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試乗

125よりパワフルで250よりコンパクトで 150ccは最良のストリートバイクか SUZUKI GIXXER
125cc以上、250cc以下という不思議な排気量をもつジクサー。 もちろん、その走りも125cc以上、250cc以下どころか 250ccに迫るパフォーマンスを持っている。 近頃バイクの値段って高いよね、なんて言えなくなる 衝撃のプライシングを持つロードスポーツだ。
■試乗・文:中村浩史 ■撮影:依田 麗 ■協力:SUZUKI

  
 GIXXERは、僕にとってナゾのバイクだった。成り立ちからナゾ、排気量区分もナゾ、そして狙いもナゾ。
 GIXXERって、ヨーロッパでのGSX-Rシリーズの愛称、それで排気量150ccって?? その正体はまず、今どきの小排気量モデルの時流どおり、アジア生産(=ジクサーはインド生産)で、日本に輸入されているモデルだってこと。現地では、フルカウルのGSX-R150も販売されていて、そういえばこちらは、2018年までアジアロードレース選手権に併催されていたスズキ・アジアン・チャレンジにもワンメイク車両として使用されていたことがあった。つまり現地では、小排気量クラスのスーパースポーツだったわけだ。ナルホド、それでGIXXERね。
 150って排気量の是非はさておくとしても、この排気量区分は、かつて日本のマーケットにはほとんど存在しなかったと言っていい。調べてみると、ドリームEなんて1950年代のホンダモデルやCB95シリーズがそうだったし、スクーターだと、ヴェクスター150やアヴェニス150、CZ150Rなんて快足スクーターがあったけれど、歴史上数えたってそれくらい。決して一般的な排気量区分じゃないのだ。最近で150ccといえばCRF150Rってコンペモデルがあったっけ。

 けれど、このGIXXERのメインマーケットはインド。インドは中国に次ぐ、世界で2番目の人口を誇る国だけあって、バイク市場で言うと年間2000万台近くを売り上げる世界一のビッグマーケット国なので、そこの免許/保険制度に合わせた排気量区分なのだろう。その証拠に、日本発売時に、インドでは13部門もの「バイク・オブ・ザ・イヤー」を獲ったモデルだってアナウンスがあった。インドでは110ccスクーターやモペッドまでが、日本でいう「原付免許」クラスで、そのステップアップの第一歩としての超人気モデルだったのだという。

 
 この排気量のモデルを日本で発売するってことは、125ccクラスのボディサイズで200/250ccクラスのエンジンを積む、という狙いがあるんだろうと思う。中間排気量って、両方のいいところ取りを狙うからね。
 その意味では、スズキモデルの125cc/250ccと比べればこんな感じになる。

●車名、全長×全幅×全高、ホイールベース、車両重量、出力・トルク、税込車両価格
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●GSX-S125、2000×745×1035mm、1300mm、133kg、15ps/1.1kg-m、36万800円
●GIXXER、2005×785×1030mm、1330mm、135kg、14ps/1.4kg-m、32万7800円
●GSX250R、2085×740×1110mm、1430mm、178kg、24ps/2.2kg-m、54万8900円

 例外はあるけれど、おおむね「真ん中のいいところ取り」は当たっている。つまり、125ccのサイズでちょっとパワーアップ版、250ccのパワーでちょっとコンパクト版、ってところを狙っているんだと思う。パワーって面では、カタログ数値の出力ではGSX-S125を下回っているけれど、これはエンジンのボア×ストロークレシオの関係で、ロングストロークのGIXXERの表示数値が下回っているだけ。パワー感っていうのは、特に小排気量モデルの場合は「最大トルク」のほうが「体感」しやすいから、その意味ではGIXXERの方がハッキリとパワフルだ。

 
 そう、GIXXERで走り回って感じたのは、とにかくパワフルだってこと。排気量が25ccしか大きくないだけなのにGSX-S125よりもはるかにトルクがあって、排気量が100cc少ないはずなのにGSX250Rよりもエンジンの反応がシャープ。カタログ数値が14psなんて信じられないほど、ちょっと非力な250ccという感じで乗ることができた。
 ハンドリングはとても軽快で、GSX-S125よりもボリュームのあるボディなのに、125cc感覚でぶんぶん振り回すことができる。もちろん、今回の試乗は街乗りばかりだったけれど、ゆっくり操舵した時、急な入力をしたときともに、車体の動きは自然そのもので、危なかったり、予想外の動きをすることは一切なかった。
 ただし、スピードを出して行って、低回転でこんこんとシフトアップしたり、各ギアを引っ張ってシフトアップしていくと、どうしても5速ミッションなのが気になった。トップ5速での回転数は60km/hで4200rpm、80km/hで5600rpm、100km/hで7500rpmくらいで、どうしても「幻の6速」を左足が探してしまう。
 高速道路で試してみると、最高速は120km/hに届かないくらい。0→100km/hのスプリンターといったところかな。150ccで高速道路に乗れるとはいえ、それは東名高速や中央高速というよりも、東京でいう首都高なんかの都市高速にも乗れる、と考えた方がいいかも。さすがにビッグバイクと一緒にツーリングして、100km/h+αで走り続ける、なんて使い方は現実的じゃないと思う。

 GIXXERは「高速道路にも乗れる125cc」みたいな扱いで考えるとちょうどいい。もちろん、125ccよりもボリュームのあるボディは長距離を苦痛なくこなせるし、250ccよりもコンパクトなボディは、取り回しのラクさを味わせてくれる。そこのところも、125と250の「いいところ取り」なのだ。
 特に小排気量モデルでツーリング好きなユーザーは、下道でどんどこどんどこ走っていくような使い方が大好きなので、そういう用途のツーリングには最適かな。さらに通勤通学で使うにも、交通の流れはリードできる。
 

 
 ちなみに普段、僕も125ccモデルを街乗りに使っているんだけれど、150ccとのトルク差は明らかで、GIXXERの方がスピードの乗りが段違いにイイ! 車体サイズは同じくらいで、やっぱりGIXXERの方が速い──。150ccっていいなぁ、と思う瞬間だった。
 さらに、今回の試乗で200kmくらい一般道と高速道路を走り回ったけれど、燃費の良さは125ccクラス並みで、そんなに燃費走行を心掛けない走り方をしても39km/Lを記録。ツーリングにも通勤通学にも、街乗りギア付きスポーツバイクとしての完成度がすこぶる高いってことだ。
 それに、価格が安いのもGIXXERのいいところ。価格は税抜き29万8000円。125cc以上でこの値段っていうのは、1995年のDJEBEL125が31万9000円だったのに近く、94年のVOLTY250が29万8000円だったのと同価格! スズキって時々びっくりするプライシングをするけれど、このGIXXERもそう。これはユーザーサイドに喜ばしいことだ。

 本当ならば、高校生が原付免許を取って、こういう150ccモデルくらいまで乗れたらいいなぁ、と思う。いや、それは125ccでいいか、ギア付きでバイクをコントロールしてる、っていう楽しさがとても感じられるモデルだった。
 けれど現実は逆に、ビッグバイクを持っているオーナーが、2台目に買いたいな、って選び方をされるモデルなんだと思う。ビッグバイクに疲れたとき、ビッグバイクでは手に余る距離、場所、時間を走る時、ひょいと乗り出せるバイクとして、150ccって選択はアリだと思う。
(文:中村浩史)
 

 

空冷単気筒エンジンは「SEP」(=スズキ エコ パフォーマンス)と呼ばれる、フリクションロスを低減した好燃費エンジン。ボア×ストロークが56×62.9mmとロングストロークで、ボアストローク比でいくと、ジクサーが0.89で、GSX-R125の1.50、GSX250Rの0.97、GSX-S750の1.57、GSX-R1000の1.38に比べてかなりロングストロークなのがわかる。

 

ブレーキはφ266mmローターにバイブレ製2ピストンキャリパーの組み合わせ。軽量な車体に充分なブレーキで、ABS設定はなし。バイブレは「ByBREMBO」の意味で、ブレンボの小排気量用ブランドだ。フロントフォークは大径φ41mmで、これも走りの安定感を生んでいる。タイヤはダンロップK275という100/80の17インチバイアスタイヤ。

 

リアサスにはプリロードを7段階に調節可能なモノサスを採用。東南アジアモデルには、2人乗り(どころか時には3~4人乗りまで)を考えて硬めの設定が多いが、GIXXERはごく普通。柔らかすぎない好印象のスプリングだった。

 

マフラーは出口をデュアルデザインとして150ccらしからぬ迫力を演出している。リアタイヤは140/60の17インチサイズで、リアのみラジアルタイヤを採用している。リアブレーキはディスク+ニッシン製キャリパーの組み合わせで、スチール製角型スイングアームを採用。センタースタンドを標準装備しているところも好印象。

 

異形ヘッドライトはハロゲンバルブ、前後ウィンカーはクリアレンズ+カラーバルブの組み合わせ。スタイリッシュなヘッドライトはミニカウル付きで、多少の防風効果あり。いずれにしろ150ccの常用スピード域ではさして必要ではなさそう。
小ぶりなフューエルタンクだが、12L容量で、300km以上の無給油走行はまるで平気。フューエルキャップはエアプレーンタイプで、ヒンジなしのキャップが外れるタイプ。開閉動作の精度がいまイチだったのはご愛敬。

 

シートは前後一体式のダブルシートで、きちんとタンデムできるクッション厚、シート面積が確保されている。グラブバー下に開閉用キーがあり、シート下には収納用と呼べるほどのスペースはない。ETC車載器は収納できそう。

 

ヒップアップスタイルのリアビュー。テールランプはLEDで、左右独立式のグラブバーは、きちんとタンデム出来る頑丈さが確保されている。別体リアフェンダーは泥はねの抑止効果も高い。フェンダーレスが似合いそう。
フル液晶デジタルメーターを装備。時計やギアポジションインジケーター、オド&ツイントリップを表示する。右ニュートラルランプの下にはシフトアップインジケーターも備えている。このあたりはさすがスポーツバイク。

 

ヘルメットホルダーは別体ではなく、シートを外し、シート下のフックにDリングをひっかけるタイプ。センタースタンド、グラブバー&タンデムステップ、そしてヘルメットホルダーをきちんと装備しているところも好印象。
ブレーキペダルに付随するガードは、薄手のクツやサンダルで乗る現地のライダーのヤケド防止らしい。ステップバーとペダルの間隔も短く、これも現地ユーザーの体格から。日本では特に、小柄な体格の女性に人気のポイントだそう。

 

ライダーの身長は178cm。(写真の上でクリックすると両足着き時の状態が見られます)

 
●GIXXER 主要諸元
 
■型式:2BK-NG4BG■全長×全幅×全高:2,005×820×1,030mm■ホイールベース:1,330mm■最低地上高:160mm■シート高:785mm■車両重量:135kg■燃料消費率:58.8km/L(国土交通省届出値 60km/h定地燃費値 2名乗車時)51.0km/L(WMTCモード値 クラス2 サブクラス2-1 1名乗車時 )■最小回転半径:2.5m■エンジン種類:空冷4ストロークSOHC単気筒■総排気量:154cm3■ボア×ストローク:56.0×62.9mm■圧縮比:9.8■最高出力:10kW(14PS)/8,000rpmm■最大トルク:14N・m(1.4kgf・m)/6,000rpm■燃料供給装置:フューエルインジェクションシステム■始動方式:セルフ式■点火装置形式:フルトランジスタ式■燃料タンク容量:12L■変速機形式:常時噛合式5段リターン■タイヤ(前/後):100/80-17M/C 52S/140/60R17M/C 63H■ブレーキ(前/後):油圧式シングルディスク/油圧式シングルディスク■懸架方式(前/後):テレスコピック式/スイングアーム式■フレーム形式:ダイヤモンド■車体色:グラススパークルブラック / トリトンブルーメタリック■メーカー希望小売価格:327,800円
 



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2019/12/03掲載