゅんびゅん広がっていく雰囲気を全身で感じることができる。

ピットでもレースでも自国をアピール
ピットでもレースでも自国をアピール
ピットでもレースでも自国をアピール
ピットでもレースでも自国をアピール。多いのはカナダ、ブラジル、イギリスやオーストラリア。逆に1名参加はポーランド、スイス、ハンガリー。レンタル会社が年々増えて海外からの参加も敷居が低くなっている。
スタート
スタートを見送るゲートのライダーは、同じレースの2列目スタートで30秒後くらいに飛び出していく。さらに前のレースが終わらないうちに次のレースがスタートする。計測チップで混乱はなく、15分~20分程のレースを1日26レース、夕方までにきっちり消化。
オトナのお祭り
オトナのお祭り
高齢化
(写真左・中)家族で、仲間で、サポートし合い応援し合って盛り上がるオトナのお祭り。(右)高齢化も順調に進み、エントラント最高齢は82歳のチャック爺さん、順位もタイムも超越して「ハッハッハ、頑張って完走するよー」と元気一杯、みごと+80クラスを制した。
SHOEIアップヒル
山頂へ一気に駆け上がるその名も『SHOEIアップヒル』セクション。僅かでもアクセルをためらえば頂上へ辿り着けないので誰もが人生最高の全開!。

親子で、カップルで、仲間たちと。楽しみ方は無限大!

弁護士のダニエルさん(+45)はイギリスからの参戦、毎年のようにレンタルのKTMで楽しんでいる。「グレン・ヘレンは難しいけれどアメイジング!」。
コロラド州からクールなカップルはブライアンさん(+50)とウェンディさん(WOMEN)。漂う完璧なアスリート感は日々のトレーニングの賜物。
ブラジル国旗も誇らしげにファビオさん(+55)、エバートンさん(+45)、マルコスさん(+50)。いつでもどこでも情熱のお国柄。
ラディさん(+50)自慢の1957年型グラマン・ステップバン改は周囲を鏡状態で写し込む美しい仕上がり、テキサスから24時間走行の長旅。
バラクさん(+30)は石油王国クウェートからレンタル利用、「とても快適な気候ですね!」。夏のクウェートは気温65度、練習も大変。
ウォーレンさん(+40)とダンさん(+65)は共にMX歴30年位以上のベテラン親子。テキサスから20時間、2日間のドライブで初出場。

チームニッポンも大健闘!

チームニッポン
毎年の参戦ですっかり有名な日本勢は伊田井佐夫、チャンドラー佐藤、源治篤(共に+60)と初参加の田渕武(+50)各選手、サポートにプレシャスファクトリー工藤氏という陣営。各クラスで大和魂全開の走りを世界に披露した。日曜の結果は伊田さんと田渕さん世界4位、チャンドラーさん世界8位、源治さん世界12位。上の写真のオレンジFOXジャージがレンタル会社のSTAPO氏で、日本へマシン開発テストにも来るレジェンドだ。

VET国別対抗ネイションズ、初開催!

VET国別対抗ネイションズ
+30・+40・+50のライダー3人による団体戦で総合ポイントにより順位を競うワールドVETのネイションズが日曜に初開催された。13ヵ国・20チーム(国によっては3チームも出てしまうお祭り騒ぎ)が参加し、優勝のアメリカ(チーム2)、2位のイギリス、3位のアメリカ(チーム1)はさすがの必勝体制。マイク・ブラウン、カート・ニコルなど絢爛豪華なレジェンドの顔ぶれに観戦する世界中のVETライダー達も大興奮だった。

 

さらにビンテージレースも初開催!

イベント拡大の勢いは止まらない。メインコースでワールドVETが公式練習をした金曜日、隣りの“優しい方のコース”ではビンテージ限定のレースが開催され、こちらは70台が参加した。50年代~80年代の、日本車も目立つ一方でヨーロッパの希少車が多くこれまたゴージャスな雰囲気。金曜にビンテージを走り、土日でワールドVETを走ったライダーも多かった。レンタルも充実して気軽に参加できるから、遊び方も無限大!
ウィリアムさん54歳は北アイルランドのレースレジェンド、初めてのアメリカで81年型マイコ490をレンタル、「なかなかいーね!」とゴキゲン。
ロバートさん62歳はカリフォルニア在住、日本にも出張するエリートビジネスマン。チェコスロバキアの73年型CZ125でみごとクラス優勝。
ピンクの94年型tm250と一緒に右からラルフさん(オランダ)、デイブさん(プエルトリコ)、ジェームスさん(アイルランド)の国際的な友達の輪。
マイクさん57歳の愛車は83年型RM500。バージニア州の自宅から飛行機でバイクを保管するアリゾナのガレージ経由でカリフォルニアへ。

2019/12/06掲載