ヤマハらしいスリム、コンパクトな444
ヨンフォアが生産中止となった後、カワサキZ400FXの独壇場であった444戦線に、ヤマハが満を持して送り込んだのがヤマハ初の444となるXJ400であった。新設計4気筒エンジンはDOHC2バルブ。背面ジェネレータの採用によりエンジン幅は2気筒並みと言われる424.5mmとスリムになった。さらに乾燥重量も2気筒並で、大きさや、重ささえもウリになっていたFXとは対照的に軽量、スリム、コンパクトを信条としたヤマハらしい444となった。後発モデルだけに、フロントダブルディスクブレーキ、燃料計、電圧計も付いたメーターなどFXを凌ぐ装備とスペックで、1980年6月に発売が開始されると、翌年は2万台弱が登録されベストセラーを獲得した。
1981年には燃費が向上したYICS付きのニューエンジンを搭載。外観上の変更はディスクブレーキにスリットが入った程度であった。このニューエンジンを搭載した4本出しマフラー仕様のXJ400Dもラインアップに加わった。以降は水冷エンジンのXJ400Zにスイッチするが、ネイキッドブームの1991年には新設計の空冷4気筒エンジンを搭載した新世代の空冷444となるディバージョンが再び登場。1993年にはスポーツマインドを前面に押し出したXJR400シリーズへと進化し、ヤマハ空冷444は2000年代まで足跡を残していく。
YICSエンジンを搭載
混合気をスワール(渦巻き)状にして燃焼効率を向上させるYICS(YAMAHA・INDUCTION・CONTROL・SYSTEM)を新たに追加装備したニューエンジンとなり、燃費が42km/Lから52km/Lへと大幅に向上したほか、ブレーキディスクにスリットが入った。グラフィックに変更はないが、車体色はレッドが廃止となってニューヤマハブラックとクリスタルシルバーの2色に。燃費以外の主要諸元に変更はないが、価格は21000円アップの432000円に。
重厚なイメージの4本出しマフラー
YICSを追加した2型をベースに、4本出しマフラー、ブラックエンジンで登場したバリエーションモデル。エア併用のフロントフォークや、ダンパー調整付きリアサス、角型バックミラーやグラフィックもスタンダードモデルと異なるD専用の装備。同エンジンを搭載したアメリカンモデルのXJ400スペシャルもラインアップされた。
特別色のYSP仕様
XJ400とXJ400Dをベースにマルチカラーと呼ばれた専用色を施したYSP店限定車を発売。XJ400はホワイト×マキシムレッドのみ(447000円)、XJ400Dにはホワイト×マキシムレッドとホワイト×ニューミッドナイトブルー2色(467000円)が用意された。装備、諸元等に変更はない。
444初の4バルブエンジン登場
まずは1980年、当時の西ドイツで開催されたケルンショーでプロトタイプが発表された。プロトタイプはスポークホイール、4into1マフラー、ダブルで装着したANDFというスタイルであった。
翌年4月、444としては国内4メーカー最後の登場となったGSX400Fは、星形キャストホイール、2本出しマフラー、シングルのANDFなどプロトタイプとは異なる装備で誕生したが、先行した2気筒のGSX400Eとは異なる、曲線主体の流れるようなスタイリングはほぼ継承されていた。最高出力は先発のXJと同じ45馬力ながら、2つのスワールを起こし理想的な燃焼状態を生み出すTSCC(TWIN・SWIRL・COMBUSTION・CHAMBER)を採用し、444としては初の4バルブエンジンで登場し、軽量なXJより1kg軽い重量に、その後大流行するアンチノーズダイブシステムのANDFやトリプルディスクなどの豪華装備で注目のニューモデルとなった。
しかし10月の東京モーターショーでCBX400Fが発表されると注目が集まり、やや影の薄いモデルとなってしまった。商品力アップのため1982年3月年にはANDFやホーンをダブルで装着した2型となり、カラーリングもツートーンでレーシー気分を演出したが、CBX旋風に太刀打ちすることは適わなかった。
ANDFをダブルに増設
ANDFやホーンをダブルに増設。車体色もブルー×ホワイトツートンとレッド×ホワイトツートンの2色に。主要諸元に変更はないが価格は18000円アップの443000円に。
スペシャルバージョンで有終の美を飾る
留まるところを知らないCBXの人気に、一矢報いるべく6月23日に投入されたバリエーションモデルがGSX400FSインパルス。外装変更や装備の追加だけではなく、わざわざストロークを01.mmアップして399.8cc化し、大径キャブレター、4into1の集合マフラーなどにより3馬力アップも果たしている。また、角型断面スイングアームやジュラルミンパーツにより軽量化も行われており、シングルシート風シートや、リモコン操作によって左右同時に減衰力調整が可能なRCDFリアショックなども採用され、スズキ空冷444の有終の美を飾った。