クルマもバイクも、特にコミューター領域で電動化は待ったなし!
それでもなかなか普及しない理由をアイコンeが取っ払いました!
- ■文:中村浩史 ■写真:ホンダモーターサイクルジャパン
- ■協力:ホンダモーターサイクルジャパン
Dunkより安い戦略価格!
「皆さんご存じのように、50ccの原付一種は、もう存続が危うくなってしまいました。それでも50ccが必要な人は絶対にいる。そのために原付一種枠の電動スクーターを新作しました」というのは、Hondaの二輪・パワープロダクツ事業本部/ものづくり企画・開発部の三ツ川誠さん。ブランニューの原付一種枠電動スクーター、ICON e:(アイコンイー)の開発責任者だ。
原付一種といえば、今やスクーターとカブ系オンリーのカテゴリーだけれど、ご存じのように2025年11月に施行された新規排出ガス規制が原因で、そこに対応すると、とても原付スクーターのコスト内で収まらなくなってしまうことから、50ccの新規モデル開発はストップ。かわって「新基準原付」として、原付免許で乗れる125ccモデルが続々登場してくる。
それでも、50cc──つまり原付一種は、まだまだ日常の足として必要なものだ、というのがHondaの考えだ。都市部の幹線道路で30km/h制限は確かにナンセンスだけれど、地方へ行くとまだまだ地元密着の足として、原付一種が欠かせない人たちはたくさんいる。
「ラスト1マイルの乗り物ですよね。特に地方へ行くと、お年寄りが50ccスクーターを使ってくださっているシーンもよく見かけますし、決してなくなっていい乗り物カテゴリーではないと思います」(三ツ川さん)
そこで企画されたのが、排出ガスのない電動スクーターだ。もちろん、すでにHondaではEM1 e:、ベンリィe、ジャイロeといった原付一種枠の電動スクーターをラインアップしているけれど、決して普及しているとは言い難い。
「電動スクーターがなかなか広がらないのは、値段が高いし、充電が煩雑、航続距離も短いのでは、と思われているからだと思います。そこを覆したかったのがICON e:。電動モデルが新しい時代に入ったモデルです」(ホンダモーターサイクルジャパン 商品企画課 ICON e:営業領域責任者 鶴田隆時さん)
先行のEM1 e:とICON e:の大きな違いは、その動力用バッテリーだ。ご存じのように、電動スクーターとは、簡単に言えばエンジンのかわりにモーターがあり、ガソリンの代わりにバッテリーを搭載している乗り物。このバッテリーが、EM1 e:では「モバイルパワーパックe」を使用しているのに対し、ICON e:は新規に開発した着脱式バッテリーを使用しているのだ。
EM1 e:に使用されているモバイルパワーパックeとは、Hondaが開発した多目的バッテリーパックで、EM1 e:だけでなく、ベンリィeにもジャイロeにも使用でき、それどころかパワープロダクツ領域の商品であるポータブル電源や耕うん機、投光器や船外機に使えたり、工事用ユンボに使える拡張性があるバッテリーだ。バッテリーは充電時間が必要なため、バッテリーを交換すればいいとして、一般道に「ガチャコ」という充電池ステーションを設置。バッテリーが切れたら交換、というイージーさを目指す電動インフラだ。
つい先日には、ヤマハが電動スクーター「JOG E」を発売したが、これもホンダとの協業で「モバイルパワーパックe」を使用するスクーターなのだ。
しかし、東南アジアや中国でも販売したくても、ガチャコというインフラ整備が期待できないことで、固定式の専用バッテリー式として開発をスタート。ICON e:の開発にあたっては、東南アジアのある国の施策として電動バイクを普及させたい、そのために固定式バッテリーで開発してほしい、という要望もあったのだという。
拡張性ある、交換が手軽な「モバイルパワーパックe」を使用するスクーターと、簡単に家庭用コンセントで充電できるICON e:。このため、ICON e:用のバッテリーは、電動自転車のようにバッテリーを車体から取り外して室内で充電できるし、四輪バッテリーEVのように車体に充電コードをつないでも充電できる方式を採用。モバイルパワーパックe車の拡張性はなくても、ICON e:専用でバッテリーを運用できるというわけだ。
やはりICON e:最大のトピックは、その価格だろう。姿かたちが似ているEM1 e:と比較すると、同じ原付一種スクーターで、車両重量はEM1 e:が92kgに対してICON e:は87kg、一充電走行可能距離は、30km/h定地走行テストでEM1 e:が53kmなのに対し、ICON e:は81km。そして消費税込み価格は、EM1 e:が32万100円なのに対し、ICON e:は22万円! ちなみに50ccガソリンエンジンスクーターであるDunkが22万9900円だから、Dunkよりも安いのだ!
ちなみにICON eのボディ下部に収納されるバッテリー単体重量は11.4kg、価格は11万円。また、専用充電器は重量2.3kg、価格は3万8500円を予定しているそう。なお車両価格を低く抑えたことで、電動バイク補助金の対象にはなっていない。
「EM1 e:との比較になってしまいますが、最高出力は同じ0.58kWですから、走りのパフォーマンスは大きく変わらないと思います。ICON e:の方が5kgほど軽く、ややフィーリングも軽快かな、という感じです」(三ツ川さん)
電動スクーターへの先入観である「価格が高い」「航続距離が短い」「充電が煩雑」というイメージをことごとく覆すICON e:。
これは電動スクーターのゲームチェンジャーになりうる!
(文:中村浩史、写真:ホンダモーターサイクルジャパン)
■動力用バッテリー:リチウムイオン電池 48/30.6 ■最高出力:1.8kW(2.4PS)/618rpm ■最大トルク:85N・m(8.7kgf・m)/2,300rpm ■全長×全幅×全高:1,795×680×1,085mm ■軸間距離:1,300mm ■シート高:742mm ■車両重量:87kg ■一充電走行距離:81km(30 km/h定地走行テスト値)〈1名乗車時〉■車体色:パールスノーフレークホワイト、キャンディラスターレッド、ポセイドンブラックメタリック ■メーカー希望小売価格(消費税10%込み):220,000円
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