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MiniGPに懸ける強い想い、予選から決勝までプロ顔負けの争い

 MiniGP第3戦が茨城県・筑波サーキット1000で開催された。開幕戦に続き、2度目の筑波1000での戦いとなった。酷暑となり、走行を終えると風通しの良い日陰やクーラーの効いた車に移動しないと辛いほどの陽射しが降り注いだ。

 午前中からフリー走行が行われ、参加ライダー12名のタイム差は0.6秒以内。コンマ1~2秒の差でポジションが大きく変動する展開となった。予選前にはタイヤ交換が行われ、このタイヤで予選2回、決勝2回を走り切るルールだ。予選でタイムを記録した後は、タイヤを温存するライダーも多く、それも作戦のひとつとなっている。予選時間をフルに使って走り切った♯4真木來人には、スタッフから自然と拍手が送られていた。

 レース1のポールポジション(PP)は♯7吉原寅之助。吉原はレース2の予選でもトップタイムを記録した。



 レース1のスタート直前には接触転倒のアクシデントでスタートがディレイ。マシン修復後に再スタートが切られた。♯7吉原がホールショットを奪いレースをリード。♯3田中楓人が2コーナー立ち上がりで前へ出るが、3コーナーでは♯7吉原が首位を奪い返す。その背後には♯2吉村錬太朗が迫る。トップ争いに加わった♯11相原凛玖がイン側から飛び込むが曲がり切れず、♯2吉村に接触するアクシデントとなった。

 トップは♯7吉原、2番手には♯5蘇 勇太が迫り、3番手には♯6田中 陸。4番手に♯8高江洲湊都が続き、トップグループを形成する。♯6田中が転倒し、トップ争いは3台に絞られる。終盤は♯7吉原と♯5薮の一騎打ちに。

 最終ラップの最終コーナーを♯7吉原がトップで立ち上がるが、スリップから抜け出した♯5薮が並んでゴール。タイムモニターには「0.000」の表示。写真判定の結果、♯7吉原が優勝、2位に♯5薮、3位には♯3田中が入った。

 インターバル中、接触してしまった♯11相原も、接触された♯2吉村も号泣。大粒の涙を流しながら、相原は両親とともに吉村のピットを訪れ頭を下げた。2人とも、止まらない涙を何度もタオルで拭いていた。MiniGPに懸ける強い想いが伝わってくる光景だった。


 レース2のスタートでは、♯5薮、♯7吉原、♯3田中がトップグループを形成。そこに♯2吉村、♯9田中倖、さらに♯11相原が追いつき、6台の争いに。♯5薮と♯7吉原はコーナーごとにポジションを入れ替える激しい展開に。♯3田中が♯7吉原をかわして2番手に浮上し、さらに♯2吉村も♯7吉原を捉えて3番手へ。

 ♯3田中が♯5薮を抜いてトップに立つが、♯2吉村が一気に前に出る。6番手を走っていた♯9田中倖もトップ争いに加わり、6台のトップグループに。終盤、♯5蘇がトップを奪い返し、2番手に♯2吉村、3番手に♯7吉原、4番手♯3田中、5番手♯11相原、6番手♯9田中と続く。


 最終ラップの18周目、トップ争いは続いたが、♯5蘇が後続を振り切り初優勝のチェッカーを受けた。僅差の2位に♯2吉村、3位に♯7吉原、4位に♯3田中、5位に♯11相原、6位に♯9田中が入った。


■コメント
♯5薮 勇太(レース1・2位/レース2・優勝)

「レース1は、とても悔しい2位で、レース2は思いっきり走ろうと思いました。途中、2台に抜かれて焦ったけど、抜き返すことができたのが嬉しいです。本当はまだ1周あると思っていて力を残していたんですが、チェッカーのときに“えっ、マジ?”って。でも、競っていたとしてもクロスラインで絶対に前に出られる、勝てると思っていました」

♯7吉原寅之助(レース1・優勝/レース2・3位)
「レース1は良かったけど、レース2は負けてしまったので…。前回の桶川大会でもレース1は勝てたけど、レース2はダメだったので、悔しい気持ちです。レース1は想定通りの展開でしたが、レース2は集団が大きくなってしまい、自分のプラン通りにはいきませんでした。残り2戦はダブルウィンできるよう努力します」

♯8高江洲湊都(レース1・3位/レース2・8位)
「レース1では3位になれたけど、レース2では結果が出せず悔しいです。もっと前に出られると思っていたし、もっと行けるはずだって思うから、悔しい気持ちしかないです。次の近畿スポーツランドは地元なので、いいレースがしたいです」

♯2吉村錬太朗(レース1・10位/レース2・2位)
「優勝を狙っていたので、レース1は走り切れず、とても悔しかったです。レース2に気持ちを切り替えるのも難しかったんですが、勝ちたいという気持ちで走りました。ここからは全勝するくらいじゃないとダメだと思い、心を入れ替えて挑みました。トップに出たのにさされてしまって、そこからポジションを上げることができなかった。2位はやっぱり悔しいです」

尾野弘樹アドバイザー
「すごく成長しているライダーと、ちょっと成長の幅が少ないライダーがいます。今日のレースでも、結果が良かったと思うライダーもいれば、思うようにいかなかったライダーもいると思います。

シリーズも残り2戦、4レースです。『もう2戦しかない』と思うか、『まだ2戦ある』と思うかで、それぞれのモチベーションが変わります。調子が良いライダーは、目標に向かってこれまでと同じように挑み、悔しい思いをしているライダーは、悔いのないレースにするために“今できること”を考えてください。次に向けて、しっかり準備をして臨んでください」

 レース1の賞品はカニセット。レース2の賞品は、鈴鹿8時間耐久レースの観戦チケット(宿泊付き)。表彰台に立つことができなかったライダーたちは、とても羨ましそうに表彰台を見上げていた。

 次戦、第4戦は京都府・近畿スポーツランドで開催される。


Youtube
https://www.youtube.com/channel/UC1YZzfzC6pbpJeujUPxhE3w

(文・写真:佐藤洋美)

2025/07/08掲載