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ヤマハ発動機が「人とくるまのテクノロジー展2023」 に出展したレンジエクステンダー用のエンジンはMT-09!

 2023年5月24日(水)~26日(金)、神奈川県横浜市にあるパシフィコ横浜で「人とくるまのテクノロジー展2023 YOKOHAMA」が開催された。これは公益社団法人自動車技術会が主催する国内最大級の自動車技術展の横浜での展示会(7月5日~6日には名古屋展が予定されている)で、499社の出展する今回はリアル展とオンライン展(5月17日~6月7日)のハイブリッド開催となった。今年はコロナ禍明けということもあって3日間ともに盛況で、横浜でのリアル展には3日間でのべ63810名もの来場を集めることとなった。

 ここにヤマハ発動機が自動車向け製品・技術のコンセプトブランド「αlive(アライヴ)」のレンジエクステンダーユニットや水素エンジン等各種展示を行った。この「αlive」は、ヤマハ発動機らしい”息づかいを感じるテクノロジー”を投入し、自動車メーカーなどへの供給を目的とする製品や技術のことを指す。

 今回の展示では、αlive RX(レンジエクステンダー)、αlive H2E(水素エンジン)、αlive EE(エレクトリックエンジン)、αlive AD(アコースティックデザイン)が展示となった。

 今回初めてのお披露目となったのは、αlive RXのコンセプトモデル。電動モビリティのレンジエクステンダー(航続距離または運用時間の延長)としてのエンジンということで、ジェネレーターをセットにしたシリーズハイブリッド発電ユニット。このコンセプトモデルは、MT-09のエンジンをベースにジェネレーターを組み込んでおり、想定としては有人電動ドローンをイメージした表現が使われていた。このコンパクトなエンジンで、現時点での想定値となるが88kWを出力するとしている。また、ガソリンエンジン技術を基盤としながらも、ガソリン以外に今後はEフューエルやバイオ燃料といった次世代燃料も視野に入れているという。今後ユニットとしての実証実験を進めていきたいという。


 既にスーパー耐久シリーズの現場などでお披露目されているαlive H2Eは、排気量171ccの水素エンジンを使用した発電機という形態で登場。水素エンジンについては、カーボンニュートラルの実現に向けて選択肢のひとつとして、ガソリンエンジンの部品を流用できることからこれまでのサプライチェーンを活かせるというメリットもある。またBEVのデメリットである充電時間に対し、水素の供給ならばその時間の短縮もできるということで期待が高まっている技術のひとつ。水素の異常燃焼の制御、そして航続距離、さらにはインフラ整備という点についてまだまだ課題は残るものの、これを解決していくべく、開発を進めていくという。ちなみに、このコンセプトモデルは、水素を燃焼しCO₂を排出しない内燃機関と、19.6MPaの低圧水素ボンベ(20L)2本を搭載した荷台の形態をとっている。最大発電量は1.7kWという。

 油冷式モーターを2基搭載し、そのモーターを挟む形で減速機を組み合わせ、インバーターを別体としたαlive EE(エレクトリックエンジン)、専用の音響LSIを内蔵したコントロールユニットと専用スピーカーを用いて走行音をチューニングするサウンドデバイスαlive AD(アコースティックデザイン)も同時に展示された。

 これまでも4輪の世界で時折ヤマハ発動機の製品を目にしてきたが、今後もさらなる展開、そして我々が乗る市販車への採用に期待したい。

(文・写真:青山義明)







2023/05/29掲載