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試乗・解説

まいった、 これは歴代最強の125ccか! 新型は、DOHC4バルブ! Honda CB125R
盛り上がりを見せている125ccスポーツに
またひとつ、強力モデルが新登場!
人気モデルCB125RがSOHC2バルブから、
DOHC4バルブエンジンに刷新されたのだ。
けれど、実はそれ以上にデカい変更があって……。
■試乗・文:中村浩史 ■撮影:依田 麗 ■協力:ホンダモーターサイクルジャパンhttps://www.honda.co.jp/motor/ ■ウエア協力:アライヘルメットhttps://www.arai.co.jp/jpn/top.html、クシタニhttps://www.kushitani.co.jp/




私のビッグバイクと「もう1台」史

 知ってくれている人もいるだろうけれど、実は私、ほんの1年前くらいまでCB125Rのオーナーでした( CB125R買いましたはコチラ→ http://www.mr-bike.jp/?p=156071?from=mr-bike )。
 CBを買ったのには、ちょっと長いストーリーがあってね、まぁ聞いてください。もともと私、ごく普通のバイク乗りで、乗って来たバイクも大型の4気筒ばっかり。そのビッグバイクと一緒に、街乗り用の250ccなんかをもう一台持っていたんだけれど、この「もう1台」をいろいろ乗り替えていたんです。

 最初はやっぱりビッグスクーター。バイクに乗る「前」の儀式が何もいらない便利さが良かったなぁ。乗るウエアもクツも選ばなくていいし、荷物がある時はシート下にポン、暖機運転もなしにブーンッて走り出せる。
 次はオフ車に乗りました。250ccのオフロード車と100ccのモタードで、タイヤをオンロード向きなのに取り替えて、ひょいひょい小回りが利くのが良かったなぁ、と。
 そして次に出会ったのが125DUKEでした。ギア付き125ccなんて、小さくて便利なのはわかるけれど、それだったらスクーターの方がよくない? って思ってたんだけれど、まぁコレが面白い! そんなにガンガン飛ばさなければ(もともと公道じゃスピードなんか出しませんし・笑)、かちゃかちゃシフト操作しながら走るのが楽しいし、サーキットランもサイコーに楽しくて。当時はDUKEに限ったことだけれど、125ccなのに車体がしっかりしていたのも、楽しいバイクだ、って感じた要因なんだろうと思うんです。
 なんせDUKEは、倒立フォークに前後17インチ、ABS(は私の初期型にはついていなかったけど)、水冷DOHC4バルブエンジン、デジタルメーター! まさに新世代125スポーツ!
 なにせ私の世代の125ccっていえば、上のクラスのお下がりで、装備だってそれなり。コストダウンが激しくて、それが125ccの大きなメリットだったから、当時はそれが正しかったんだと思うんです。
 

 
 そして、きっとDUKEに影響された(と私は思うんだけれど)2018年に発売されたCB125Rも、実に装備が充実した新世代125スポーツでした。エンジンの元気さはDUKEも同じ125ccなりだけれど、車体のしっかり感、基本設計がすごくよくできているな、って。
 それで、DUKEも6~7年乗って少しくたびれてきていたからイチもニもなくCB125Rを買ったのでした。
 そしてやっぱりCBも期待通りの新世代125スポーツ! DUKEを超えてたのは、最初からラジアルタイヤだったことと、125ccなのにまさかの4ピストンキャリパー、IMU付きABSまでが標準装備だったこと! DUKEより6~7年、基本設計が新しい分だけ、確実に進化していたのを実感しました。
 その後はモンキー125の方が気に入って買い替えちゃったんだけど、今でもあぁCB持ってたらよかったなぁ、って思いますから。でも125を2台持ってても……ねぇ。

 そして、ニューCB125R。パッと見では、フォークのアウターチューブとホイールカラーがゴールドになって高級感が増したな、って感じ。そういえばアンダーカウルがシルバーじゃないし、フロントフェンダーがボディ同色になってる! みなさん、アンダーカウルがシルバーでブラックホイールが旧型ですからね。
 それより大きな違いは、エンジンがSOHC2バルブからDOHC4バルブとなったこと。エンジンの変更で、最高出力は13ps/10000rpmから15ps/10000rpmに、最大トルクは1.0kg-m/8000rpmから1.2kg-m/8000rpmにアップ。数字の上ではひと回りパワーが上がってるけれど、まぁ125ccなんだもの、そう大きな違いはないだろう、って思っての試乗だったんです。
 

 
 エンジンをかける。そうすると、もうサウンドからして違う。音量は変わらず、少し太く低くなったようなサウンド。これ大げさでなく、オーナーならきっとわかる。
 走り出しも、まさにトルクがひとまわり太い。えぇぇ、こんなに変わるものなんだ! 通常、2バルブと4バルブのエンジンを比較すると、2バルブの方が低回転トルクが太くて燃費が良く、4バルブの方が高回転が伸びてパワーが出る、と。
 2バルブと4バルブの比較となると、ホンダにはこの2通りのエンジンを回転数によって切り替える「REV」「Vテック」そして現在では「ハイパーVテック」って技術がある。その技術資料には、エンジンには、回転数によって最適な吸排気効率と燃焼効率があって「低・中回転域では2バルブの方が、高回転域では4バルブの方がベストな燃焼を実現して、スムーズで伸びのある出力特性を発揮する」とある。
 高回転高出力のために4バルブが採用されるのは、第一に吸気の流入抵抗を下げるため、吸入面積を広く取るのが目的なんだけれど、それだと低回転域で出力が落ち込み、アイドリング不良にもつながる、なんて言われていた時期もあった。これが低回転のドライバビリティには2バルブ、高回転のビッグパワーには4バルブがいい、と言われる理由だ。
 

 

まいった、これは史上最強の125ccだ

 つまりニューCB125Rはより高回転型になった、ということ。けれど、もちろんホンダの技術資料にある「4バルブエンジンの低回転域の出力落ち込みとアイドリング不良」という点についても、キャブレター時代ではなくインジェクション時代となった今では、燃料噴射で解決できているはず。つまり、4バルブの欠点はクリアされているということ。そんな新型、ファンタスティック!

 ニューCB125Rのエンジンは、発生回転は同じまま、馬力2PS&トルク0.2kg-mアップとは思えない力強さ。アイドリングすぐ上から発進→加速の回転域はトルクがひとノセされた感じで、そこから高回転につながっていって、7500rpmくらいからもうひと伸び! この回転域の力強さがハイライトでしょうね。
 旧2バルブモデルは、街中でよく使うような低回転域が使いやすくて、5000rpmくらいで力強くなって、そのままフラットトルクで高回転につながっていくフィーリングだったのが、低回転域からトルクが厚くなり、今までよりも高い回転域で伸びる、と。そういうエンジンになりました。
 実は従来モデルも、海外専売=逆輸入モデルとしてCB150Rが小数、日本にも入荷しているんだけれど、ニューCB125Rの高回転域は、その150ccに迫った印象。もちろん、この排気量の+25ccはかなり大きく、1000ccと1200ccくらいの違いがあるんだけれど、150ccの方がパワフルなまま、そこに迫った、と。だって150ccは国内正規発売されていないし、ファミリーバイク特約で任意保険も入れませんからね。
 高速道路には乗れないけれど、ミニコースでトライしてみると、トップ6速で50km/hは4000rpm、60km/hで5000rpm、ここまでが公道で出していいスピードで、70km/hは5800rpmくらい、最高速は約130km/hあたりです。実測で、旧2バルブモデルより15~20km/hアップしてますね。
 

 
 そして、エンジン変更と同じくらいお知らせしたいのがCB125Rの車体の充実度。倒立フォーク、鋼板プレススイングアーム、パイプフレームの基本構成は変更ないものの、フォークに新たにショーワ製のSFF-BP倒立フォークを採用。詳細は下のディテール写真に詳しいけれど、実はエンジンのDOHCよりも、このフォーク採用の方がビッグニュースなんじゃないか、と思うほど。
 SFF-BPフォークは、左右それぞれのフロントフォーク一本ずつに調整機構を持たせるもので、片方に減衰力機能、もう片方にスプリング機能を持たせるシステム。BPとはビッグピストンフォークのことで、SFFについては大きな違いは分からないまでも、BPについてはフロントがよく動くように、さらに減衰がしっかり効いているのがよくわかりました。
 これは、サーキットで減衰がどうのこうのというよりも、まず乗り心地が良くなってます。フワフワしてるけれど、ピシッと動く、的な動きで、フィーリングが上質になりました。
 

 
 エンジン、車体ともグレードアップしたニューCB125R。もちろん、細かい変更の積み重ねの改良で、旧2バルブが絶対的に劣っているわけじゃないけれど、新4バルブの方が絶対にオススメ。1980年代終わりからこれまで、数々の125ccスポーツに乗ってきたけれど、ニューCB125Rは最高の出来の125ccスポーツだと思う。
 これで、価格は旧型の税込み44万8200円から47万3000円。税抜き価格は43万円で、これは驚くなかれ、1989年(32年前)発売のイタリアホンダ生産のNSR125Fよりも安い!からね。旧2バルブモデルよりも2万5000円くらい高くなったけれど、その価値は絶対にある!と思います。
 やばい、またCB125R欲しくなってきちゃってます。
(試乗・文:中村浩史)
 

 

ライダーの身長は178cm。写真の上でクリックすると両足着き時の状態が見られます。

 

先代から引き続き、おそらく125ccクラス初採用のはずの対向4ピストンキャリパーを採用。ローターはφ296mmのウェーブディスク、ホイールカラーがゴールドに変更された。
フォークも125ccクラス初採用のショーワ製SFF-BP倒立フォーク。SFFはセパレートファンクション、つまりフォーク1本ずつに「減衰力機構」と「スプリング機構」を別々に持たせたもの。BPはビッグピストンの意味で、ピストンサイズを大きくすることで応答性を上げたもの。NinjaZX-25Rにも使用されているが、通常は大排気量モデル採用を想定されていた。ホイールとともにフォークアウターチューブもゴールドとなった。

 

SOHC2バルブエンジンは、今回のモデルチェンジでDOHC4バルブへ。本文中にあるように、2バルブのメリット、4バルブのデメリットを超えたDOHC化で、エンジン始動時からサウンドも変わって、低回転から高回転まで全域でトルクアップ。ピークパワー発生回転数は変わらないが、DOHC化で高回転の伸びもシャープになった。

 

スイングアームは高張力鋼板プレス製。ロングアームレイアウトで動きがよく、運動性の高さに貢献している。ブレーキはφ220mmのウェーブディスクに片押し1ピストンキャリパーを採用。ABSは全車標準装備。キャリパーは前後ニッシン製だ。

 

車体デザインが似ているCB250Rはロングマフラー、125Rはショートマフラーを採用。マフラーエンドが耳に近いことで、先代よりも低くなったサウンドがよく耳に届く。
フレームから独立させたスイングアームピボットのおかげか、剛性の高すぎないしなやかな動きが実感できるリアサス。サスペンション本体は減衰力調整機構はなく、プリロードのみ。

 

前後別体のシートは、シート高815mmと、なんとCB250Rよりも高いが、シートのカドがえぐられていて足が降ろしやすく、足着きは悪くない。キーオープン式のタンデムシート下には小物入れスペースがある。ヘルメットホルダーはタンデムシート下のフックと内蔵のコードを使用。

 

燃料タンクは10L。カタログデータでは燃費はSOHC2バルブよりやや落ちて46.8km/Lと表記されているが、今回の試乗では実測52.5km/Lをマーク。タンク前方にバッテリーがある。
CB1000R/650R/250Rと共通のショートテール、ロングフェンダーデザイン。テールランプはLED、テールレンズ下にタンデムシート開閉用のキーシリンダーがある。

 

トップブリッジへのクランプ部が太く(Φ28.6mm)、両グリップ部に従って細く(Φ22.2mm)したバーハンドル。締結剛性はたかく、グリップ部がしなることも軽いハンドリングに役立っているという。
フルデジタル仕様のメーターパネルは左に燃料計、中央にスピード、右にギアポジションを表示。タコメーターはバーグラフ式で、ギアポジション左には上段にオド&ツイントリップ、ストップウォッチと、下段に平均&瞬間燃費、使用燃料量、平均速度を表示する。

 

これもCB1000R/650R/250Rと共通の「ネオスポーツカフェ」シリーズ一連のヘッドライトデザイン。薄型ヘッドライトボディをフォーク間に埋め込むようにレイアウト。昔の「F」のように、ライト下にダブルホーンを装備するだけでずいぶん印象は変わると思うのだけど。

 

●CB125R 主要諸元
■型式:ホンダ・8BJ-JC91 ■エンジン種類:水冷4ストローク単気筒DOHC4バルブ ■総排気量:124cm3 ■ボア×ストローク:57.3×48.4mm ■圧縮比:11.3 ■最高出力:11kw(15PS)/10,000rpm ■最大トルク:12N・m(1.2kgf・m)/8,000rpm ■全長×全幅×全高:2,040×820×1,055mm ■ホイールベース:1,345mm ■最低地上高:140mm ■シート高:815mm ■車両重量:130kg ■燃料タンク容量:10L ■変速機形式:6段リターン ■タイヤ(前・後):110/70R 17M/C 54H・150/60R 17M/C 66H ■ブレーキ(前/後):油圧式ディスク/油圧式ディスク ■懸架方式(前・後):テレスコピック式(倒立サス)・スイングアーム式 ■車体色:マットガンパウダーブラックメタリック、キャンディクロモスフィアレッド、パールスモーキーグレー ■メーカー希望小売価格(消費税10%込み):473,000円

 



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2021/06/07掲載