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試乗・解説






大変遅くなりました。ここで昨年11月に開催されたEICMA2025を振り返ってみたいと思います。イタリアからお届けした速報記事2本では、国産車および外国車の、主要メーカーの新型車をサササッと紹介しました。なのでここでは、それらメーカーの会期中のブースの様子や、速報記事ではお伝えできなかった他メーカーや用品メーカーの展示などを紹介したいと思います。じっくり見て歩いたので、2回に分けてレポートします!
■文・写真:河野正士

●ホンダ

 ホンダはEICMA2025で、V型3気筒エンジンに電子制御の過給器を装着したプロトタイプ車両「V3R 900 Eコンプレッサー プロトタイプ」を発表しました。ご存じの通りこの車両は、EICMA2024で発表された同エンジン+電子制御過給器のコンセプトエンジンの発展型です。じつは2024年にこのコンセプトエンジンが発表されたあと、日本のメディア関係者から“エンジンに群がっている来場者の写真を撮って送って下さい”と依頼を受けました。そこで一般公開日に何度となくホンダブースに足を運んだのですが、その展示車両の前はいつも閑古鳥が鳴いていて、その状況を依頼主に説明し写真撮影を辞めたのです。しかし今年は、いつ行っても「V3R 900 Eコンプレッサー プロトタイプ」の回転展示台の前は黒山の人だかり。EICMAは、現実味が薄いコンセプトバイクには冷たく、来年に販売されるニューモデルや、せめて近い将来に購入できるであろうプロトタイプに注目されることを、あらためて肌で感じることができました。

#EICMA2025

 また興味深かったのは、日本ではお祭り騒ぎになっていて、その情報が欧州にも届いて欧州初お披露目となった「CB1000F」よりも、「CB1000GT」の注目度の方が高かったこと。いまやアドベンチャースタイルは欧州ツーリングカテゴリーの中心であることが、ここでも強く感じました。EICMA後の欧州メディアの反応を見ていると、「CB1000F」はネオレトロスタイルで若い新規ユーザーの獲得を狙っている、という記事を多く見かけます。ということは欧州ホンダの販売戦略が、CB1000F=若者という図式なんだと思います。
 たしかに新型CB1000ホーネットの登場によってラインナップから姿を消したCB1000Rに比べれば車両価格は約1000ポンド(約20万円)ほど安いですが、プラットフォームを共有する新型CB1000ホーネットのほうが車体価格はわずかに安い。しかも日本市場では若いライダーがスポーツモデルのスタイルに高い関心を抱き新しいバイクシーンを構築しているのを見ると、それと同じ流行の種火は欧州にもあると想像します。そんな色眼鏡を通して欧州メディアの反応を見ていると、何とも不思議な感じがしています。

#EICMA2025

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 それともう一点、気になる車両がHonda RedMotoのブースにありました。Honda RedMotoは、イタリアを拠点に、ホンダのオフロードバイクを使いレース活動を行うとともに、関連パーツの企画や製造、販売を行うホンダの公式パートナー・ブランド。オフロード大国でもあるイタリアでは人気も知名度も高く、EICMAでは毎年、ホンダブースの隣に巨大なブースを展開しています。
 そこに展示されていたのが「OMT450c」。モトクロッサーCRF450のエンジンを搭載したフラットトラックマシンなのですが、なんとカーボンフレームが採用されています。これはスイスで二輪四輪の設計や製造を行っているPicasso Engineeringとの共同プロジェクトで、EICMA2025当時はプロトタイプと話していました。でもPicassoのサイトに行くとプロダクトとして紹介されていますね。最初はアルミフレームにカーボンを貼っているのだと思っていましたが、よく見るとカーボンのメインフレームにステアリングヘッドやエンジンハンガー、スイングアームピボッドまわりの金属部材をボルト止めしているハイブリッド・フレームですね。

#EICMA2025

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 意外にも人気だったのがサンリオのキャラクターである「クロミちゃん」の誕生20周年を記念したコラボ企画で、Honda×クロミちゃんが実現。クロミちゃん仕様のCBR1000RR-RとCB1000ホーネットの前では、老若男女が自撮りしまくっていました。うーん、アニメは強ですね。

#EICMA2025

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●ASTEMO

 そのホンダと、EICMA後の2025年12月に連結子会社化されると発表されたアステモ。サスペンションのSHOWA、ブレーキのNISSIN、吸気系のKEIHIN、電子制御技術の日立オートモティブシステムズがひとつとなり、SHOWA時代と合わせるとすでに10年以上EICMAに参加しています。EICMA2025においては、現在開発中の最先端の技術を発表&展示しました。
 ご存じの通りEICMAは我々一般顧客にニューモデルや新技術を発表する発表会であると同時に、それらの新商品や新技術をもとに企業同士がビジネスの話を進めるトレードショーでもあります。したがってアステモのブースには毎年、その技術を体感&詳細を聞くために、世界中の二輪完成車メーカーの開発陣や経営陣がやって来ます。そして数年後にそれらのメーカーから発表されるニューモデルに、アステモの新しい技術やパーツが搭載されるというわけです。

#EICMA2025

 アステモが独自に開発した電子制御サスペンションシステムの第二世代『SHOWA EERA Gen2 (ショーワ・イーラGen2)』。サスペンションユニットへの指令を行っていたサスペンション制御用ECUを小型化し、フロントフォーク上部やリアサスペンションユニット下部に一体化。さらには従来のストロークセンサーコイルの機能を、前後サスペンションユニットの内部に収めることができるフレキシブル基板によって実現。Gセンサーも合わせて搭載することが可能になりました。それらの技術革新によって、電子制御サスペンション搭載の障害となっていたユニットの小型化や簡素化、また低価格化を実現しています。話を聞けば、電子制御はリアサスペンションのみの搭載でもそのメリットを十分に享受できるとのこと。そうすれば車格や車体価格に制限がある小排気量車やスクーターにも電子制御サスが搭載可能となり、多くのユーザーに電子制御サスのメリットを提供できるとのこと。

#EICMA2025
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 またEERAGen2の追加機構である、停車を関知して自動的に車高を下げ、再走行後に再び車高を設定値に戻す「HEIGHTFLEX(ハイトフレックス )」は、すでに市販車搭載の実績も積み重ねています。その自動車高調整を高頻度&高速度で実現するために、前後サスペンションに「ギアポンプ駆動サスペンションスプリングアジャスター」を内蔵。それを展示車に搭載し、車高調整速度を来場者にアピールしました。これ、ASTEMOのテストコースでテストしましたが、動きが速く、そして自然で、HEIGHTFLEX搭載車ですよと言われるまで、自動的に車高調整されていることに気がつかないほどでした。

#EICMA2025
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 EICMA2023で発表し、2024年型のホンダCBR1000RR-Rに搭載されたアステモ製2モーター仕様の電子制御スロットルボディ。センター配置2モーターを採用することで並列4気筒エンジンの左右2気筒ずつを独立して制御することが可能になり、ドライバビリティが向上しました。2025年の鈴鹿8時間耐久ロードレースで優勝したTeam HRCにも、その2モーター電子制御スロットルボディが搭載され、優勝にも貢献しました。EICMA2025では、高性能エンジンを支えてきた歴代の燃料供給システムを展示。負圧式のCVKキャブから、レーシングキャブレターのCRキャブレター/FCRキャブレターとともに、その2モーター電子制御スロットルボディを展示しました。

#EICMA2025
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 EICMA2024で発表した、フロントフォークアクスルとブレーキキャリパーを一体化形状で設計したコンセプトモデル「ハーモナイズド・ファンクション・デザイン」。そのときはケースに入れて展示したこと。フォークアクスルとブレーキキャリパーを一体成型したように見えたこと。あまりに斬新なデザインであることなどから、絵に描いた餅と呼ばれていました。しかしアステモは、レースの現場に実戦投球することも視野に開発を進めており、また新しい機能と形を追求することによって新しいブレーキ性能の追求が実現できるかもしれないと、かなり前のめりに開発を行っています。

 それを体現するために、EICMA2025では、「ハーモナイズド・ファンクション・デザイン」の進化版を、全日本スーパーバイク選手権に実戦投入している最新のサスペンションシステムおよびブレーキシステムとともに、スケルトンシャシーに搭載して展示しました。これでグッとバイク用の新しいブレーキシステムとしての実感が湧いた欧州バイクファンたちは、この展示を食い入るように見つめていました。

#EICMA2025

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 アステモは、二輪車用のADAS(先進運転支援システム)を開発しています。EICMA2025では、その開発中のシステムを、映像を使って紹介しました。
 アステモのADASは、四輪のADASで培ったカメラセンシング技術を使用。人間の目と同じように、支援車両の周囲の状況を映像として捉えて判断するのが特徴です。したがって前方/後方にいる車両の走行状況や距離を視覚的に捉えて判断するほか、車線や道路標識も視覚的に認識することができます。現在はそのセンシング技術を活かし、状況に応じてライダーに危険回避を促すアラートを発信する技術を確立。そしてアラート発信に加えて、エンジンやサスペンション、ブレーキシステムを総合的に制御する段階へと開発のフェーズを移行しているとのこと。それによってより安全性を高めるとともに、システム搭載による安心感の向上や、その安心感がもたらす快適性も追求していくとのことでした。

#EICMA2025
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 また一般公開日以降には、アステモがサポートする各カテゴリーの世界選手権を戦うトップライダーが表敬訪問。カワサキレーシングチームMXGPからモトクロス世界選手権MXGPクラスに参戦し、2025年シーズンにシリーズタイトルを獲得したロマン・フェーブル選手と、ビモータbyカワサキ・レーシングチームからスーパーバイク世界選手権に参戦したアクセル・バッサーニ選手がアステモブースにやって来ました。

#EICMA2025
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●YAMAHA

 ヤマハは、創立70周年を記念した白赤カラーのロードスポーツモデル/YZF-Rシリーズやモトクロッサー/YZシリーズが並び、アドベンチャーモデルのテネレ700のバリエーションモデルであり、大型燃料タンクやYCC-T(ヤマハの電子制御スロットル)を採用した新型テネレ700ラリーレイドにも白赤カラーを展開しました。その赤白カラーの元ネタとして特別展示されていたのは、ヤマハ初のR7として登場した1999年モデルのYZF-R7(OW02)でした。

#EICMA2025

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 またスポーツスクーター/TMAXの誕生25周年を記念した「TMAX 25th Anniversary」を発表。そのカラーリングやディテールは、2006年に発表したTMAX初のスペシャルエディション・モデルをインスパイアしたそうです。国内販売が発表されたばかりの、スピードブロックカラーを纏った「XSR900GP」も展示されていました。

#EICMA2025
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●SUZUKI

 GSX-Rの40周年を記念した「GSX-R1000R 40周年記念車」の並びに展示されていたヨシムラカラーのGSX-R1000R。その車体と車体脇には“Racing Kit Parts”の文字とポップが展示されていました。しかもポップには“Racing Kit Parts Concept”の文字とともに、エンジン/シャシー/カウル類/電装類のディテールも紹介されています。

#EICMA2025
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●Kawasaki

 カワサキは、ジャパンモビリティーショーで発表したZ900RSを展示。EICMAは叔父さま方のグループも多く、写真のようにその方々の心を鷲掴みにしていました。またEICMA前に発表済みだった、2026年モデルの新型Z650Sも展示しました。Z650シリーズは、欧州でも人気のシリーズなので、そのアップデートは市場を活性化する意味でもとても重要ですね。

#EICMA2025
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2026/01/26掲載