SSPパラモトライダー体験走行会「冬に向けて積極開催?」
去る2025年12月1日(月)、埼玉県上尾市のファインモータースクール上尾校にて、公益社団法人SSP(サイドスタンドプロジェクト)による「パラモトライダー体験走行会」が開催された。天候は快晴。今回の体験走行には、5名のパラモトライダーが参加し、約45名ものボランティアスタッフのサポートのもと、無事に全走行が終了した。
- ■文・写真:青山義明
- ■協力:一般社団法人サイドスタンドプロジェクト(SSP)
2度のWGP(GP125)世界チャンピオンを獲得した青木治親が理事を務める公益社団法人SSPによる『パラモトライダー体験走行会』が埼玉県上尾市にあるファインモータースクール上尾校で、開催となった。
SSPの活動を広く認知してもらうための『SSPライト』や、パラモトライダーたちのツーリングイベントとして毎年開催されている『やるぜ! 箱根ターンパイク』もあったので、SSPの活動自体はご無沙汰ではないものの、『パラモトライダー体験走行会』は6月の開催以来半年ぶりの開催となった。参加するボランティアスタッフからも久しぶりだという声が上がっていた。
好天に恵まれたこの日は朝はちょっと寒さを感じる程度の気温で、バイク日和といえた。パラモトライダーの中には、脊椎損傷で自律神経が障がいを受けてしまった方もいるので、その場合、体温調節が困難になり、熱中症や低体温のリスクが上がることもある。その意味でもぴったりのタイミングでの開催といえる。
今回は視覚障がい者2名を含む5名が参加。バイク用インカム「B+com」を使って走行ラインの指示出しをして走行をサポート。バイクにはSSPオリジナルのハンドドライブユニットや補助輪を適宜組み替えながら各パラモトライダーの機能障害に合わせて、試乗用車両を簡易カスタムしながらスムーズに走行プログラムをこなしていく。
1991年にバイクの事故で脊椎を損傷し、2024年3月のパラモトライダー体験走行会に初参加した田添 亘さんは2年ぶり、2回目の体験走行となった。「前回は汗をかいて身体が冷えちゃったから」と、今回はあえて上着を脱いで走行に臨んだ。前回はいかにうまくバランスを取って乗るかというところに注力することになったことに新しい驚きもあったが、今回は補助輪を接地させずに走行できるようになり、確かな進歩を感じた様子。走行後には「次回は外周路を一周したい」と、力強く抱負を語ってくれた。
初参加や2回目の参加者でいたが、教習所のクローズドコースの落ち着いた環境で、それぞれが実際にバイクにどれほど乗れるのかを確認しながら、じっくりとバイクに向き合う1日となった。
バイクシーズンとしてはもう冬ごもりというタイミングだが、SSPのパラモトライダー体験走行会、そしてSSPライトは、冬のシーズンも活動を展開予定だ。今後もSSPの活動に注目していきたい。
(文・写真:青山義明)
5歳の時に、SJS(スティーブンス・ジョンソン症候群)という薬害で、視覚障がいを負ってしまった岡部孝雄さん。視力は徐々に落ちてきて現在は左目がぼんやり明るさと形を認識できる程度という。そんな岡部さんも2年ぶり2回目の参加で、バイクの操作についてもひと通り説明を受け実際に動かすことも経験しているものの「乗ってない期間が長くなってしまったので、またイチから始めたい」と開始前は少し不安そうだったが、走り出せばしっかりとバイクを楽しめたようす。走行後は「次が待ち遠しい」と笑顔を見せてくれた。
NHKラジオ第一「Nらじ」のキャスターである杉田淳さんは、緑内障により30代後半に生活に支障をきたすようになってきて、現在では左の隅のほうだけがかろうじて見える程度の視力という。バイクについては原付の経験はあるものの、本格的なバイクの経験はナシ。今回は番組取材を兼ねての人生初のバイク体験に挑んだ。「皆さんの拍手のおかげで楽しむことができました」と語ってくれ、その参加の模様はそのラジオ番組の中でしっかり紹介されていた。
生まれつきの難聴があり、さらに2年半前のバイク事故で不完全麻痺の障がいを負うこととなった岡 孝晃さんは、1年の入院、そして半年のリハビリを経て、バイク仲間からこのSSPの活動を教えてもらって今年6月のパラモトライダー体験走行会で初めて参加、今回2回連続してパラモトライダー体験走行会に参加することとなった。「バイクに乗るのは半年ぶりでしたが、もっと頻繁にバイクに乗りたいです」と、走行後は前回以上に積極的なコメントを残してくれた。
50歳を過ぎてから右下肢の麻痺も始まってたびたび転倒をしてしまい、現在は車いすを使用している。自分より重度の障がいの参加者がいることから、これまで走行の参加は“遠慮”していたが、今回ついに初走行を果たした。
