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試乗・解説






2017年末に発売されるや圧倒的人気が続き7年連続ベストセラーの座を射止めたZ900RS
もちろん、2025年の販売も絶好調! そのZ900RSが初のモデルチェンジ
その内容は充実のアップデートでした!
■文・中村浩史 ■撮影:松川 忍、赤松 孝 
■協力:カワサキモータースジャパン

ご愛顧感謝祭、のようなグレードアップ!

 2017年末に発売されるや、Z1/Z2の再来として大人気! 以来、ずっとベストセラーであり続けているカワサキZ900RS。この数年、こんなに人気爆発、しかもそれがずっと続いているバイクってある?? ってくらいの人気が、もう8年になるのです。
 そのZ900RS、現在のラインアップはZ900RS/Z900RS CAFE/Z900RS SEの3バリエーション。Z900RSがスタンダードとしての位置づけで、CAFEはビキニカウルを装着したカフェレーサーイメージのバージョン、そしてSEはブレンボ製ディスクローター+キャリパーやオーリンズ製リアショックを採用したバージョン。今回、この3バリエーションすべてがアップグレードされました。

#Z900RS

 3モデルに共通するアップグレード内容としては、まずエンジン。新たにETV(電子制御スロットルバルブ)を採用し、低回転域でより滑らかな、高回転域ではよりエキサイティングな走りを実現できるよう、チューニングされているようです。
 またIMU(慣性計測ユニット)を採用して、より正確な現状姿勢状態などのセンサリングが可能になってライダーサポート技術を搭載し、ABSとトラクションコントロールを統合制御するKCMF(=カワサキ・コーナリング・マネジメント・ファンクション)やクイックシフター、クルーズコントロールなどを採用。マフラーとサイレンサー形状も変更されているようです。サウンドチューニングも施しているそうです。

 車体面ではライディングポジションを変更。シートを新設計し、より低くセットされた、グリップ位置も狭められたハンドルを採用。さらにカワサキの他モデルでも採用されているスマホアプリ「ライドロジーアプリ・モーターサイクル」も使用できるようになりました。SEモデルには前後2カメラ式のドライブレコーダーも採用されました。

#Z900RS

 大きなモデルチェンジには感じられないかもしれませんが、エレクトロニクスをバージョンアップした、という内容ですね。 
 Z900RS発売から8年経って、その8年分は特に電気領域が進化しているわけで、それをZ900RSにも投入した、というわけです。
 細かくモデルチェンジを繰り返して完成度をあげていくという手法もありますが、Z900RSはそうではなく、もちろんデビュー当時から完成度が高く、進化領域をバージョンアップしている、ということ。これ、すごくカワサキらしい、Z900RSらしい進化内容だと思います。Z900RSベストセラー御礼、みたいな感じでしょうか。

#Z900RS

エンジンは細かい変更でグレードアップ

 エンジン系はETVの採用を始め、エンジン本体にも細かく変更が加えられています。
 まずはカムプロフィールを新設計し、作用角とリフト量を増加。圧縮比も高め、高回転でより力強いパワーフィーリングとして、オーバーラン特性を改善(レブリミット超えの出力がガクンと落ちないように)し、最高出力も向上しているようです。発表時は、まだ諸元は未公表です。
 さらにエアクリーナーボックスと吸気ファンネルを新設計し、ファンネル長も変更。これで、トップエンドだけではなく、艇中回転域のパフォーマンスを上げているようです。
 そしてクランクシャフトのフライホイールマスを従来比で約10%軽量化し、これはエンジンレスポンスが向上しますね。ギアレシオもクロスレシオとして、ドリブンスプロケットを42→43丁にショートとして、加速性能も向上しているといいます。マフラーも、エキパイ形状を変更し、触媒を追加してサイレンサー手前にあるプリチャンバーを小型化。マフラーエンドのデザインも、従来モデルより70mm伸びたメガフォンサイレンサーとしています。サイレンサー内部も改良され、サウンドチューニングも施しているようです。

#Z900RS
カムプロフィール変更やフラマス増加のマイナーチェンジを受けたエンジン。エキパイはやや前方に張り出し、スタンダード車には左右エンジンカバーにDOHCデザインのアルミエンブレムを追加。
#Z900RS
SEのエンジン。エンジンカバーのDOHCエンブレムがなく、マフラー仕上げも、ステップ付近のヒートガードがマフラーと同仕上げのバフ処理になっている。

エンジン以外は熟成の方向で!

 ライディングポジションの変更は、ハンドル形状とシート形状の見直しによるものです。ハンドルは左右グリップ間を50mm詰め、38mm下げ、シート形状は表皮のタックロールデザインを変更し、クッション厚も増加。シート高は810mm(SEは820mm)と従来モデルよりも10mm高くなってはいますが、座った時のシート沈み込み量も増えているため、足着き性は変わらないのだと言います。ちなみに純正アクセサリーでノーマル+25mmのハイシートも用意されています。

 そしてエレクトロニクス関連では、スマホ接続ができる「ライドロジーアプリ・モーターサイクル」が搭載され、燃料計やオドメーター、メンテナンススケジュールなどの車両情報や、GPSによる走行情報の記録もスマホで見ることができます。
 電気関連では、IMUの搭載で6軸方向(前後/左右/上下)のリアルタイム姿勢センサリングが可能になり、トラクションコントロール、ABSをより細かく制御。1500rpmから使用できるシフトアップ/ダウン両方向のクイックシフターも使用可能。クルーズコントロールを使えるようになったのも、電子制御のアップデートの大きなメリットですね。

 さらにSEでは、ハンドル右スイッチ部にUSB Type-cソケットが標準装備され、ヘッドライト下とテールランプ下にドライブレコーダーも標準装備されています。SEはマフラー仕上げもスタンダードと違っていますね。
 まだ詳細な諸元は発表されていませんが、細かくグレードアップされたニューZ900RS。ベストセラー街道はまだまだ続きます!
(文・中村浩史、撮影:松川 忍、赤松 孝)

#Z900RS
ヘアライン仕上げのサイレンサーにはエンドキャップを追加。サイレンサー部は従来より70mmロングのメガフォンタイプに、消音ボックスも小型化された。写真はZ900RS。
#Z900RS
スタンダードのヘアライン+エンドキャップから、従来モデルに近いバフ仕上げのステンレスサイレンサーとなっている。消音ボックスの小型化や70mmロングなのは同一。写真はZ900RS SE。

#Z900RS
SEに標準装備されるオーリンズ製S46リアショック。プリロードは別体のアジャスターで調整可能。サスペンション本体は、市販されているものと別物の専用品だ。
#Z900RS
ディスクローターとキャリパーもSE専用のブレンボ製。ディスクはφ300mmで、キャリパーはラジアルマウントのものブロック品。マスターシリンダーもSE専用品だ。

#Z900RS
新たにスマホ接続機能を追加。アナログのタコ&スピードに、ギアポジ表示付き、オド&ツイントリップ、瞬間&平均燃費や残ガス走行可能距離などを表示するディスプレイも。
#Z900RS
やはりZといえば、この火の玉カラー。SEの車体色はこの一色で、サイドカバーにはスタンダードのみ、Z1/Z2にあったDOUBLE OVER HEAD CAMSHAFTの文字入り。

#Z900RS
表皮のタックロールは、ステッチ間の距離や形状を見直し、シートクッションも細かく見直して快適性を上げている。シート高の数値は上がっても、足つき性はほぼ同等だという。
#Z900RS
CAFE専用のシングル風シート。もちろんタンデムもOKで、ソロでの走りではシングルシートに見える仕上がりだ。シート高は820mmでスタンダードより10mm高い。

#Z900RS
タンクのみに入るグラフィックは、かつてのマッハを思わせる「レインボーライン」で黒×シルバーのたたずまい。写真左下の「RS」ロゴは、SEが赤でCAFEは黒となる。写真はZ900RS CAFE。

#Z900RS
CAFE最大の特徴が、このビキニカウル。ミラーはハンドルマウントで、CAFEは専用のローポジションハンドルを採用。タンクエンブレムはCAFEのみ転写フィルムだ。

#Z900RS
#Z900RS
Z900RS Black Ball Edition。

#Z900RS
#Z900RS
Z900RS SE。

#Z900RS
#Z900RS
Z900RS CAFE。


2025/11/26掲載