Facebookページ
Twitter
Youtube

試乗・解説

乗ってみた、 買っちゃった。 それが3度も続いてモンキーに! Honda Monkey125
CB125Rに続いて、これも新車試乗というより
「買っちゃいました」インプレッション!
近ごろ人気の125ccスポーツの中でも
安定した人気を誇るモンキー125です。
■試乗・文:中村浩史 ■撮影:松川 忍






 通っていたのが、バリバリの3ナイ遵守の高校だったからか、私が原付免許を取るには高校を卒業するまで待たなきゃならなかった。それからすぐに普通二輪(当時は中型、って呼んでました)、大型二輪免許(当時は限定解除)を取得したのが、たしか19歳の春だったかな。
 以来、ずっと大型のオートバイに乗って来た。オレ大型乗ってんだぜ、なんてマウント取る気はないんだけれど、その頃の大型っていうのは、不人気車がゴロゴロあって、安くオートバイ買うことができたんです。
 最初に買ったのは、個人売買で3万円でみつけたGS650G。たかだか6~7年落ちだったのに、不動車だし不人気車(当時はネ)ってことで、こんな値段だったのだ。他にもナナハン(CB750FOUR)やZ2も、探せばひとケタ万円で手に入れることができた頃だ。
 大型オンリー生活は10年ほど。どこに行くにも1台、って時代は30歳ごろにスタイルチェンジしました。当時はGSX-R750に乗ってたのかな、ツーリングに行くときはR750、街乗りに小さいのが欲しいな、なんて思い始めて250ccを1台買ったのでした。
 それから、大きいのと小さいの、2台持ち生活が続いている。大きい方は、この20年ずっと1100カタナ固定で、小さいのは250ccスクーターだったり、オフ車だったり。
 

 
 そして2011年、出会いがあった。それが、私が今でも125ccスポーツ人気の発火点だと思っているKTMの125DUKEです。
 DUKE以前の125ccっていうのは、安かろう悪かろうなモデルが少なくなく、走りはそれなり、装備も最低限で「まぁまぁ125なんだから、そんなもんだ」で済んでいたんだけれど、DUKEにはそれがなかったんです。オトナが乗って大丈夫な車体とサイズ、腰砕けのないサスペンションに倒立フォーク、水冷DOHC4バルブ単気筒エンジンにフューエルインジェクション、デジタルメーターとかなんとか、私の「125ccってこんなかんじ」というイメージをゆうゆうと超えるオートバイだったんですね。
 試乗してすぐにオーダー。納車されてからは、完全にDUKEのトリコになりました。メインは通勤や都内の移動、たまに遠乗りをして、レースにも出ました。もちろん、出力15psそこそこの125ccだから、スピードはそれなりなんだけれど、あちこち走り回って、サーキットも走って、ひっくり返って修理して、もんのすごく気に入ってたんです。もう、カタナに乗らなくなっちゃうくらい(笑)。
 

Impression記事を書くために試乗したら気に入って買ってしまったCB125R(『CB125R 気に入りすぎて買いました』はコチラ→ http://www.mr-bike.jp/?p=156071 )。

 
 DUKEをほとんど乗りつぶして、次に買ったのはホンダCB125R。これは、DUKEの延長線上のスポーツバイクで、レースにこそ出なかったけれど、DUKEの時のようにいつでもどこへでもCBで乗りつけて、って生活。
 これもDUKEと同じように、インプレッション用に試乗をしてみて、気に入って買っちゃったんです。この頃には、もう日本でも125ccスポーツが人気カテゴリーになっていて、スズキGSX-R125/S125、クロスカブやスーパーカブ、GROMなんてモデルも続々と登場しました。そうそう、大人気のハンターカブも125だし!
 仕事柄、こういったニューモデルにはほぼ全部乗るので、乗るたびに「あぁコレいいなぁ、でもオレにはCBがあるし」なんて迷ったり打ち消したり。そんな中の1台に、モンキー125があったんです。
 

 
 モンキーは、初代モデルの登場が1967年3月。これ、誕生年どころか誕生月まで私と同じなんです。もともとは、東京のはずれにある遊園地 『多摩テック』の園内乗り物として誕生して、67年に公道走行OKとなったモンキー50・Z50M。以来、モンキーは大きく姿を変えることなく、たくさんのファンやマニアを生んで、50年が経って生産終了。すぐにその跡を継いだのが125でした。
 サイズも排気量も大きくなって「こんなのモンキーじゃないよ」なんてファンは多かったけれど、私はいっぺんに気に入りました。実は、旧モンキーが苦手だったんです。ピタッと安定して走るのが難しい8インチホイール、各ギアともすぐに吹けきっちゃうミッション、イジって楽しいバイクではあるけれど、現代の乗り物としちゃどうかなぁ、と。もちろん、これは私の個人的意見ですからね。
 

 
 新世代モンキーは、GROMと同系統の、出力10psにも満たない空冷単気筒エンジン車。ホイールは前後12インチで、車体サイズは旧モンキーよりふたまわりほど大きく、体感的にはApe50/100くらい。これがよく走るんです。CB125Rとは出力特性がまるで違っていて、CBが高回転まで回って出力を稼ぐタイプなのに対し、モンキーは低回転からのトルクでスピードを乗せていくタイプ。CBがヒュイィィィンとスピードを乗せていくのに対し、モンキーはストトトトト、って回っていく。
 交通の流れをキープするのは簡単で、125ccの法定速度=60km/hをキープするのは簡単。その+αで流すことだって快適。これ、街乗りならなんの過不足もないな、って思ったものでした。これ、街乗りならCBよりいいかもしんない――そう思い始めたんですね。
 

 
 そのモンキーが発売されて2年ほど。何度か試乗するたびにいいなぁ、いいなぁ、なんて思っていた矢先。別件で遊びに行った仲良くしてもらっているバイクショップで、ちょうど僕の乗ってるCB、そして125の話になったのでした。ここ、私がCB125R買ったお店、MFD(=モトフィールドドッカーズ)です。
――中ちん、CBどーよ。調子いい? とMFDの岡本社長。
「いいすよ。問題ない。良く走りますねぇ」
――125DUKEから125は2台目でしょ? 気に入ってるねぇ。
「そーなんですよ。都内移動とか足がわりには最高だもん。楽しいし」
――カブなんかは興味ないの? C125もクロスも、もうすぐハンターも出るし。
「うーん、カブはもう少し歳いってからでもいいでしょ。それより……」
――ん? それより?
「モンキーの方が欲しいかもですね」
――へぇぇ、モンキーも発売されてずっと人気だもんな。
「新色の黒とか青(※注:黒は20年3月、青は19年6月発売)とかきれいだしねー」
――あぁ、青とか黒は納車2~3か月待ちみたいだね。

へぇぇ、そうなんだ。2カ月も待つなんて人気なんだなぁ、と思った時!
――中村さん、青のABS車、キャンセル出ましたよ!

ショップ奥のカウンターから悪魔の声がする。え? 現車あるの? 即納? 3カ月って言ってたのに? でもCBあるし、気に入ってるし……。
――どうよ、中ちん。CB、高く下取りするぜ?
「下取り? ま、参考までにどんな? ウソ!そんなに?」
 

 
 手に入らないって言われていたものがすぐに手に入るとなると、気持ちはぐらぐら。さらに下取りが予想以上に高いなんて、もうダメじゃん。
 かくして私は、モンキー125のオーナーになったのでした。バイク買うって、縁だよねぇ。それに営業上手なショップとタイミング(笑)。
 オーダーして1週間もせずに手元に来たモンキー125、青のABS車。人生で何台目かの新車です。営業の方が自宅まで届けてくれたモンキーは、まぁ可愛くて、近所の子どもたちも奥様たちも集まってくる。CBんときはこんなことなかったのにね。やっぱりCBはバイクバイクしていて、モンキーはとっつきやすいんだろう。
  

 
 ナラシから始めたモンキーは、やっぱり気持ちがいい。私、エンジンをカンカン回して走るよりも、高いギアでトコトコ走るのが好きなんですが、そんな走り方にピッタリ。ハンドリングだって普通だし、シートはクッションが厚くて快適。そりゃぁサスペンションはソフトでヒョコヒョコしちゃうし、タイヤだってCBほどグリップしないけれど、モンキーだもん、それでいいのだ。曲がんない? 力がない? サスがソフト? モンキーに何を求めてるの? ってこと。私が試乗記を書く時なんか、気を付けていることのひとつに「軽トラをサーキットでインプレッションすることなかれ」ってのがあるんだけれど、その通り。モンキーはモンキー。CB125Rとも125DUKEとも違うのだ。
  

 
 もちろん、不満もある。走り始めての実測燃費は60km/L弱。この燃費にまったく不満はないんだけれど、5.6Lのタンク容量は、もう少し欲しかったなぁ。満タン1回、300kmくらいしか走らないなんて、せっかくの好燃費が生かせないもの。カタログ落ちしてしまったけれど、旧ゴリラは9Lタンクだったもん、それくらいあったら1タンク500km行くのになぁ。同系エンジンでゴリラが発売されて、そのタンク載ったら面白いのにな。
 それに、せっかくの125ccなのに、タンデム出来ないのももったいない。もちろん、成人ふたりっていうより、子ども乗せて近所とか流したいもん。クローズドの駐車場で近所の子どもたちを後ろに乗せてあげることが多いんだけれど、喜ぶもんねぇ。私は、こうやってオートバイ好きの子どもたちを増やしたいのだ。
  

 
 ヒュンヒュン走るDUKEとCBを経て、私のセカンドバイクはモンキーに落ち着きました。コロナウィルスが落ち着いたら、街乗りはもちろん、ちょっと遠出もしてみよう。もちろん、コレで数100kmのツーリングもいいけれど、機材適所。ひょいと日帰りできるような距離やエリアが、モンキーにはあっているんだと思う。
 これでしばらく買い替えはナシかな。も少しオジサンになったら、きっとC125買いました、ってインプレ書きますんで、お楽しみに。
(試乗・文:中村浩史)
  

 

ライダーの身長は178cm。

 

スーパーカブC125、ハンターカブやGROMとも同系統の前傾シリンダーの空冷単気筒エンジン。4速ミッションで、2次減速比はGROMと同じで、スーパーカブ、ハンターカブよりもハイギアード、つまりダッシュ力よりトップスピード重視だ。出力特性も、この同系エンジンの中ではいちばん低回転トルク型に思える。燃費はメーカー発表値が67.1km/Lで、実測でもその数値をクリアするのも難しくない。

  

ホイールは前後12インチ。ABSはフロントのみで、ABSなしも選択でき、価格差は税抜き3万円。GROMとも共通の倒立フォークは走りにしっかり感、ふんばりをもたらす。
前後12インチホイールで、タイヤは前120/後130mm幅。同サイズのGROM用に発売されるロード向けのリプレイスタイヤを装着するオーナーも多いのだという。

 

モンキーらしい、かわいい形状のタンクは容量5.6L。実測燃費は、ナラシ中の約60km/hしばりの頃に70km/Lをオーバー! スペースに余裕があるから9Lタンク、熱望中です。
クッション厚がたっぷりのシングルシート。シート脱着はタンク後方のビス2本で、非ABS車は、シート下に350mlペットボトル大くらいの小物入れスペースあり。

 

左サイドカバーはキーによる取り外し式。内側はシート取り外し用のアーレンキーと、ヘルメットホルダー用の延長ストラップが収納される。非常用工具を収納してもいい。

 

モンキー専用マフラーはアップタイプ。エキパイのレイアウト上、こちら側にサイドカバーはなく、カスタムダウンマフラー装着にはアフターマーケットのサイドカバーが必要。
CB125Rには装着されていなかった外部別体ヘルメットホルダーがちゃんとありますが、取り付けは難しく、車載されている延長ストラップを使うのがお勧めです。

 

イグニッションONでコミカルなムーブが見られるデジタルメーター。タコメーターはなく、燃料計、オド&ツイントリップが表示できるが、時計がないのはちょっと不満です。
ヘッドライト、ウィンカー、テールランプはすべてLED。ヘッドライトはロービームで上半分が点灯、ハイビームで上下とも点灯。真正面から見るとサルが笑っている(?)デザイン。

 

これが購入した実車です。他写真は試乗車。冬用にハンドガードつけて、スマホマウント、電熱ウェア「ヒートマスター」用ジャケット&パンツの連結コネクターを取り付けました。
シート取り外しボルトが作業しにくいので、ダイヤル式の手動で脱着できるノブボルトを装着しました。ま、シート取り外すことなんてほとんどないんですけどね(笑)。

 

●Monkey125 主要諸元
■型式:2BJ-JB02 ■エンジン種類:空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ ■総排気量:124cm3 ■ボア×ストローク:52.4×57.9mm ■圧縮比:9.3■最高出力:6.9kw(9.4PS)/7,000rpm ■最大トルク:11N・m(1.1kgf・m)/5,250rpm ■全長×全幅×全高:1,710×755×1,030mm ■ホイールベース:1,155mm ■最低地上高:160mm ■シート高:775mm ■車両重量:105kg[107] ■燃料タンク容量:5.6L ■変速機形式:4段リターン ■タイヤ(前・後):120/80-12 65J・130/80-112 69J ■ブレーキ(前/後):油圧式ディスク)/油圧式ディスク ■懸架方式(前・後):テレスコピック式・スイングアーム式(プロリンク)■車体色:パープルネビュラレッド、パールグリッターリンググルー、バナナイエロー、パールシャイニングブラック ■メーカー希望小売価格(消費税10%込み):407,000円[440,000円] ※[ ]はABS仕様

 



| 2018年型モンキー125試乗インプレッション記事はコチラ(旧PCサイトに移動) |

| ホンダのWEBサイトへ |





2021/02/24掲載