ミスター・バイク アーカイブス 第3回 1976年6月号(第2号)
1976年(昭和51年)4月(月号では5月号)に創刊し、2010年(平成22年)7月号で休刊(書籍コード=ミスター・バイクの場合は08489が生きている限り廃刊とはいわないらしいので)して、現在はWEBでなんとか生き延びているミスター・バイク。長いようで短いのか、短いようで長いのか、35年間で420冊(増刊号は含まず)を発行しました。これも多いのか少ないのよく分かりません。創刊号から最終号まで、おもしろそうな内容をピックアップして、一部ではございますがご紹介させていただきます。しかしあと417冊となると量が多い……不定期更新になりそうですが、気長にお付き合いください。
ちょっとミスター風味が匂いだして
創刊2号目となる1976年6月号の表紙は、悪役を演じる俳優でおなじみの今井健二さんとMVアグスタ750SS。悪役らしからぬ半笑い? ですが、その理由もちゃんと記されています(理由が気になりますか? ふふふ。でもあえて書きませんけど)。今回はきちんとバイク名が明記されています。
「コンちゃん(近藤健二氏。だいたいめんどくさいことになると、BOSSの指名を受ける先任デスク)よぉ、先月号の表紙なんだけどテッちゃんが『バイクの名前が出てない』って言ってたんだけどよぉ、どう思う?」とBOSSが言ったんじゃないかと、想像したりしなかったり。BOSSを知る人なら、ああ、そうかもね、とうなずいていただけるのではないかと。
巻頭カラーは「珍車・名車ガイド」、大定番の新車ではなく、外角高めの一歩間違えばパスボール的企画が巻頭です。ミスターの薫りしてきました。で肝心の内容です。写真はきれいです。記事の内容は……ぱんぱんに詰め込んだバイカーズステーション誌と比べては、あまりに不平等ではありますが、もうちょっと書くことあったような……「こんな珍車ありますよ」と、きれいな写真で問題提起をするのがミスター・バイク的。「興味があったら自分で調べてみよう!」いうのもミスター・バイク的。これがミスター・バイク! ミスター・バイク的ってなんて便利な魔法の言葉……(自己反省です)。
モノクログラビアはハーレーに乗るブティック店員さん(男)。その次が、「オレ17歳 いまんとこ無職やってんだ」といういかにも昭和40年代丸出しな書き出しで始まった、とっぽいあんちゃんがとっぽい改のCBでナンパに挑戦する「何でもアタック」。2号目にしてやっと? ミスター・バイク的くだらね〜企画(無論褒め言葉です)の登場です。まあ、令和の目で読んでみると、あいたた〜っですが、それは詭弁。そして前号に引き続き「女」もあります。女だけではバランスが悪かったのか、男も追加したのでしょうか??
活版ページの特集は「キミが選ぶゼロハンバイクはこれだ」という実用もの。半田京子、堀ひろ子、近藤信吾、中尾省吾、小宮山幸雄、斎藤 茂という6人のテスターが6台の原付バイクに試乗して、あーでもない、こーでもないと批評する定番企画。ただしメンバーがこれまたミスター・バイク的。半田さん、近藤さんは一般人(たぶん)、中尾、小宮山両氏は関係者。そしてまだ無名時代の堀ひろ子さんに驚きました。
それ以上に私が腰をぬかさんばかりに驚いたのが斎藤 茂さん。なんかどこかでみたことある人だなあと思って読み進んだら、なんとまあ、東京エディターズ御用達のそば屋「ふじ家」のご主人でしたか。いか天とえび天を玉子でとじた「ふじ家丼」(たしか500円くらいだったと思います。給料日後の懐が温かい時期はよく食べました。そのふじ家丼の出前を頼むと「バイクさ〜ん」→その逸話はこちらで。とカブで届けてくれたこの人です。斎藤さんでしたか、50年目にしてお名前知りました。関係者ならともかく、読者さんにはなんのこっちゃなどうでもいい個人的感想ですみません。心底驚くと誰かに話したくなるのです。
さて、創刊号の感想はどうなのか気になりますよね。読者ページには「アイラブ、ミスターバイク」「ミスター・バイクがあればもう恋人はいりません」という恋愛感情論から「一番のメリットは他誌よりはるかに安いこと」という経済的など感想はさまざまですが、ほとんど肯定的な意見でした。もちろん「ミスター・バイクは本文中のまちがいが多いので直してほしい」という、最終号まで直らなかった不治の病を早々にご指摘いただいたり「たくさん記事があるが、全部中途半端でダメだ。この本の特長が見当たらない」という、ズバリ本質を突いたような辛口なご意見もありました。
肯定派で多かったのが「あの内容で180円は安い!」というものです。ではどれくらい安かったのか、当時の物価を調べてみます。日銀のサイトにあった昭和50(1975)年の消費者物価指数で計算すると約4.6倍、つまり当時1万円で買えた物が、現在では4万円くらいということになります。ということは当時の180円は、現在の感覚にすると850円くらい?
え〜っと、それほど割安感がありませんね。たぶんどこかで私の考え方が間違っていると思いますが、めんどくさいのでもう詮索はやまめす。当時の人が安いと思ったんだから、安いんですということで。180円に決定したBOSS、素晴らしいご英断の勝利でした(ヨイショっと)。
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