全日本ロードレース選手権に参戦するTeam TATARA apriliaが都内で2024年の体制発表を行った。Team TATARAは、ピアッジオジャパン公式サポートチームとして、2022年にスタート。国内唯一のアプリリアを駆るチームとして注目を集める。
2023年はJSB1000に新庄雅浩と谷本音虹郎、ST1000に和田留佳で参戦。全日本第5戦もてぎ2&4の事故で谷本を亡くしてしまう。その悲しみを抱きながら走り続け、新庄はランキング22位、和田はランキング23位となった。鈴鹿8時間耐久参戦も果たし総合19位、NSTクラスで3位表彰台を獲得している。
今季はJSB1000に新庄、ST1000に和田、そして鈴鹿8耐にも参戦する。マシンは両クラスともにアプリリアRSV4 1100 Factoryだ。井上哲悟チームマネージャーから「従来通りに小山儀正がメカニック長としてまとめますが、新たに宇井陽一氏がECU・テレメトリー担当としてチームに加わります。目標はJSB1000ではトップ10、ST1000ではトップ6、鈴鹿8耐ではSST優勝を目指す」と発表された。
宇井はWGPライダーとして活躍、近年はアジアロードレース選手権や全日本ロードレース選手権に参戦するチームのアドバイザーとして活躍、そのセッティング能力では一目置かれる存在だけに、強力な助人を得たことになる。
小倉憲二ビアッジオジャパンエンジニアは、全日本を走らせるための調整、そのポテンシャルを発揮するための苦心を語り、更なる上位を目指すためのサポートを誓った。
新庄は「多くの皆様に支えられてレース人生を歩み、昨年からチームに加わらせていただき、あたたかなチームだと感じています。去年は怒涛のような一年で、可愛がっている後輩を亡くし、仲間も亡くし、良い結果もあり、いろいろなことがありましたが、このチームにいられてよかったと思っています。家族とも言えるチームで戦い、皆様の記憶に残るようなレースがしたい」と奮起を誓った。
和田は「去年は全日本、鈴鹿8耐とたくさんの経験をさせていただきました。その中で幼馴染みであり親友である谷本音虹郎の死がショックでした。みんなが支えてくださったおかげで最終戦まで走り切ることができました。今年も走らせてもらえることに感謝し、亡き友の想いを背負い結果で恩返しできるように頑張ります」
飛び入りでタタラが実施するスクールの講師も務める渡辺一樹が登場した。2023年は新規チームで世界耐久選手権にフル参戦した。その経験を語り「初挑戦の鈴鹿8耐で表彰台に登ったことは、どれだけ、チームが素晴らしいかの証、今季に躍進にも期待しかない」とエールを送った。
チームにはオーナーが二人おり、加藤昇次氏は欠席で、もうひとりのオーナーである野竹誠一郎氏が、最後の挨拶を担当した。
「加藤からの言葉を伝えます。『チーム員の音虹郎がなくなり、私たちは音虹郎の母から罵倒されるのを覚悟していました。ですが、お母さんは『息子がご迷惑をかけました。こんないいチームに拾ってもらい、レースを楽しんでいました』と言われました。涙が止まりませんでした。チームタタラは、これからも音虹郎と一緒に活動を続けます』」と語った。
野竹氏は「レースの素晴らしさを伝えることを目指します。皆様の応援のおかげでレースが出来ています。この場をかりて感謝を伝えます。そして、今季もよろしくお願いいたします」と挨拶した。
2024年全日本ロードレース選手権最高峰には、ヤマハ、ホンダ、スズキ、カワサキ、アプリリアに加えてドゥカティの参戦が決まり、例年になり熱戦が期待されている。その戦いで、チームタタラが存在感を示すことが出来るのか注目が集まる。
(文・写真:佐藤洋美)