2023年春、モーターサイクルショーのヤマハ・ブースを彩った「125ロードスポーツ」3モデルが9月より順次、日本国内で発表・発売されている。その最後発となるXSR125も11月9日に正式発表、12月8日より発売となる。同車は先に登場した2モデルに対し、販売計画台数(3,000台/年)が多く見積もられており、最近では珍しく報道関係者向けに発表会を行うなど、ヤマハの力の入りようがうかがえる。
■文・撮影:中山五郎
■ヤマハ発動機 https://www.yamaha-motor.co.jp/mc/lineup/xsr125/
2000年代、最新モデルながらレトロな外観をもつミニやビートル、チンクエチェントといった四輪車が続々と登場、そういった流れが二輪でもヨーロッパを中心に関心が高まっていく。そんなカテゴリーは”NeoRetro(ネオレトロ)”と分類され、ヤマハでは2016年にXSR900を、2017年にはXSR700を国内市場に投入している。ちなみにヤマハのネオレトロ・モデルの称号「XSR」とは、「ヤマハ初の4ストローク車である『XS1』に始まるロードモデルの歴史を示し、『R』は創立以来継続しているレース活動を表現」しているという。
今回登場したXSRシリーズの末弟は、車両価格が手頃かつ利便性の高い原付二種モデル。都市部では電動アシスト自転車の普及などによって減少している原付一種に替わり、免許取得の簡便化により増加傾向にあるクラスだ。そこにスーパースポーツのYZF-R125、ネイキッドスポーツのMT-125 ABSと共に市場投入されることになる。購買層が比較的若いというXSRシリーズ(900・700)の中でもXSR125はさらに若く、価格よりデザインを重視し、初めてモーターサイクルを手に入れ、通学やバイトの移動として活用する「20歳・男性・大学生」をターゲットとしている。
先に発売されたYZF-R125/MT‐125ABSと骨格やエンジンなど基本的な部分は共用しながら、XSRは自然体のまま走り出すことができる水平を基調としたデザインが特徴。開発者は可変バルブ機構(VVA)を採用したエンジン、専用ECU、そしてトラクションコントロール・レスとしたことによって得られる楽しさや人車一体感を楽しんでほしいと語る。
昨今、軽二輪(250cc以下)の車両価格高騰もあり、ヤマハ発動機としては手が届きやすい125ccクラス久々となるフルサイズのスポーツモデルの充実は若者にとって歓迎すべきニュースと言える。欲を言えば、車両価格にほんの少しプラスすれば、自動車専用道路も使えることで、より広い行動範囲を手にすることができるYZF-R15同様、MTとXSRにも155cc版のラインナップを期待したいところ。