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試乗・解説

待望のネーミングが完全復活、 自然をゆったり楽しむ、トレッキングCub
 昨年の東京モーターショーにコンセプトモデルとして出展されたCT125・ハンターカブ、その市販バージョンが6月26日(金)より発売される。
 かつてスーパーカブの派生モデルとして北米市場で展開されたトレール50&55(CA100T&CA105T)やトレール90(CT200)、その国内版であるハンターカブ(C105H)、CT50、CT110といったレジャー要素を盛り込んだバイクの現代版とした仕上がりが特徴だ。
■撮影:渕本智信 ■協力:ホンダモーターサイクルジャパン https://www.honda.co.jp/motor/

 
 まずは「CT125・ハンターカブ」というその車名。グローバルで展開されるであろう同モデルが”ハンターカブ”と呼ばれるのはおそらく日本のみだろう。これまで車名に「・」表記をあまり見たことがない。カタログの諸元欄は「CT125」のままだし、ホンダのWEBサイトのURLやグローバルサイトなどでは”ハンターカブ”の英字表記を確認することができない(3月23日現在)。ホンダ的には同じマスコットネーム的ではありながら”ハリケーン””ファイヤーブレード”とは異なり、”シルクロードCT250″や”イーハトーブTL125S”と同列で、本来ならば”ハンターカブCT125″という呼び名でも良かったのかもしれない。

 日本で”ハンターカブ”はレジャー系カブの代名詞であり、クロスカブ(このモデルも2012年の発表時はハンターカブの再来と話題となった)が存在する現在、もはや日本でCT125にハンターカブの名が与えられるのは必然だったに違いない。そして、多くのレジャー系カブ・ファンの期待によって、およそ60年振りの復活となるその名に恥じない各部の”こだわり”の作りこみをCT125・ハンターカブに見ることができる。ちなみに国内で”CT”の名前が復活するのも1981年のCT110以来(CT50Jモトラ、CTXシリーズなどを除く)約40年ぶりとなる(※CT、ハンターカブについての詳細はホンダのWEBサイト「CTとハンターカブ」https://www.honda.co.jp/supercub-anniv/ct/ をご参照ください)。
 

北米で人気を博したレジャー系カブ始祖的モデルのトレール55(CA105T)。※以下、写真をクリックすると大きく、または違う写真を見ることができます。
1968年、OHCエンジンを搭載したスーパーカブC50をベースに副変速機、アップマフラーなどを備えたCT50。
1981年、”ワークブーツ感覚で、歩く!”をキャッチコピーに登場したCT110。日本仕様に副変速機は備わらない。

 
 CT125・ハンターカブは、タイのWave125や初代スーパーカブC100をデザインモチーフとし2018年に発売されたスーパーカブC125といった125ccの横型エンジンを搭載したアンダーボーン・モデルをベースに、アップハンドルの採用やシート高を上げたことで、ツーリング先などで風景を楽しめるよう見晴らしの良いパッケージに。また、フロントフォークのストローク量を伸ばし、165mmの最低地上高を確保することで未舗装路での使用にも配慮される。

 また、ハイマウント吸気ダクトを採用したエアクリーナー、アップマフラー、大型リアキャリアといった”ハンターカブ”の名に相応しい機能が復活。一方で前後にディスクブレーキ(フロントのみABSを装備)を採用するなど現代の交通事情にマッチした制動性能も確保される。日本仕様はピリオンステップを装備し2名乗車に対応。エンジンはトレッキング走行などを考慮した低中速域重視の出力特性に加え、C125に対しドリブンスプロケットをショート側に変更、登坂時の力強さや粘りを確保している。

 以上、ベースモデルに対しスタイルだけの焼き直し的モデルではなく、細部に至るまで徹底的に作りこまれているのがおわかりいただけるだろう。ボディカラーはイメージカラーとも言えるグローイングレッドの他、流行の艶消し調となるマットフレスコブラウンの2色を用意。メーカー希望小売価格は440,000円(税込)となっている。国内の年間販売計画台数は8,000台。
 

 

車体色:グローイングレッド。

 

車体色:マットフレスコブラウン。

 

フレームはC125をベースに、大型リアキャリア装着のためリア部を延長。幅広い走行シーンを想定し剛性バランスの最適化が図られる(赤部分がC125からの変更点、追加点)。
φ220㎜2ポットのディスクブレーキを採用。フロントのみ作動する1チャンネルABSも装備。ストローク量はC125に対し+10mmの110mm。タイヤは歴代レジャー系カブ同様、前後同サイズ。

 

リアにもφ190mmのディスクブレーキを採用。足が外側にオフセットされるよう右側は長めのピリオンステップとすることで、アップマフラーにも関わらずタンデムを可能とした。現代の法規に合致しないのか、ショートタイプのチェーンケースは採用されなかった。リムは艶消し黒塗りのスチール製。
アンダーガード+横型エンジンのビジュアルはトレール90の時代から受け継がれるCTのアイデンティティ。エンジンはC125に対しトルクを強化したセッティング。オイル注入口とレベルゲージは別。キックペダルも装備される。右サイドスタンドの取り付けステーは確認することができなかった。

 

スタイルのアクセントとなるアップマフラーを採用。タンデムライダーを考慮したヒートガードも備わる。可倒式ステップはゴムを被せた振動を抑える構造に。もちろんゴムを外せばCT110海外仕様のような滑り止めのギザギザ剥き出しスタイルに。フレームカバーの”HONDA”マークはかつてのCTを彷彿とさせる影付き文字に。
リアキャリア部にダクトを設ける後方吸気レイアウトとすることでエンジン前上部に空間ができ、かつてのCTシリーズのスタイルを実現。吸気ダクト下にあるキーシリンダーはシートロック解除用。

 

ボディ同色またはブラックとなる大型リアキャリア(幅409mm×前後477mm)もレジャー系カブお馴染みのアイテム。
キャリア左下には小物入れを装備。シート下で使うヘルメットロック用のワイヤーが入っている。

 

ベースとなったスーパーカブC125に対してシート高は20mm高い。燃料タンク容量はC125の3.7Lに対し5.3Lと大幅に容量アップ。好燃費と相まって、もはやサブタンクは不要、もしくはスタイル上のアクセントに。
バーハンドルと一般的なモーターサイクルと同形式のトップブリッジを採用。C125に対して ホイールベースは10mm伸びているが、ハンドルの切れ角を左右各45°とすることで最小回転半径は0.1m小さい。

 

メーターケースはカマボコ型ではなく、モンキー125のようなデジタル表示の丸型。
ハンドルスイッチはホンダ他車と同タイプ。油圧ディスクブレーキ化の影響か、CT110やクロスカブなどに採用されていたブレーキロックは不採用。

 

ヘッドランプやテールランプはじめ、灯火類全てにLEDを採用。四角い大面積のウインカーはCT110はじめ1980年代初頭のホンダ車に多く見られたタイプを彷彿とさせるもの。

 

スーパーカブC125やモンキー125同様、オールドウイングマークの立体エンブレムを採用。サイドカバー部のグラフィックデザインは多くの車両が逆輸入車として日本再上陸を果たしているCT110P(1993年モデル)がモチーフと思われる。

 

タンデムシートやCL72などのスクランブラーを彷彿とさせるデザインのマフラー、バッグ、キャリア類など、豊富なカスタマイズ・パーツも用意されている。

 

スーパーカブC125に対しACGの発電量が増した(152W→190W)ことで、アクセサリーソケットやグリップヒーター(併用不可)などの純正アクセサリーを設定。

 
 
●CT125  主要諸元
■型式:2BJ-JA55■全長×全幅×全高:1,960 ×805 ×1,085mm■ホイールベース:1,255mm■最低地上高:165mm■シート高:800mm■車両重量:120kg■燃料消費率:61.0 km/L(国土交通省届出値 60km/h定地燃費値 2名乗車時)67.2 km/L(WMTCモード値 クラス1 1名乗車時)■最小回転半径:1.9m■エンジン種類:空冷4ストロークOHC単気筒■総排気量:124cm3■ボア×ストローク:52.4×57.9mm■圧縮比:9.3■最高出力:6.5 kw(8.8 PS)/7,000rpm■最大トルク:11 N・m(1.1 kgf・m)/4,500 rpm■燃料供給装置:電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)■始動方式:セルフ式(キック式併設)■点火装置形式:フルトランジスタ式バッテリー点火■燃料タンク容量:5.3 L■変速機形式:常時噛合式4段リターン■タイヤ(前/後):80/90-17M/C 44P/80/90-17M/C 44P■ブレーキ(前/後):油圧式ディスク/油圧式ディスク■懸架方式(前/後):テレスコピック式/スイングアーム式■フレーム形式:バックボーン■車体色:グローイングレッド、マットフレスコブラウン■メーカー希望小売価格(消費税込み):440,000 円
 

今後リリース予定の2020ホンダ

 1月に行われた恒例となっている「新春ビジネスミーティング」会場で明らかとなっているホンダ2020年ニューモデル。上記CT125・ハンターカブに加え、下記モデルもリリース予定となっている。尚、これらモデルは本来、大阪&東京モーターサイクルショーなどで公開予定であったが、3月27日(金)公開「 Honda バーチャルモーターサイクルショー」(https://www.honda.co.jp/motorcycleshow/ )でワールドプレミアのFUNモデル やスーパーカブ110・スペシャルver. といった参考出品モデルと共に確認することができる。
 

スーパーカブC125:
これまでのパールニルタバブルー、パールカデットグレーに加え、新色としてブラックのボディカラーを7月リリース予定。レッグシールドなどはアイボリー系となる。写真はタイ仕様。日本仕様はリアキャリア、タンデムステップが備わる。

 

モンキー125:
従来のパールネビュラレッド、パールグリッターリングブルー、バナナイエローに加え、モンキーにもブラックを追加。4月リリース予定。

 

CBR250RR:
ゴールドのホイールを採用した新色を採用。エンジンにも改良が加わり、7月リリース予定。

 



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2020/03/25掲載