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レース・イベント

いよいよレース開幕! 2022年シーズンの 注目ポイントはコレだ!
■文・佐藤洋美 ■写真:赤松 孝







今季の全日本ロードレース選手権は全8戦が予定されており、最高峰JSB1000が13レースと増えた。王者・中須賀克行(ヤマハ)は11回目のタイトルに挑み、ライバルは「打倒中須賀」に燃える。ST1000は高橋裕紀vs渡辺一馬のホンダ勢のチャンピオン対決に、3年ぶり復帰の岩戸亮介(カワサキ)が挑めるか? ST600は、ゼッケン1不在の混戦だが、小山知良(ホンダ)の強さに、誰が戦いを仕掛けるかに注目。J-GP3は尾野弘樹の独壇場となるか? 話題が尽きない戦いが繰り広げられようとしている。
事前テストのレポートも入れ、最新情報を掲載。全日本ロードは、4月2日(土)、3日(日)のモビリティリゾートもてぎで開幕を迎える。

 

11回目のチャンピオン獲得に挑む中須賀克行。

 

■JSB1000 “絶対王者”中須賀克行の牙城を崩すのは誰だ!?

 最高峰JSB1000クラスは、ヤマハファクトリーの中須賀克行が昨シーズン、10回目のチャンピオンという大記録を打ち立てた。今季も「打倒中須賀」を掲げた戦いとなるが、その牙城は強固だ。そして、ヤマハファクトリーは、新星・岡本裕生を迎えた。
 そしてヨシムラとチームカガヤマがタッグを組み「YOSHIMURA SUZUKI RIDEWIN」が誕生。監督を加賀山就臣が務め、渡辺一樹を走らせる。
 

ヤマハファクトリーは王者・中須賀克行と新星・岡本裕生の体制。

 

ライダー引退を決めた加賀山就臣を監督に迎えたYOSHIMURA SUZUKI RIDEWINのライダーは渡辺一樹。

 
 一方ホンダ陣営は、清成龍一がアステモホンダからTOHO Racingへと移籍。アステモホンダのエースライダーになったのは作本輝介だ。SDG Honda Racingからは名越哲平。Honda Dream RT SAKURAI HONDAから、昨年ホンダ勢トップのランキング2位を獲得した濱原颯道。SDG Motor Sports RT HARC-PROから榎戸育寛が参戦を開始する。秋吉耕助(Murayama.Honda Dream.RT)、柳川明(KRP SANYOUKOUGYO RSITOH)、武田雄一(OGURA CLUTCH ORC with RIDE IN)といったファクトリーを経験した実力者もエントリーリストに名を連ねる。
 

清成龍一に替わりアステモホンダのエースライダーは作本輝介。

 
 3月24日(木)~26日(土)には、もてぎで開幕を前に事前テストが行われた。
 テスト初日は前夜の雪がコースサイドに残る極寒の中で始まった。1回目の走行では中須賀がトラブルでタイム更新できない中で、トップタイムは渡辺が記録、2回目には中須賀がトップに出るが転倒があり、心配されたが3回目の走行ではタイム更新して1番手、僅差で渡辺が続いた。2日目1回目の走行で渡辺がトップに立ち、2回目の走行は中須賀がトップタイムの1分48秒825、渡辺も1分48秒994に入れた(以下、タイムは参考タイム)。3番手は濱原で1分50秒004、そして津田一麿(BabyFace Powered by YOSHIMURA)、秋吉、岡本、作本らが続いた。3日はタイヤメーカーテストだったが、メーカー系のチームは不参加となり、Team ATJの岩田悟、Honda Suzuka Racing Teamの亀井雄大がトップタイムを競った。亀井が1分49秒941を記録しトップタイムを記録する。
 

昨シーズンはランキング2位に躍進した濱原颯道(Honda Dream RT SAKURAI HONDA)。

 

SDG Motor Sports RT HARC-PROからは榎戸育寛が挑む。

 
 コースレコードは中須賀の1分46秒878。テストタイムでの判断は難しいが、中須賀に渡辺が肉薄していることは確かだ。渡辺は昨年スポット参戦で開幕戦に出場し、ポールポジションスタートで表彰台に登っている(レース1は3位、レース2は2位)。

 この戦いにルーキー勢が、どう戦いを挑むのかに注目だ。岡本、作本、榎戸はST1000からのステップアップ組、若い力がレースをかき回してくれることに期待が集まっている。
 ちなみに名越と清成は、鈴鹿ファン感謝デーの後の3月7日(月)に行われた2輪合同テストで転倒し負傷したため、今回のテストには不参加。名越は第2戦の2&4鈴鹿復帰を目指すことがリリースされた。また、清成に関しても現在復帰を目指してリハビリ療養中のため、開幕戦を見送ることになってしまった。なお復帰時期については未定。
 

秋吉耕助はMurayama.Honda Dream.RTから。

 

今年51歳になる柳川明(KRP SANYOUKOUGYO RSITOH)もまだまだやる。

 

■ST1000 全日本フル参戦復帰の高橋裕紀がチャンピン奪還を狙う

 ゼッケン1を付けてAstemo Honda Dream SI Racingの渡辺一馬が連覇を誓う。JAPAN POST HondaDream TPの高橋裕紀は初年度チャンピオンで、昨年はTSRからEWC(世界耐久選手権)に挑戦し全日本はスポット参戦だったが、今シーズンはフル参戦でV奪回を誓う。
 ヤマハ勢は、AKENO SPEED YAMAHAから南本宗一郎、DOGFIGHTRACING YAMAHAから豊島怜が参戦し上位を狙う。
 スズキは、津田拓也(AutoRace Ube Racing Team)。チームメイトに、ロードレース世界選手権で活躍した岡田忠之の長男、秀之がエントリーしている。村瀬健琉(Team TKR performance)は継続参戦。
 

ゼッケン1の渡辺一馬(Astemo Honda Dream SI Racing)は連覇を誓う。

 

昨年、EWCに挑戦していた高橋裕紀は、今シーズンフル参戦となり、チャンピオン奪還を狙う。

 
 カワサキはKawasaki Plaza Racing Teamから岩戸亮介が3年ぶりに全日本参戦を開始する。MATSUBA RACING PROJECT&RS-ITOHから長谷川聖が参戦。チームメイトに中村竜也がST600からステップアップして加わった。TOHO Racingの國峰啄磨もステップアップして参戦。TONE RT SYNCEDGE4413 BMWから石塚健が4年ぶりに全日本を戦う。CEV REPSOL Moto2 ヨーロッパ選手権を3年間戦った石塚の走りに注目が集まる。
 

AKENO SPEED YAMAHAの南本宗一郎。
スズキの村瀬健琉(Team TKR performance)。

 
 テスト初日1回目は前田恵助(Team GYTR)がトップにつける。2回目に高橋、3回目に渡辺とトップが入れ替わった。2日目には渡辺が唯一の1分50秒961と50秒台にタイムを入れた。高橋、南本が51秒台で続く。2回目には高橋がトップ、渡辺、南本が続いた。3日目は石塚がトップタイムを記録した。レコードは榎戸の1分50秒052。初年度王者の高橋、昨年のチャンピオン渡辺のトップ争いになると見られているが、南本、津田、岩戸、石塚ら、メーカーが入り乱れてのトップ争いへの期待が高まる。
 

岩戸亮介(Kawasaki Plaza Racing Team)が3年ぶりに全日本参戦を開始する。
カワサキの中村竜也(MATSUBA RACING PROJECT&RS-ITOH)がST600からステップアップ。

 

■ST600 エントリー台数32台。ゼッケン1が不在のクラスを制するのは?

 昨年チャンピオンを獲得した埜口遥希がアジアロードレース選手権参戦を決め、ゼッケン1不在の戦いとなる。最多勝を獲得しランキング2位のJAPAN POST HondaDream TPの小山知良がVを狙う。そこに挑むのがMOTOBUM HONDAの荒川晃大。SDG Motor Sports RT HARC-PROから、Moto3を走っていた國井勇輝が参戦を決めた。
 また、ホンダのMotoGPテストライダーとなった長島哲太が立ち上げた「TN45 with MotoUP Racing」からCEV REPSOL Moto2 ヨーロッパ選手権で活躍していた羽田太河、そして2019年アジアタレントカップ王者の西村硝が参戦する。Astemo Honda Dream SI Racingからはタイ人ライダーのムクラダ・サラプーチ(Muklada SARAPUECH)が参戦を開始とグローバルな展開が見える。
 

ベテランの小山知良(JAPAN POST HondaDream TP)が虎視眈々とチャンピオンを狙う。
小山に挑むのが同じくホンダの荒川晃大(MOTOBUM HONDA)。

 

長島哲太が立ち上げた「TN45 with MotoUP Racing」から羽田太河がエントリー。
Astemo Honda Dream SI Racingからは参戦するタイ人ライダーのムクラダ・サラプーチ。

 
 ヤマハ勢は、TBB TEAMKENKEN YTch L8の長尾健吾を筆頭に、昨年の後半戦で急成長した阿部恵斗(Nitroracing51 Yamaha)。AKENO SPEEDYAMAHAの井出翔太も継続参戦。また、Webike team Norick YAMAHAのエースライダーを故阿部典史(ロードレース世界選手権トップライダー)の長男、阿部真生騎が務める。スーパーバイク世界選手権で活躍した芳賀紀行の次男、涼太(NITRO RACING41 Yamaha)も引き続き参戦する。
 テストでは荒川が1分53秒254とタイムを伸ばしトップタイムで先陣を切った。レコードは國峰啄磨の1分53秒287で、荒川を破り存在感を示す。エントリー台数は32台と全日本では、最も多い激戦区であり、才能豊かな若手の宝庫だ。開幕戦で、誰が先陣を切り、主導権を握るか注目だ。
 

急成長した阿部恵斗(Nitroracing51 Yamaha)に期待したい。
AKENO SPEEDYAMAHAの井出翔太は継続参戦だ。

 

故・阿部“ノリック”典史の長男、阿部真生騎がWebike team Norick YAMAHAのエースライダーを務める。
スーパーバイク世界選手権で活躍した芳賀紀行の次男、涼太(NITRO RACING41 Yamaha)も継続参戦。

 

■J-GP3 チャンピオン・尾野弘樹に挑むのは?

 チャンピオン尾野弘樹が7Cから継続参戦。尾野とタイトルを争った小室旭が引退し、勢力図が変わる。実力者の徳留真紀(MARUMAE MTR)が継続参戦。昨年、悲願の表彰台を獲得した高杉奈緒子もTEAM NAOKO KTMから参戦する。岡崎静夏はJAPAN POST Honda Dream TPに移籍して心機一転、上位進出を狙う。テストでトップタイムは尾野で2分00秒730と、唯一の00秒台で、速さを示した。
(文:佐藤洋美)
 
●2022年カレンダー
第1戦 スーパーバイクレースinもてぎ 4月2日(土)~4月3日(日)
JSB1000/2レース、ST1000、ST600、J-GP3、JP250
モビリティリゾートもてぎ(栃木)
第2戦 鈴鹿2&4レース 4月23日(土)~4月24日(日)
JSB1000/2レース
鈴鹿サーキット(三重)
第3戦 オートポリススーパー2&4レース 5月21日(土)~5月22日(日)
JSB1000 /2レース
オートポリス(大分)
第4戦 スーパーバイクレースin SUGO 6月4日(土)~6月5日(日)
JSB1000/2レース、ST1000、ST600・2レース、J-GP3,、JP250
スポーツランドSUGO(宮城)
第5戦 筑波大会 6月26日(日)
J-GP3、JP250
筑波サーキット(茨城)
第6戦 スーパーバイクレースin九州 8月27日(土)~8月28日(日)
JSB1000、ST1000/2レース、ST600、J-GP3、JP250
オートポリス(大分)
第7戦 スーパーバイクレースin岡山 9月17日(土)~9月18日(日)
JSB1000、ST1000、ST600、J-GP3、JP250
岡山国際サーキット(岡山)
第8戦 第54回MFJグランプリ スーパーバイクレース in 鈴鹿 11月5日(土)~11月6日(日) JSB1000/3レース、ST1000、ST600、J-GP3、JP250
鈴鹿サーキット(三重)
 



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2022/03/30掲載