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THE444



THE444RR・4ストローク・4気筒・400cc・レーサーレプリカの時代 Vol.4 YAMAHA FZ/FZR


初代F-3チャンピオンマシンの直系


XJ400Zが登場した1983年の東京モーターショーに展示されたXJ400ZベースのF-3レーサーFZR400は大きな話題となり、市販化の期待がふくらんだ。FZR400は翌年、江崎 正選手がライディングしデビュー戦こそ8位だったが、第3戦で初優勝、第4戦鈴鹿も連続優勝を飾った。ワークスレーサーFZR400と同時開発されたFZ400Rは、XJ400Z系エンジンをベースにバルブの大径化、高速タイプのカムシャフト、ピストンまわりを中心としたフリクションロスの低減、ハイコンプ化などで馬力、トルクをアップ。フレームは軽量高剛性角形断面で、リアフレーム別体、ダウンチューブは左右ともボルトオンで整備性を高めているCda値0.3を切ったハーフカウルにシングルシート風のリアカウル、集合マフラーやアルミ鍛造セパハンなどF-3レーサーの公道バージョンで、GSX-Rと共にレーサーレプリカブームに貢献した。

1984年5月 FZ400R(46X)
FZ400R シルキーホワイト
FZ400R シルキーホワイト
FZ400R ニューヤマハブラック
FZ400R ニューヤマハブラック(追加)985年5月
●エンジン︰水冷4ストローク4気筒DOHC4バルブ ●総排気量︰399cc ●内径×行程︰54×43.6㎜ ●最高出力︰59PS/12000rpm ●最大トルク︰3.7㎏-m/10000rpm ●変速機︰6段リターン ●全長×全幅×全高:2025×690×1145㎜ ●軸距離:1385㎜ ●燃料タンク容量︰18ℓ ●乾燥重量︰165㎏ ●タイヤ前・後︰100/90-16・120/80-18 ●車体色:シルキーホワイト、ニューヤマハブラック ●発売当時価格︰598000円 
1985年3月 FZ400N(1KF)

FZR400Rからカウルを取り去り、ネイキッドという言葉を初めて謳ったのがFZ400N。今で言うスーパーネイキッドの奔りとも言えるが、レーサーレプリカ人気が高まる当時にあっては、FZ400Rの廉価版や教習車仕様(1987年3月1日発売FZ400L)という位置づけでしか見られなかった。

FZ400N ストーミィーレッド
FZ400N ストーミィーレッド
FZ400N レジナスブルー
FZ400N レジナスブルー
●エンジン︰水冷4ストローク4気筒DOHC4バルブ ●総排気量︰399cc ●内径×行程︰54×43.6mm ●最高出力︰59PS/12000rpm ●最大トルク︰3.7㎏-m/10000rpm ●変速機︰6段リターン ●全長×全幅×全高:2025×690×1050㎜ ●軸距離:1385㎜ ●燃料タンク容量︰18ℓ ●乾燥重量︰164㎏ ●タイヤ前・後︰100/90-16・120/80-18 ●車体色:ストーミィーレッド、レジナスブルー ●発売当時価格︰569000円 
1986年3月 FZ400R(2EL)

ハンドル幅を25mm広げて675mmに改め、クリップ位置をやや高めライディングポジションを変更、エアプレーン型タンクキャップ、アルミステップ、TZR250と同型ミラーの採用、サイレンサー部をサテンメッキ鋼板で巻きモデルチェンジ。

FZ400R シルキーホワイト×レッド
FZ400R シルキーホワイト×レッド
FZ400R シルキーホワイト×ブルー
FZ400R シルキーホワイト×ブルー
1987年10月 FZ400R(3CD)

FZ-R系の最終型はアンダーカウルを追加しフルカウルとなった。しかし乾燥重量など主要諸元に変更なし。

FZ400R シルキーホワイト
FZ400R シルキーホワイト
FZ400R ニューヤマハブラック
FZ400R ニューヤマハブラック

チャンピオンを奪回すべく製作されたF-3レーサーと同時開発

F-3(国際A級)スタート元年の1984年、チャンピオンに輝いたFZR400だが、翌1985年はRVF(山本陽一選手)に敗北してしまった。チャンピオンを奪回すべくニューマシンがYZF400が開発された。このファクトリーマシンと同時開発された市販バージョンがFZR400である。前年のファクトリーレーサーと同名が与えられたこのモデルは「マン・マシン・コミニュケーション」による走りのクォリティーを追求する新時代のマシン作りのコンセプト=ジェネシス思想を400で初めて具現化し、すべてが新設計。前傾45度、低重心、軽量コンパクトなエンジンは、FZ400Rよりショートストローク化された超高回転型で、クロモリ中空カムシャフト、特殊合金のバルブリフターなど徹底した軽量化がおこなわれた。ワークスレーサーYZR500からのフィードバックによるアルミデルタボックスフレームはヤマハ4ストモデルでは初採用で、従来比45%剛性をアップ。さらにクラス初の扁平ワイドラジアルタイヤやTT-F1マシンYZR750と同様の軽量樹脂一体成形のタンクカバー、市販レーサーTZと同タイプの文字配置と書体が使用されたメーターなど全身レーサーイズムを満載した意欲作であった。

1986年5月 FZR400(1WG)
FZ400R シルキーホワイト
FZ400R シルキーホワイト
FZ400R ファラウエーブルー
FZ400R ファラウエーブルー(1986年7月上旬追加)
FZ400R ダイナスティブルー
FZ400R ダイナスティブルー(1987年4月下旬追加)
●エンジン︰水冷4ストローク4気筒DOHC4バルブ ●総排気量︰399cc ●内径×行程︰56×40.5㎜ ●最高出力︰59PS/12000rpm ●最大トルク︰3.9kg-m/9500rpm ●変速機︰6段リターン ●全長×全幅×全高:2040×690×1125㎜ ●軸距離:1400㎜ ●燃料タンク容量︰18ℓ ●乾燥重量︰157kg ●タイヤ前・後︰110/70-17・140/60-18 ●車体色:シルキーホワイト ●発売当時価格︰698000円 
1987年4月 FZR400R(2KT)

FZR400をベースにコンピュータ制御でエキパイの排圧をコントロールし、「6速でも発進できる」と話題となった低速域と高速域の排気適正を両立させる排気デバイスのEXUP(EXhaust・Ultimate・Powervalve)や、ピストン裏側にオイルを噴射するオイルジェットタイプピストンクーラー、各ギアの減速比が接近した6速クロスミッション、シングルシートなどの専用装備を追加した2,500台の限定車。後に続々と誕生するSP仕様の元祖的な存在とも言える。

FZR400R シルキーホワイト
FZR400R シルキーホワイト
●エンジン︰水冷4ストローク4気筒DOHC4バルブ ●総排気量︰399cc ●内径×行程︰56×40.5㎜ ●最高出力︰59PS/12000rpm ●最大トルク︰3.9kg-m/9500rpm ●変速機︰6段リターン ●全長×全幅×全高:2040×690×1125㎜ ●軸距離:1400㎜ ●燃料タンク容量︰18ℓ ●乾燥重量︰157kg ●タイヤ前・後︰110/70-17・140/60-18 ●車体色:シルキーホワイト ●発売当時価格︰890000円 
1988年3月 FZR400(3EN1)

FZR400をベースにピストン、コンロッド、カムなどの強度を高めると共に細部の見直しにより熟成化が行なわれた。限定車FZR400Rで好評を得たEXUPやピストンクーラーは標準装備となった。デルタボックスフレームも構成を一部変更してピボッドまわりの剛性を向上、スイングアームもアルミデルタボックスへと進化し、前面から直接冷えた空気をエアクリーナーボックスへと導くFAI(Fresh・Air・Intake)や、フロントブレーキはYZF譲りの対向4ポッドへなど、内外のポテンシャルをアップしてモデルチェンジ。

FZR400 シルキーホワイト×ファインレッド
FZR400 シルキーホワイト×ファインレッド
FZR400 ウルシブラック×アンソニーグレー
FZR400 ウルシブラック×アンソニーグレー
●エンジン︰水冷4ストローク4気筒DOHC4バルブ ●総排気量︰399cc ●内径×行程︰56×40.5㎜ ●最高出力︰59PS/12000rpm ●最大トルク︰3.9kg-m/9500rpm ●変速機︰6段リターン ●全長×全幅×全高:2025×685×1160㎜ ●軸距離:1400㎜ ●燃料タンク容量︰17ℓ ●乾燥重量︰165kg ●タイヤ前・後︰110/70-17・140/60-18 ●車体色:シルキーホワイト×ファインレッド、ウルシブラック×アンソニーグレー ●発売当時価格︰719000円 
1989年3月 FZR400R(3EN2)

車名にもうひとつRが追加された1989年モデルでは、サイレンサーを大径円断面化し排気効率を、ストレートタイプのFIAで吸気効率をアップさせた他、アッパーカウルのスラントノーズ化、フレームのジョイント部レイアウト変更による軽量化と表面の化学研磨処理、新型アルミデルタボックススイングアーム、フロントフォーク径3㎜アップ、フロントディスク径6㎜アップ、異径ピストン採用など細部にわたり熟成化がなされた。

FZR400R シルキーホワイト×ファインレッド
FZR400R シルキーホワイト×ファインレッド
FZR400R シャイニーブラック×ファインシルバー
FZR400R シャイニーブラック×ファインシルバー
●エンジン︰水冷4ストローク4気筒DOHC4バルブ ●総排気量︰399cc ●内径×行程︰56×40.5㎜ ●最高出力︰59PS/12000rpm ●最大トルク︰3.9kg-m/9500rpm ●変速機︰6段リターン ●全長×全幅×全高:2020×685×1130㎜ ●軸距離:1400㎜ ●燃料タンク容量︰17ℓ ●乾燥重量︰165kg ●タイヤ前・後︰110/70-17・140/60-18 ●車体色:シルキーホワイト×ファインレッド、シャイニーブラック×ファインシルバー ●発売当時価格︰729000円 
1989年12月 FZR400RR(3TJ1)

FZR400Rの登場からわずか8ヶ月でRRへという、今では考えられないようなサイクルでフルモデルチェンジ。新設計エンジンは、全パーツの見直しや、前傾35度化、ピストン、コンロッド、シリンダーの短縮により全高を短縮するなどさらに軽量コンパクト化とハイコンプ化がなされた。アルミデルタボックスフレームも新設計により大幅な軽量化と剛性アップを達成している。また世界で初めてプロジェクター式ヘッドライトをデュアルで搭載した。テールランプは8耐マシンYZF750と同タイプの角形二灯式など、RRの名にふさわしい装備を満載していた。スタンダードバージョンはこのモデルが最終型となり1990年代中頃までラインナップされていた。

FZR400RR ブラックゴールド
FZR400RR ブラックゴールド

FZR400RR シルキーホワイト×アップルレッド
FZR400RR シルキーホワイト×アップルレッド
●エンジン︰水冷4ストローク4気筒DOHC4バルブ ●総排気量︰399cc ●内径×行程︰56×40.5㎜ ●最高出力︰59PS/12000rpm ●最大トルク︰4kg-m/9500rpm ●変速機︰6段リターン ●全長×全幅×全高:1975×705×1090㎜ ●軸距離:1365㎜ ●燃料タンク容量︰15ℓ ●乾燥重量︰160kg ●タイヤ前・後︰120/60-17・160/60-17 ●車体色:ブラックゴールド、ルキーホワイト×アップルレッド ●発売当時価格︰739000円 
1990年1月 FZR400RR-SP(3TJ2)

FZR400RRをベースに水冷式オイルクーラー、大型ラジエター、6速クロスミッション、強化クラッチ、伸・圧減衰力調整機構付きフロントフォーク、サブタンク付き伸・圧減衰力調整機構付リアサスペンション、タイヤクイック交換システム、シングルシートを追加装備したSPバージョンは1,000台の限定車。

FZR400RR-SP シルキーホワイト×ファインレッド
FZR400RR-SP シルキーホワイト×ファインレッド
1992年12月 FZR400RR-SP(3TJ6)

1991年モデル以降、レギュラーモデルのRRのモデルチェンジがおこなわれず、SPモデルのみのモデルチェンジとなった。1990年モデルをベースにφ32㎜のFCRキャブ、ヘッドライトの常時点灯、ハザードランプを新たに採用した500台の限定車。

FZR400RR-SP ブルーイッシュホワイトカクテル1×ビビッドマゼンタカクテル1
FZR400RR-SP ブルーイッシュホワイトカクテル1×ビビッドマゼンタカクテル1
1994年2月 FZR400RR-SP(3TJ7)

グラフィックのみを変更して500台の限定発売。これがFZR400シリーズの最終モデルとなった。

FZR400RR-SP ブルーイッシュホワイトカクテル1
FZR400RR-SP ブルーイッシュホワイトカクテル1

[THE444RR大全その3 CBR-RR|その4 FZ/FZR|その5 GSX-R]

2015/12/15掲載