2024年12月31日、埼玉県川越のオフロードヴィレッジで走り納めにいそしむ“土の上好き”が全国から309チーム、500名集まった。開催32年目を迎え、いつからか仮装ライダー大歓迎のウエストポイント『年忘れエンデューロ』は、スクーターからビッグツアラーまで幅広いライダーに愛される大晦日のお祭りだ。
■文・写真:高橋絵里
会場のオフロードヴィレッジは、MFJ全日本モトクロス選手権関東大会が開催されることでも知られる国内屈指の名コース。広大な敷地にモトクロス、エンデューロ、ダートトラック、トライアル、キッズ用など各コースがあり、大晦日にはそれらを繋げて1周10kmほどもある超ロング特設コースが出来上がり、かつビギナーでも安心して走れる思いやりに満ちたレイアウトとなる。トップを狙うマジライダーに向けては、ライバルに差をつけるテクニカルセクションも用意され、そこにはもちろんビギナー用エスケープレーンもあって、あらゆるレベルのライダーが楽しめるコースだ。
冬の朝の霜降りもない路面はベストコンディション、レース内容はエンデューロという名の通り3時間と1時間の耐久レースだが、参加者はエンデューロライダーやモトクロスライダーだけではないのが大晦日の特徴だ。新旧オフロードレーサーに混じって原付スクーター、デュアルパーパス車、巨大なツーリングラリー車、電動バイクなどなぜかあらゆるマシンがいて、思わず“そのバイクでここを走るんですかぁ?”とツッコミたくなるけれど、皆さんこれが面白いと言う。
「いつも街乗りなので、年に1回だけ土の上を走るのがちょっと滑ったりして楽しい!」
「原付で走ります。どうなるかわからないけれど仲間と“思い出作り”に来ました!」といった、普段は全然オフローダーではないライダーが本当にとても多いのだ。そして大晦日の特別感、上り坂や下り坂のある土の上の非日常感を求めてリピーターもまた多い。
さらに、この日のために何かしらの衣装、被りもの、小道具などで”姿かたちに工夫を凝らした”仮装ライダーがあちこちに現れる。この1年の社会現象を反映したもの、干支や郷土芸能や日本昔話になりきるもの、趣味のこだわりのもの、ほぼ意味不明のものも、みんな入り混じって一生懸命走る姿は、周りのライダーとコース脇の応援組をひたすら和ませてくれる。この仮装現象は毎年エントラント側の自発的演出で、喜んだ主催者が仮装特別賞を選出したりして、すっかり年忘れエンデューロの伝統になった。
(文・写真:高橋絵里)