- ■レポート・写真:河野正士
今回は、EICMA2025速報の第二弾として海外ブランドを紹介します。皆さんもご存じの通り、来年2026年は、ミラノ・コルティナ冬期オリンピックが開催されます。ミラノに雪なんて降らないじゃん、と思っていたのですがいろいろ話を聞くと分かってきました。室内で行われる競技の多くは、EICMAが開催されている巨大なイベントスペースであるFiera Milano(フィエラ・ミラノ)のパビリオンで開催されるとのこと。すでにその準備に取りかかっているため、16ある巨大なパビリオンの、いつも使っている奥側パビリオンが使えず、そのためいつものEICMAとは少しレイアウトが違っているのです。
でも違っているのはパビリオンの位置だけではありません。今年は中国やインドのブランドがさらにパワフルになって、会場を盛り上げそうです。まだ、プレスデイなので一般客は入っておらずその反応は未定なのですが……それらブランドのブースの規模が広くなっているのはもちろん、EICMA初出展のブランドも多く、メディアからの注目度も高いです。それらは速報記事では追い切れないのですが、後日のレポートで紹介できると思います。
ということで、ここではプレスカンファレンスを行った、しかも日本でもなじみのあるブランドの紹介をしたいと思います。
■ロイヤルエンフィールド
プレスデイ初日に、プレスカンファレンスのトップを飾ったのはロイヤルエンフィールド。この流れはここ数年続いていて、もうEICMAはロイヤルエンフィールドから始まるというイメージが出来上がっています。これは、強力なマーケティング的パワーを持っていると言えるでしょう。しかも来年2026年は、ブランド創立125周年の記念イヤー。そのヘリテイジと新しさの両方を感じさせる新型車が発表されました。
まずは「CLASSIC 650 125周年記念モデル」。角度によってゴールドにもレッドにも見える、ゴージャスなスペシャルペイントを採用したバイクでした。また「BULLET 650」も発表されました。インドではロイヤルエンフィールド=BULLETですから、そこにCLASSIC 650と同じプラットフォームで650モデルを投入したというわけです。で、ここまでがヘリテイジのパート。
新しさパートでは、去年発表した電動バイクFLYING FLEAのスクランブラースタイルモデル「FLYING FLEA FF.S6」です。ちょっと未来感強めの昨年発表モデルから、ぐっと身近なスタイルとなりました。
■BMW Motorrad
BMWのプレゼンテーションには、スーパーバイク世界選手権でタイトルを獲得したトプラック選手が来場。いきなりバーンアウトして、ステージは煙だらけになりました。その後に発表されたのは、昨年発表したConcept F450GSの市販バージョンである「F450GS」でした。
コンセプト時にはエンデユーロレーサー分多めの仕様でしたが、新開発の並列2気筒エンジンなど基本的な車体構成は変わらず、市販化に合わせて少しおとなしくなったイメージです。とはいえ、もっとヒヨッた仕様を想像してたので、その予想に対してはGSらしさが貫かれていたのにはホッとしました。関係者に話を聞いたところ、「日本の皆さんが400cc以下を期待しているのは承知しているが、ツーリングシーンやオフロードシーンにおけるGSらしい快適性とパフォーマンスを確保するには400ccオーバーの排気量が必要だったんだ、申し訳ないけど……」というコメントを頂きました。
■インディアンモーターサイクル
EICMAの少し前、インディアンがポラリスグループから離れ、新しい投資会社のもとで再出発をするというニュースが飛び交いました。今回のEICMAは、インディアンが新体制となって初めて参加する大きなイベント。その新しい門出を祝うために発表されたのが、インディアン・チーフをベースにしたカスタムバイク「Concept Girder」。伝統的なガーダーフォークを現在のテクノロジーで再現し、伝統と革新を携えて進んでいくインディアンを再度アピールしました。写真はグローバルセールスの副責任者ジョエル・ハーマソン(右)と、プロダクト開発の責任者であるベン・リンダマン(中)、デザイン部門の責任者であるオラ・ステネガルド(左)です。
水冷エンジンを搭載したスカウト・シリーズのスポーツバージョン/スポーツスカウトにコンパクトなリアバッグを装着した「Sports Scout RT」も発表されました。
■アプリリア/ベスパ/ピアッジオ
アプリリアは、アドベンチャースクーターの「SR GT400」を発表。アプリリアは一時期、スクーターの販売を停止していましたが数年前に復帰。このモデルはアプリリアらしく、スポーティなスタイルに仕上げられていました。またアプリリアのMotoGPマシンをインスパイアした「RS457GP Replica」も発表。そしてファクトリーカラーを纏うアプリリア・ファクトリー・レンジは、パープルを纏った新グラフィックを採用しました。
2026年は、ベスパのブランド創立80周年記念。それを祝う、「GTS 80th」を発表。また大径ホイールを履くピアッジオのミドルスクーター/ビバリーも、ブランド誕生25周年を祝う「Beverly 25周年記念カラーモデル」を公開しました。
■QJ Motor
躍進する中国勢からはQJ Motorを紹介します。このマシンは「Equus 600」。かつてMVアグスタを率いたジョバンニ・カスティリオーニが起こしたデザイン会社C-Creativeがデザインを担当しています。排気量600ccのV型4気筒エンジン搭載で、そのエンジンをフレームの一部として使用しています。なかなかにインパクトがあり、しかもかっこよかったです。
■BSA Motorcycle
インド大手マヒンドラの参加で再出発を果たしたBSA MotorcycleもEICMA初出展。そこで初披露されたのは、先に発表されたバンタム350とプラットフォームを共有する「サンダーボルト350」。ネオレトロなスタイル、コンパクトの車体はかなり良い感じでまとまっていました。まだプロトタイプで、これから市販化に向けて細部を煮詰めていくとのことでした。
■ノートン/TVS
インドのTVS Motorと、その傘下で活動しているノートンもEICMA初出展。ノートンは再出発してからV4エンジンを使ったスーパースポーツを販売していましたが、EICMA前にそれらの生産をストップし、新たなスタートを切ると発表。EICMAでは、その新たなスタートを象徴する新ロゴと一緒に新型車を発表。フルカウルを装着した「Manx R」とネイキッドスポーツモデルの「Manx」はともに排気量1200cc挟角72度のV型4気筒エンジンを搭載。アドベンチャーツーリングスタイルの「Atlas」は、排気量585cc270度クランクの並列2気筒エンジンと搭載しています。
BMWのG310シリーズの生産を行っていたTVSは、そのプラットフォームを発展させたスポーツモデル「RR310」やネイキッドモデル「RTR310」、アドベンチャーモデル「RTX」を展示しました。
■ドゥカティ
初日プレスカンファレンスのトリを飾ったのはドゥカティ。この位置も、もはや定番ですね。まずアンベールされたのは「パニガーレV2」のマルク・マルケス・バーションと、ペコ・バニャイヤ・バージョンです。
そして壇上では、「ハイパーモタードV2」とそのスポーツバージョンである「ハイパーモタードV2 SP」が発表。ここ最近、あり得ないほどの車体の軽量化を進めているドゥカティですが、この2台も同じく。V2は13kg/SPは14kgも前モデルから軽量化されています。
またオフロードセクションでも邁進するドゥカティはデスモ450MXをベースにしたエンデユーロバイク「デスモ450EDX」も発表。さらには開発中のモデルとして「デザートX V2」も展示しました。
ということで、駆け足で紹介しました。今日もまた、EICMA会場に向かいます!
(レポート・写真:河野正士)










































