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試乗・解説

SUZUKI 2020 ニューモデル Web Motorcycle Show ── Vol. 1
モーターサイクルショーのスズキブースに参考出品として展示される予定だったレッドとマットブラックのKATANA。その詳細にせまる。
■取材・文:濱矢文夫 ■撮影:依田 麗 ■協力:スズキ https://www1.suzuki.co.jp/motor/

過去にとらわれない新しいKATANAという主張を感じる2台

 興味深いところは、’80年代に生まれ、長らくスズキのオートバイを代表する存在だった空冷エンジンのカタナ、GSX1100Sのイメージにしなかったところである。赤いカタナというと、3代目になるGSX1100SEのブラックエンジンに、シルバーとレッドのツートンカラーが有名だ。このカラーリングはその後登場したGSX250Sにも採用されている。だが、このモーターサイクルショー特別バージョンの赤いKATANAは、レッド一色にした。そして昔のカタナシリーズにはなかったブラック。現在のカタログにも艶のあるグラススパークルブラックがありながら、現代の流行色といえるフラットブラックにしてきた。
 

フラットブラックの強くない柔らかな光の反射が独特の雰囲気を作り出している。ホイールとフロントフォーク、ハンドルのゴールドが差し色。

 

ソリッドなレッドではなく、光の加減で表情が変わる深みを感じる上質なメタリックレッド。前後のホイールも同色。

 

今売られているものとは異なる雰囲気のカラーの提案

 そこから過去のカタナとは違うまったく新しいKATANAなんだ、という主張が感じられる。ネオレトロと呼ばれるカテゴリーの車両が増えて定着したけれど、それらとは一線を画する。シュラウド部分に貼られた“刀”の文字は過去のカタナから受け継いだものながら、他はオマージュこそあれ似せたところはまったくない。この先、過去モデルをイメージしたカラーリングが登場しないとは言い切れないが、この参考出品車ではある意味で簡単と表現できるその道を選択しなかった。レッドはビビッドな色ではなく、メタリックの入った深みを感じさせるレッド。光を強く反射しないフラットブラックは、サイバーパンクっぽいワイルドなイメージ。

スズキWEBモーターサイクルショーでも詳しく見られる

 アルミフレームや水冷4気筒エンジンなどGSX-S1000/F ABSをベースに開発され、2019年5月30日から国内販売されたKATANAだが、この2台に走りをつかさどる基本的な部分の変更は見当たらない。これは新しいカラーバリエーションの提案。この記事でも詳しくその姿を紹介するけれど、気になったならスズキWEBモーターサイクルショー(https://www1.suzuki.co.jp/motor/web-mcs2020/)もチェック。そこで現行カラーにこの2台を加えたカラーアンケートをやっているからぜひどうぞ。

フロントフォークのアウターチューブ、そしてアルミテーパーハンドルバーが現行機種のブラックからゴールドに。シートのカラーも違っている。2017年のEICMA(ミラノショー)に展示されたイタリア人のデザイナーが手掛けたKATANA 3.0 CONCEPTをベースにしたスタイリング。

 

 

レッドバージョンは、ボディカラーに合わせて、フェンダーと17インチホイールがレッド。フラットブラックバージョンはフェンダーがボディと同じフラットブラックでホイールカラーがゴールド。インナーチューブ径φ43mm、ストローク120mmで、伸側、圧側ダンピング、スプリングプリロード変更が可能なフルアジャスタブルタイプのKYB倒立フォークは、アウターチューブのカラーだけの変更。ブレンボ製モノブロックキャリパーをラジアルマウントしたブレーキ周りや、KATANA専用設計のDUNLOP SPORTSMAX Roadsport 2タイヤもそのまま。ABSユニットはBOSCH製。

 

現在発売されているKATANAのチェーンの遊びを調整するためのピースはシルバーだが、この2台はゴールドアルマイトを施したものに。レッドバージョンとフラットブラックバージョンはリアショックのスプリングカラーが違っていた。レッドバージョンは現行モデルと同じレッドのスプリングで、フラットブラックは目立たないシルバーのスプリング。着座位置がGSX-S1000/F比較でより前になったことから、減少したリアの荷重に対応するためにリアショックは柔らかく設定されている。スイングアームもGSX-S1000/F ABS譲り。KATANAの後ろ周りの印象を特徴づけているスイングアームマウントのナンバーステー&フェンダー。

 

基本的にGSX-S1000/Fと同じフレームとエンジン。定評があった2005年~2008年のGSX-R1000の水冷DOHC4バルブ直列4気筒エンジンをベースにしている。高回転型だったGSX-R1000とは違うカムプロフィールにより中低速で力強くして扱いやすさを実現。ピストンも耐久性を落とすことなく軽量化、クラッチにはバックトルクを軽減するスリッパークラッチを採用するなど手が入っている。低回転域でイージーに扱えるローRPMアシストを採用してより幅広いライダーが気兼ねなく乗れるような工夫も。ラウンドラジエターだけでなく水冷オイルクーラーも備わる。エキゾーストマフラーのヘッダーパイプは1-4、2-3の間を連結するイコライザーパイプがあり、低中速域の出力アップに貢献。

 

GSX1100Sからスタートした旧カタナシリーズのデザインをオマージュした3本線が入ったものから、“刀”ロゴになっている純正アクセサリーパーツのカラードシートと同じデザインの表皮。ただ後席両サイドが赤いカラードシートとは違いバックスキン調のダークカラーになっている。そして、このフラットブラック版が山吹色の糸を使ったステッチ、レッド版は赤い糸のステッチを採用。

 

運転席後ろの下にある“KATANA”デカールも、フラットブラックは山吹色。レッドは赤色。ささいな部分ながらもカラーコーディネートの手を抜いていない。ちなみに現行カタログモデルはシルバー。
タコメーターのグラフィックを旧型カタナ風にしているのがニクイところ。イグニッションキーを回したときに出てくるオープニングアニメでは、「SUZUKI」の文字を大胆にも対角に斬って「刀」の文字が出てくるという凝ったもの。

 
 

GSX-S1000/F ABSをベースにしながらも、デザインを優先したことから、燃料タンクがライダーのお尻の下付近まで後退し、行き場を失ったバッテリーをタンデムライダーのお尻の下へ横倒しにして設置。
独立したヘルメットホルダーはなく、シート裏にひっかけるタイプになる。

 

グレーの大きなスイッチは、メーターの機能を選択したりする際に使うもの。ヘッドランプのハイ・ロー切り替えはこの前側にあり人差し指で操作。トラクションコントロールは3段階から選べる。
スターターボタンを押すと、押し続けなくても一定時間スターターモーターを回転させるスズキイージースタートシステムを採用。

 

人が乗ったときのイメージと、ポジションと足着きの具合。身長170cm、体重67kgのライダー。

 



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2020/04/21掲載