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試乗・解説

ルックスに騙されるな! ニューフォルツァはニューエンジンを搭載
都市部を中心とした優秀な移動体としての役割は、150ccクラスに譲った感もある軽二輪スクーターだが、それでもホンダの軽二輪スクーターといえば2000年に登場した「フォルツァ」ブランドが長らく担ってきた。18年にグッとモダンになり、スポーティなフルモデルチェンジしたそのフォルツァが、今度はニューエンジンを手に入れた!
■解説:ノア セレン ■撮影:松川 忍  ■協力:ホンダモーターサイクルジャパン https://www.honda.co.jp/motor/




生まれ変わった新フォルツァがさらに……

 世紀をまたぐ頃に流行したビッグスクーター市場に対してホンダが投入したのが初代フォルツァ。各社からこの250ccクラスが出ていたこともあり、ホンダらしく力を入れた商品であったフォルツァは、だからこそここまで続くブランドとなったのだろう。モデルチェンジを繰り返しながらより高級な路線へと舵を切ったが、2013年には原点回帰したシンプルなフォルツァSiへとチェンジ。一定の需要が常に見込めるスタンダードな「ビグスク」として生き続けるのかと思いきや……。
 2018年にはガラッと性格を変えてフルモデルチェンジを果たしたのだ。完全新設計フレームによりヨーロッパ的なシャープなスタイルを手に入れ、シート高もグッと上がってスポーティな乗り味に進化。それまでの動くソファーかのような快適な移動体から、よりモーターサイクル的な、操って楽しい乗り物へと性格が変わったのだった。便利な移動の手段という役割は同じ軽二輪枠のPCX150に譲り、独自の進化路線を探求したかのような劇的イメチェンである。
 それがたったの3年前なのだが、早くもモデルチェンジ、新エンジンを得て3月25日に発売されることとなった。
 

eSP+エンジンを搭載

 前回のフルモデルチェンジでフレームが一新され、次世代フォルツァの幕開けとなったイメージだったが、実はエンジンは先代からほぼ継承されたカタチだった。それに対して、今回のモデルチェンジではルックスこそそこまで変わっていないものの、エンジンには新たにeSP+(イーエスピープラス)を搭載したのだ。
 これは定評のある4バルブOHCエンジンのボア×ストロークを最近のトレンドであるロングストロークへと改め、クランク周りの剛性を高め、ピストンオイルジェットを採用し出力向上を目指したもの。さらに吸気・排気ポートは新設計、エアクリーナーからの通路も大径化しエアフローを確保すると共に、排気系もサイレンサー構造を3室から2室へと改めて力強い走りを追求した。
 加えて燃費性能を追求したクランク室内の回転フリクション低減技術の投入や、振動低減を狙ったバランサーシャフトも採用。出力や燃費、環境性能の確保だけでなく、騒音や振動低減による快適性もしっかりと追求したeSP+エンジンなのである。
 

 

よりスポーティな車体バランスも追及

 2018年のモデルチェンジ時にホイール径もアップさせかなりスポーティな方向へとシフトしたと言えるフォルツァ。今回の新型エンジン搭載によりさらに熟成が進んだと言えるが、実は車体周りにおいても同様で、このスポーティ路線をさらに追及した変更がなされている。
 フレームの一部は新設計され、フレーム各部のパイプの径や肉厚、材質、さらに接合位置なども見直し、そしてラジエターの位置を新たにフューエルタンクの前方へと移動。これによりフロントへの荷重を増やすことができ、さらにスポーティ路線のハンドリングへと進化しているはず。この新世代フォルツァが目指すコンセプト、または乗り味にまた一つ着実に近づいているだろう。
 なおABSとセレクタブルトルクコントロール(いわゆるトラコン)は、今や当たり前の装備となっているが、先代のものが継続採用されている。
 

スポーティでも「便利」は犠牲にしない

 前回のモデルチェンジでスポーティな姿と車体を手に入れ、今回それに見合うエンジンも手に入れたフォルツァだが、スポーティ路線になったとはいえ「ビグスク」としての利便性は大切な所。今回フロントのインナーボックス内にUSBソケットを採用し、また純正アクセサリーの35Lトップボックスはスマートキーシステムと連動して使えるよう進化。
 また、先代で採用された電動スクリーンは可動域を40mm増やすことで全可動域を180mmへと延長。より多くのライダーにとって理想の防風性能をワンタッチで選べるようになっている。

カタチになってきたニューフォルツァ

 前回のモデルチェンジで新たな路線を取ったフォルツァだが、今回の新エンジン投入や、よりフロント荷重を稼いだラジエター位置の変更など、目に見える部分は少ないものの中身の部分で、先代で掲げたコンセプトに沿った熟成がなされているようだ。先代でも十分「新しいフォルツァコンセプト」を見せつけられた思いだったが、ここでさらにそれを追い求めた、といったところだろう。
 20年以上続くフォルツァブランドは、スポーティな路線を手に入れてまだまだ進化中。150ccクラスのPCXとはまた違った、独自の軽二輪スクーターワールドを提供してくれるはずであり、よりスポーティな路線を楽しみたいライダー、より趣味領域も満喫したいライダー、もしくはタンデムでの快適なツーリングといった使い方もしたいライダーにとって魅力的な選択肢となるはずだ。
(解説:ノア セレン)
 

今回のチェンジで一番の変更点はエンジン。よりロングストロークになったと共に、吸排気経路も見直したeSP+エンジンを搭載。クランク周りの高剛性化、ピストンオイルジェットを備えるなど耐久性も向上。
テールランプはLEDのものを先代から引き継ぐが、新たに急ブレーキ時にハザードが高速点滅する「エマージェンシーストップシグナル」も追加された。

 

新エンジンに合わせて吸排気系も変更。マフラーはこれまでの3室構造から2室構造に変更され、キャタライザーの位置やサイズを最適化し力強い走りと環境性能を両立。
前回のモデルチェンジで大径化されたホイールは継承。前後ともABSを備え、またトラコンも搭載されている。今回は新エンジンに合わせてフレームも一部見直され、ラジエターをフューエルタンク前方へと移動させて前輪荷重を稼いでいる。ルックス通りのスポーティさに寄与しているはずだ。

 

初代フォルツァから引き継がれる2眼ライトはLED。そのヘッドライト下にはスポイラーを追加し、またウインカー一体のミラー形状も走りのイメージに合わせてデザインされている。なおカラーリングは既存のホワイト系・ブラック系に加え「インディーグレーメタリック」を追加し3色としている。

 

黒とグレーの2色となっているシートもスポーティなイメージ。腰をサポートするバックレスト部が体のホールドに一役買ってくれそうだ。また十分な面積を誇るタンデムシートとタンデムグリップにより、長距離タンデムツーリングなどで150ccクラスとは段違いの快適性を提供してくれることだろう。
広さも深さも確保されたシート下スペース内部には仕切り版も設けられ、異なる荷物が混ざってしまわないような配慮も。

 

●FORZA 主要諸元
■型式:ホンダ・2BK-MF15 ■エンジン種類:空冷4ストローク単気筒OHC4バルブ ■総排気量:249cm3 ■ボア×ストローク:67.0×70.7mm ■圧縮比:10.23 ■最高出力:17kw(23PS)/7,750rpm ■最大トルク:24N・m(2.4kgf・m)/6,250rpm ■全長×全幅×全高:2,145×750×1,360mm ■ホイールベース:1,510mm ■最低地上高:145mm ■シート高:780mm ■車両重量:186kg ■燃料タンク容量:11L ■変速機形式:無段変速機(Vマチック) ■タイヤ(前・後):120/70-15M/C 56P・140/70-14M/C 62P ■ブレーキ(前/後):油圧式ディスク/油圧式ディスク ■懸架方式(前・後):テレスコピック式・ユニットスイング式 ■車体色:パールホライゾンホワイト、インディーグレーメタリック、マットガンパウダーブラックメタリック ■メーカー希望小売価格(消費税10%込み):658,900円

 



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2021/03/19掲載