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試乗・解説

HONDA GB350 「待ってました! 普通二輪免許枠のちょうどいいヤツ!」
長らくウワサされ、国内発売決定の一報や詳細情報を今か今かと待ちわびてきた、インド発のホンダニューモデル「ハイネス」改め「GB350」。ロングストロークの空冷シングルを搭載するスタンダードスポーツがついに、4月22日から走り出す。
■解説:ノア セレン ■撮影:松川 忍 ■協力:ホンダモーターサイクルジャパンhttps://www.honda.co.jp/motor/




待ってました! 普通二輪免許枠のちょうどいいヤツ!

 既に多くの情報が出回っているため、GB350の中身よりは大歓迎したいその立ち位置について触れておきたい。
 前提として、国内の400ccクラスは寂しい! 250ccは大いに盛り上がり、また大型車も様々な選択肢があるのにもかかわらず、400ccクラスはホンダこそスーパーフォアとパラツイン系のCBシリーズを展開するものの、全体的に国内での選手層は他クラスに比べ薄いと言わざるを得ない。さらに言えばかつてにぎわっていたアメリカン(クルーザー)スタイルの400クラスは絶滅し、最後の砦、SRも絶版が決定。普通二輪免許枠で乗れるテイスティ系バイクはもう無くなってしまっていたのだ。
 テイスティ系はスタイリッシュさやフィーリングが重視されることが多いが、それと同時に汎用性や利便性も大きなファクター。気兼ねなく乗ることができ、燃費が良く、シンプルで故障せず、かつ自分の好みにテイストを変えることも容易、といった様々な魅力がある。

 かつてのGBネームが途絶えてもうずいぶんの年月が経ったが、再びこうして極スタンダードなGBが出てくるという事実。やはりこれはバイクの原点だろう。肩肘張らずに楽しめるバイクの登場を心から歓迎したい。
 

 

「日常から遠出まで~The Honda Basic Roadster」

 コンセプトにある「日常から遠出」「ベーシックロードスター」が全てを語っている気がする。
 エンジンはロングストロークとしてバランサーを2つ装備。不快な振動はカットしつつ、鼓動やパルス感をクリアに伝えると共に、力強いトルクを発生させるため吸排気もチューニング。低回転域からの力強さと快適で鼓動感のあるクルージングも追及している。またアシストスリッパークラッチやセレクタブルトルクコントロール(いわゆるトラコン)を装備するほか、灯火類は全てLEDを採用するなどモダンで現代的であるべきところはしっかりと時代に合った設定としている。
 車体もスチールのセミダブルクレードルというあくまでベーシックな構成。ライダーとの一体感を追求し縦・横・ねじれ剛性をバランスさせ、取り回しやすくゆったりとした操縦フィールを実現しているという。
 まさに全てがベーシック。ある意味、ほとんどこうして書くことがないほどである。ウンチクを言っていないで「乗ればわかる!」と諭されている気分だ。
 

エンジン、タンク、サイドカバー、テールと分かれているデザインは、もうバイクの歴史からあるスタイルで誰でも安心できるもの。各部にメッキを使い、また最近のトレンドであるマット系のカラーリングとすることでそんな普遍的スタイリングでもどこかモダンに見せているのが素晴らしい。

 

2モデルをラインナップ

 先行して出ていた情報はリア18インチ、フロント19インチのGB350の存在だったが、同時に噂されていたGB350Sというスポーティバージョンも発売が正式発表。こちらも基本的な部分は共通としながらも、前後フェンダーはGBのスチール製から樹脂製に変更して軽量化、リアホイールはワイドな17インチとしてラジアルタイヤを設定。他にもポジションの変更やよりスマートなサイドカバー、フォークブーツの装着など変更点は多く、より軽快でスポーティなイメージである。
 スタンダードなGB350が税込55万円なのに対して、Sモデルは59万4000円となっており、発売は少し先となる7月15日である。
 

スポーティバージョンのGB35S。カラーリングはパールディープマッドグレーとガンメタルブラックメタリックの2色展開。

実物もステキだった

 実は発表に先立って実物に接し、撮影する機会を得たのだが、実物は写真で見る通りの素敵さを持っていた。コンベンショナルなスチールフレームに見るからにロングストロークなバーチカルシングル。そしてそのエンジンの周りには空間がたくさんあり、非常にシンプルかつスタイリッシュで親近感がわく。
 写真で見るとコンパクトな気がしていたが、実車は思っていたよりも一回り大きいイメージ。SRよりもいくらか堂々としたような印象だ。しかし跨るとそのポジションはとてもコンパクトで乗る人の体格を選ばなさそう。目に入る各部の質感も高く、所有欲を満足させてくれる各部フィニッシュに嬉しくなる。55万円といえばかなりバリュープライス、それでいてこの完成度なのだから納得お得である。
 4月22日の発売に先駆けてプレス向け試乗会が予定されているため、近日中に試乗レポートもお届けできる予定。ただ、既にかなりの注目を集めている様子で予約も順調だという。ハンターカブ同様、欲しくても買えない! などという事態にならなければ良いが……。ピンと来たなら迷わず予約してしまうのが吉かもしれない。
 

実車は跨らずに横から見るとなかなか堂々としていて大きいイメージだが、跨ってみるとライディングポジションはコンパクトでハンドルの位置もナチュラル。日常使いから遠出まで本当に幅広くこなしてくれそうである。(ライダーの身長は185cm。写真の上でクリックすると両足着き時の状態が見られます)

 

70.0×90.5mmというボア×ストロークを持つロングストロークエンジンは3000回転で最大トルクを、5500回転で最高出力を発揮。バランサーを二つ備えることでいやな振動はカットし、シングルらしいパルス感や鼓動感を演出している。ちなみに燃費は60km/hの定地燃費で49.5km/L、WMTCモードでも41.0km/Lという数値を達成している。

 

フロントには大径19インチホイールという設定。ゆったりとした操作性と安心感のあるコーナリングが期待できると同時に、荒れた路面や砂利道など様々なシチュエーションでも走破性を見せてくれそうだ。ブレーキはもちろんディスク。ABSも備える。

 

リアは角鉄製スイングアームに18インチホイール。フロント同様キャストでチューブレスである。こちらもABS付ディスクブレーキ。センタースタンドも標準装備、昔ながらの二本ショックもシンプルで美しい。

 

マフラーは排気管長を最大限確保することで低回転域でのトルクフルな走りを実現。なおSタイプはより深いバンク角確保のためマフラーの角度がより上向きという設定。
フェンダー上にテールランプとウインカーを置くのは昔から不変ながら、クラシカルな丸ウインカーはLEDで、レブルなどにも採用された最近のホンダの新作。タンデムグリップの装備はタンデムだけでなく積載にも便利だろう。

 

タンクはどこかかつてのホークなど、ホンダの歴史的モデルを連想させる形状。容量は15Lと多くはないが、燃費の良さを考えると航続距離は長そうだ。
タンデムも快適そうなフラットな座面は好印象。荷掛けフックやヘルメットホルダーを備えることで日常ユースにもしっかり対応。

 
 

速度計はシンプルなメーターなアナログ式。デジタル部には5速のギアポジション、時刻、燃費などの情報を表示。
丸ライトでクラシカルな雰囲気を出しながらも、中は凝ったLEDというのはCB125R〜1000Rシリーズでも展開している手法。親しみを持ちやすいデザインとしながら中身をアップデートするこのトレンドは大歓迎だ。

 

●GB350/ GB350S 主要諸元
■型式:ホンダ・2BJ-NC59 ■エンジン種類:空冷4ストローク単気筒OHC ■総排気量:348cm3 ■ボア×ストローク:70.0×90.5mm ■圧縮比:9.5 ■最高出力:15kw(20PS)/5,500rpm ■最大トルク:29N・m(3.0kgf・m)/3,000rpm ■全長×全幅×全高:2,180[2,175]×800×1,105[1,100]mm ■ホイールベース:1,440mm ■最低地上高:166[168]mm ■シート高:800mm ■車両重量:180[178]kg ■燃料タンク容量:15L ■変速機形式:5段変速 ■タイヤ(前・後):100/70-18M/C 63H・150/70R17M/C 69H ■ブレーキ(前/後):油圧式ディスク/油圧式ディスク ■懸架方式(前・後):テレスコピック式・スイングアーム式 ■車体色:マットジーンズブルーメタリック、キャンディクロモスフィアレッド、マットパールモリオンブラック [パールディープマッドグレー、ガンメタルブラックメタリック] ■メーカー希望小売価格(消費税10%込み):550,000円 [594,000円] ※[ ]はS

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2021/04/02掲載