YAMAHA CYGNUS GRYPHUS/CYGNUS GRYPHUS WGP 60th Anniversary 車両解説
2003年7月の発売以来、ヤマハの原付二種スクーターの顔として定着してきたシグナス-Xシリーズがフルモデルチェンジされた。最大の特徴は、CYGNUSシリーズ初の水冷エンジンの搭載で、名称も新たに“GRYPHUS”(シグナス グリファス)と命名されての登場だ。
水冷“BLUE CORE (ブルーコア)”エンジンの採用ほか、静粛かつ振動の少ないエンジン始動を可能とする「Smart Motor Generator」、および全域でのハイパワーに貢献する「VVA(可変バルブ)」。そしてそのエンジンを搭載する新設計フレームと、新開発のワイドタイヤなどスポーティな走行性能を支える足回り、CYGNUSの血統を受け継いだ新スタイルなどなど。ちなみに開発コンセプトは“Advanced Total Performance Sport”だ。
ここでざっと原付二種SYGNUSの歴史を追っておくと、2004年8月にスポーティな“SR”バージョンがシリーズに加わっている。2005年10月には、ヤマハの50周年を記念した“50th Anniversary”モデルの発売なども行われ、今回のフルモデルチェンジでは、スペシャルカラーを身にまとった“WGP 60th Anniversary”のラインナップで花を添えた形だ。
2007年10月には、シグナス-Xシリーズ初の本格的なモデルチェンジが行われて2代目に発展。平成19年国内排出ガス規制に対応するためのF.I.化や、ポジションランプ一体型ヘッドライトを採用、シートの快適性アップを含むボディスタイルの変更、そして新型メーターパネルの採用などが行われた(SRは若干遅れて12月発売)。
2011年2月には、SRがマイナーチェンジ。アナログ式タコメーターと、ホワイト、オレンジ、グリーンから液晶画面の照明色を選べるデジタル式スピードメーター、タンデムステップ、そして新立体エンブレムなどが採用されている。また台数限定で“ヤマハ・ファクトリー・レーシング”の伝統カラーを纏ったSRのロードレース世界選手権参戦50周年記念モデルも2012年2月に発売された。
2013年2月には、3代目シグナス-Xシリーズとなるモデルチェンジが行われ、より大型化されたヘッドライト、そしてその左右には、LEDポジションライトも追加され、テール回りはLED化が行われた。ボディの基本構造は変わらないものの、トランク容量も約31.0リットルへと増加されるなど、使い勝手の面でも熟成が行われた。2014年4月には、YSP誕生30周年を記念した限定カラー&グラフィックモデルが発売されている。2015年2月には、ビビッドなカラーリングの“SHOW OFF SPORTY”系3色と、都会的な落ち着いたセンスの“URBAN SPORTY”系2色の計5色のラインナップとカラー設定の変更で2015年モデルとなっていた。
2015年11月にシグナス-Xは、4代目に発展する。“クリーン・ダイナミック・テクノロジー”をキーワードにスタイルが一新されたのを始め、新型フレームに新型前後サス、新型5本スポークホイール等が採用された。エンジン面でも実用域のトルクを強化、加速性能を向上させながらも実用燃費をアップした新型となっている。コンセプトは“ダイナミック・シグナス-X”だった。
2017年の2月には、この新型シグナス-Xにスピードブロックのワンポイントをアレンジしたサイドカバーや、ヤマハレーシングブルーとシルバー、ツートーンのボディカラーを採用したSPECIAL EDITONが700台の限定で発売されている。また2017年8月には、シリーズ本体のシグナスX XC125SRのモデルチェンジと合わせて、MotoGPで活躍するレーシングマシン、YZR-M1のカラーリングイメージを取り入れた特別仕様が1,300台の台数限定で発売された。
2018年2月には、シグナス-X SRに「マットダークブルーイッシュグレーメタリック2」と「マットブラック2」の新色2色が追加設定され、継続色のホワイト系、ガンメタ系、ブルー系、イエロー系と合わせて全6色のラインナップに。
2018年11月には、シリーズ本体のシグナス-Xのマイナーチェンジが行われ“新しい顔”が与えられた。LEDの採用によりヘッドランプが小型化され軽快なデザインに変更。テールランプも導光タイプのLEDテールランプが採用された。また、メーターにフルデジタルの液晶マルチファンクションタイプが採用されたほか、USB対応の12V・DCジャックの装備など使い勝手の向上なども行われている。
2019年9月には、2017年のスペシャルエディションと同様、MotoGPで活躍するレーシングマシン、YZR-M1のイメージを再現した“CYGNUS-X Monster Energy Yamaha MotoGP Edition”を設定し、1,300台の台数限定で発売している。
2020年4月には、カラーリングの設定を変更して2020年モデルとして発売する。「ディープパープリッシュブルーメタリック C」(ブルー)、「ブルーイッシュホワイトカクテル 1」(ホワイト)の新色とレッドとブラックの継続色というラインナップだった。
★ヤマハ ニュースリリースより (2021年11月16日)
原付2種スクーター「CYGNUS GRYPHUS」発売
~シリーズ初の水冷“BLUE CORE”エンジン搭載で出力・燃費を向上~
ヤマハ発動機株式会社は、水冷・124cm3の“BLUE CORE※”エンジンを搭載した原付2種スクーターの新製品「CYGNUS GRYPHUS(シグナス グリファス)」を2021年12月23日に発売します。また、ロードレース世界選手権参戦60周年記念カラーを施した「CYGNUS GRYPHUS WGP 60th Anniversary」を1,000台限定で、2月24日に発売します。
「CYGNUS GRYPHUS」は、“Advanced Total Performance Sport”をコンセプトに開発しました。現行の「CYGNUS-X」をフルモデルチェンジした、CYGNUSシリーズ初の水冷エンジン搭載車です。パワーは従来比で20%以上、燃費は約20%向上(WMTCモード燃費/クラス1)しました。
主な特徴は、1)走りの楽しさと燃費・環境性能を両立する水冷“BLUE CORE (ブルーコア)”エンジン、2)静粛かつ振動の少ないエンジン始動をもたらす「Smart Motor Generator」、および全域でのハイパワーに貢献する「VVA(可変バルブ)」、3)新設計フレームと新開発のワイドタイヤなどスポーティな走行性能を支える足回り、4)CYGNUSの血統を受け継いだ新スタイル、5)快適便利な装備などです。
なお、本製品の製造はヤマハモーター台湾で行います。
※ BLUE CORE:ヤマハ発動機株式会社は、“走りの楽しさ”と“燃費・環境性能”の両立を高次元で具現化するエンジン設計思想として、2014年より“BLUE CORE”を掲げています。この思想は高効率燃焼、高い冷却性、ロス低減の3点にフォーカスして性能実現を図るもので、「CYGNUS GRYPHUS」のエンジンもこの“BLUE CORE”思想に基づき開発しました。商標登録第5676267号。
- 名称
- CYGNUS GRYPHUS
- ●カラー
- ブルーイッシュグレーソリッド4(グレー)
- ディープパープリッシュブルーメタリック C(ブルー)
- ブラックメタリック X(ブラック)
- ホワイトメタリック 1(ホワイト)
- 発売日
- 2021年12月23日
- ●メーカー希望小売価格
- CYGNUS-X 357,500円(消費税抜き本体価格325,000円/消費税32,500円)
- ※価格(リサイクル費用を含む)には保険料・税金(消費税を除く)・登録などに伴う諸費用は含まれておりません
- ●販売計画台数
- (年間、国内) 7,000台
- 名称
- CYGNUS GRYPHUS WGP 60th Anniversary
- ●カラー
- シルキーホワイト(ホワイト)
- 発売日
- 2022年2月24日
- ●メーカー希望小売価格
- CYGNUS-X 368,500円(消費税抜き本体価格335,000円/消費税33,500円)
- ※価格(リサイクル費用を含む)には保険料・税金(消費税を除く)・登録などに伴う諸費用は含まれておりません
- ●販売計画台数
- (台数限定、国内) 1,000台
- 【CYGNUS GRYPHUS の新たな特徴】
- 1) 走りの楽しさと燃費・環境性能を両立する水冷“BLUE CORE (ブルーコア)”エンジン
- 高燃焼効率、ロス低減、冷却性の3点を照準に開発し、走りの楽しさと燃費・環境性能を両立させる“BLUE CORE (ブルーコア)”エンジンを搭載しました。
CYGNUSシリーズ初の水冷エンジンです。
燃焼室は、パワーと燃費の両立を図るためコンパクトに設計。高効率燃焼のポイントとなる圧縮比は、従来の10:1 から11.2:1 へと高め、混合気のタンブル(縦渦)を効果的に生成させ、FI セッティングとの相乗効果で高出力と燃費性を備えています。
出力は20%以上、燃費は約20%向上(WMTC モード燃費 クラス1)を図っています。 - 2) 静粛かつ振動の少ないエンジン始動をもたらす「Smart Motor Generator」
全域でのハイパワーに貢献する「VVA(可変バルブ) - エンジンには、「始動モーター」と「ジェネレーター」が一体化したSMG(Smart Motor Generator)を採用しました。始動時は始動モーターとして機能し、走行時はジェネレーターとして働きます。従来の始動モーターと減速ギアが不要となり、軽量・コンパクト化・静粛始動を実現しています。
また、エンジンにはVVA(Variable valve actuation=可変バルブ)を採用。
低速向けと中高速向けのカム(吸気側)のリフト量が6,000r/minで切り替わる機構で、相互にトルクカーブを補完し全域優れたトルク特性を発揮します。 - 3) 新設計フレームと新開発のワイドタイヤなどスポーティな走行性能を支える足回り
- 新エンジンの搭載・重心位置最適化と、ボディ剛性をバランスさせた新設計のアンダーボーン型フレームを採用。メインパイプは左右非対称で、またテンションバーによるチューニングにより強度剛性としなやかさをバランスさせました。さらに、スペース効率を配慮した設計により十分なシート下トランクスペースを確保しています。
また、新ディメンションにより、良好な直進安定性と、スポーティで機敏な操縦性を両立。ホイールベースは現行モデル比で35mm ロングの1,340mm、キャスター角は現行27°00′に対し、26°30′としました。新開発のフロント120/70-12、リア130/70-12 のワイドタイヤとのバランスにより、直進安定性と機敏な操縦性を兼ね備えています。
ブレーキには、フロントφ245mm、リアにはφ230mm(従来比30mm大径化)のディスクブレーキを採用。リアブレーキ操作でフロントブレーキもバランスよく効力を発生させるUBS(ユニファイドブレーキシステム)により、制動時の車体挙動に穏やかさをもたらします。
さらにφ33.0mm インナーチューブの正立式フロントサスペンションと、走行状況に応じてイニシャルを4段階調整できる2本のリアサスペンションを採用。減衰力特性を最適化しており、落ち着いた乗り心地に寄与しています。 - 4)CYGNUS の血統を受け継いだ新スタイル
- 新エンジンと新フレーム採用にあわせ、スタイリングを刷新しました。ポイントは、CYGNUSシリーズを継承・進化させた“安定感のある乗り味”と、さらに進化した“スポーティ性能の表現”によるダイナミックな造形です。
LEDヘッドランプは、従来の1灯式からシャープな2灯式に進化。
ロービームでは右側が点灯、ハイビームで左右両方が点灯し、デザインコンセプトの“Glaring Predator”の通り、肉食動物が獲物を捕らえる時の表情をイメージさせます。また上質感ある面発光テールランプは、鋭い肉食動物の目線を想起させます。 - 5) 快適便利な装備
- ・見やすい大型液晶デジタルメーター
- ・28L容量シート下トランク
- ・USBソケットを備えたフロントポケット
- ・給油のしやすさに配慮したフロント給油口
- ・28L容量シート下トランク
」
主要諸元
車名型式 | 8BJ-SEJ4J | |
---|---|---|
CYGNUS GRYPHUS | ||
発売日 | 2021年12月23日 | |
全長×全幅×全高(m) | 1.935×0.690×1.160 | |
軸距(m) | 1.340 | |
最低地上高(m) | 0.125 | |
シート高(m) | 0.785 | |
車両重量(kg) | 125 | |
乾燥重量(kg) | – | |
乗車定員(人) | 2 | |
燃費消費率(km/L)※1 | 48.6(国土交通省届出値 定地燃費値※2 60km/h 2名乗車時) | |
44.5(WMTCモード値 クラス1 1名乗車時※3) | ||
登坂能力(tanθ) | – | |
最小回転半径(m) | – | |
エンジン型式 | E33UE | |
水冷4ストローク単気筒SOHC4バルブ | ||
総排気量(cm3) | 124 | |
内径×行程(mm) | 52.0×58.7 | |
圧縮比 | 11.2 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 9.0[12]/8,000 | |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 11[1.1]/6,000 | |
燃料供給装置形式 | フューエルインジェクション | |
始動方式 | セルフ式 | |
点火方式 | T.C.I.式(トランジスタ) | |
潤滑油方式 | ウェットサンプ | |
潤滑油容量(L) | 1.00 | |
燃料タンク容量(L) | 6.1 | |
クラッチ形式 | 乾式遠心シュー | |
変速機形式 | Vベルト式無段変速 | |
変速比 | 2.384~0.749 | |
一次/二次減速比 | 1.000/10.208 | |
キャスター(度) | 26°30′ | |
トレール(mm) | 90 | |
タイヤサイズ | 前 | 120/70-12 51L |
後 | 130/70-12 56L | |
ブレーキ形式 | 前 | 油圧式シングルディスク |
後 | 油圧式シングルディスク | |
懸架方式 | 前 | テレスコピック式 |
後 | ユニットスイング | |
フレーム形式 | アンダーボーン |
※1:燃料消費率は、定められた試験条件のもとでの値です。使用環境(気象、渋滞等)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状態などの諸条件により異なります。
※2:定地燃費値は、車速一定で走行した実測の燃料消費率です。
※3:WMTCモード値は、発進、加速、停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果からの計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます。
- 「CYGNUS GRYPHUS」フィーチャー
- ・ホールド性と快適性を兼ねた高密度クッション採用のシート
- ・セパレートグラブバー
- ・LEDテールランプ・ストップランプ
- ・4段階イニシャル調整機構付リアサスペンション
- ・ユニファイドブレーキシステム
- ・φ230mmディスクブレーキ
- ・新開発130/70-12高性能タイヤ
- ・約28Lのシート下収納
- ・大型フル液晶メーター
- ・USBソケットを備えたフロントポケット(500mlペットボトル収納可能)
- ・LEDヘッドランプ(Lo:右側、Hi:両側点灯)
- ・LEDポジションランプ
- ・減衰特性を最適化したフロントサスペンション
- ・φ245mmディスクブレーキ
- ・新作12インチアルミダイキャスト製ホイール
- ・新開発120/70-12高性能タイヤ
- ・強度剛性バランスを整えた新フレーム
- ・水冷,4ストローク,SOHC,4バルブ,124cm3 ”BLUE CORE”エンジン
- ・静かなエンジン始動をもたらすSmart Motor Generator
- ・全域での高トルクに貢献するVVA
- ・オフセットシリンダー・軽量鍛造ピストン・DiASilシリンダー