ロイヤルエンフィールド──イギリス発祥、インドで急成長し、今や世界がターゲット。
世界的に中間排気量モデルで大きなシェアを持つブランドで、イギリス発祥、インドで成長、35kWまでのセグメントで大成長するテイスティモデル達。カスタムプロジェクトを行ったり、インドのマーケティング本部から担当者が来日したり、日本市場への関心度の高さがうかがえる。PCIが輸入元を務めてから特にその力が強くなったように見える。今回もスーパーメテオ650のアンベールが行われた。
ヒョースン──韓国発信のV2モーターサイクル。
125、250、300とあるヒョースン。125と300が兄弟車でスタイルはボバー。エンジンは水冷Vツイン。重量は125が10㎏軽い165㎏となるが、重厚感のあるスタイル、それでいて1425mmに収められたホイールベースや、フロントに120/80−16、リアに150/80−15を履くあたり、見た目の存在感がある。そう、125に見えない。300でもワンクラス上のモデルに見える。カスタムパーツの展示もあり、イジる拡張性も充分にありあそうだ。
プジョーモトシクル──ヒストリックブランド。
二輪製造では、実は最古参のプジョーモトシクル。
1810年、製鉄業から始まったプジョーの歴史。1890年にはダイムラー製エンジンを載せた四輪車を世界に先駆けて量産開始。さらに1898年にはド・ディオン・ブートンエンジンを後輪車軸付近に搭載したモーターサイクルを第一回のパリオートショーで発表。1907年、第一回のマン島TTではプジョー製エンジンを搭載したノートンが勝利するなど、二輪のパイオニアでもあるプジョーモトシクル。彼らは今年バイク製造に携わって125年目を迎える。
そんなプジョーモトシクルが東京モーターサイクルショーにも展示された。これまでジャンゴなどスクーターイメージが強かった同社だが、モーターサイクルメーカーとして復帰することを強くイメージ付けるラインナップで2023年は攻めている。
昨年EICMAで発表されたXP400GTも展示されたほか、PM-01ギア付きのロードモデルが登場。300と125で展開する予定で、日本に届くのは10月を予定している。
GPX──タイからやってきたアンダー250の熱波。
タイのモーターサイクル熱はスゴイ。雨期でなくても毎日一度はスコールが降る天候ながら、町にはバイク屋、道には移動するバイクが溢れている。そんな彼らの足はスクーター&カブのようなビジネスバイクが中心。そして200㏄、250㏄は庶民のプレミアムクラスという感じで、そのセグメントで成長するのがGPXだ。
GPXジャパンにより国内に紹介されているバイク達は、レジェンド250(空冷2気筒)シリーズ、150㏄単気筒のレジェンド150FI、レプリカ系スポーツバイクのDEMON GR200Rシリーズ。2023年の東京モーターサイクルショーでもGPXブースで多くが展示された。
ウラル──2WDが生み出す機動性。
未体験ゾーンの走破性が武器。
現在、生産拠点をカザフスタンに移しているウラル。HPを開くとトップにSTOP WAR NOWの文字が出てくるところにロシアブランドの苦しさが出ている。しかしプロダクトに政治的な意味はなく、2WDを主体に販売されるウラルのサイドカーは冒険色に満ちたもので、カーやトランクに荷物を詰め、スペアタイヤの上にも荷物を載せて750㏄空冷水平対向2気筒を唸らせ、荒れ地を越えてどこかへ行ってみたくなる。OHV2バルブを採用するエンジンは連綿とアップデイトが続き、古風なレイアウトながらユーロ5にも適合。
ファンティック、BRIXTON──モダンクラシックの館、
ファンティックとBRIXTONを見る。
モータリスト社が展開するこのブースでは、ファンティック・キャバレロスクランブラー500デラックスと、新たに日本に導入するBRIXTON(ブリクストン)のクロムウエル1200が目を引いた。どちらもオーセンティックでまとまりのあるデザイン。パーツ使いも趣味人を納得させてくれそうな構成でまとまっている。
クロムウエル1200は270度クランクを使う今日のスタンダードとも言えるエンジンで、デロルトのスロットル系、SOHC4バルブヘッドを持つ。モダンクラシックなスタイルを持ちつつ電子制御技術との親和性も高く、クルーズコントロールなどの装備もある。ECO/SPORTSの2つのライディングモードを持つのも特徴だろう。最新のスタイルでまとめ上げたファンティックとBRIXTON。既定路線と違ったバイクとライフスタイルをお望みならば注目だ。
MV AGUSTA──もはや美術館。至宝とであう瞬間の悦び。
MV AGUSTA。もはや説明の要らない最高のパフォーマンスと美しさを妥協無く追求するブランド。4気筒1ℓ、3気筒800㏄のブルターレ。ラッシュ、F3シリーズ、ドラッグスター、トゥーリズモ ヴェローチェというモデル構成を持つ。特に最近のMVはライディングに対する包容力が加わり、乗りやすさも向上。それでいてスキルがあるモノに正直に微笑む孤高さも混在したまさにプレミアムな乗り味。夢を買う。そんな人に最適なブランド。
イエローのバイクは、MV AGUSTA流ネオクラシックスタイルのスーパー・ヴェローチェ。800㏄3気筒を搭載するロードゴーイングマシン。
ベネリ、ゴッチア──プロトが手がけるモビリティーの明日。
展示面積で言えば国内4ブランドと同等の広さで展開したプロト。ベネリのe-BIKE、ガソリンエンジン搭載のバイク、ゴッチアのBEVバイクほか、同社が展開する用品、オリジナル商品がセグメントごとに分けられた展示されていた。
その中でゴッチアの電動バイクに関する展開が面白かった。GEV600というシンプルな構成のBEVモビリティー。行動半径を拡げるためのバッテリーステーション、充電ステーションが欲しくなるところ。そこでプロトは日立チャネルソリューションズと一つのことを開始。地元の取引先金融機関にゴッチアを納入、業務で活動するためのバッテリー充電に関わるタイムラグを減らしつつ、電施設が他のことにも役立てたら──。
日立チャネルソリューションズが手がけていた、金融機関のATM用非常電源として充電式バッテリーを活用するシステムに、取り外し式のバッテリーを活用。充電と非常用電源としての二つの仕事をそこでできないか、という実証を行っている。
大型店舗には自家発電装備があるが、小規模な店舗やATMではそうしたバックアップの構築まではできていない。そこでバッテリーを使い危機管理をという提案だ。そのバッテリーを共用することで、リスクを減らしながらメリットを探す活動のようだ。将来的に充電ではなくバッテリーステーションとして機能するのだろうか。まだそうした具体化には距離感を感じたものの、興味深く、面白いトライアルだと思った。
CAKE──ゴールドウインが展開する北欧電動モビリティーの日本へのローカライズ。
スポーツウエア、ライディングウエアなどでお馴染みのゴールドウインが2023年からCAKE(ケイク)の販売を始めた。スウェーデンで2016年に設立されたプレミアム軽量電動バイクメーカーで、ゼロエミッションという環境性能とゴールドウインがアウトドアスポーツに向けたプロダクトを多く手がけることから同じ目的を持つ同士、ということで展開が決まった。
すでに都内で試乗会を行うなど注目は徐々に集まっている。プレミアムさは、そのデザインからも伝わってくる。オフロードスポーツバイクのようなカルク、ワークバイクでありレジャーバイクのようでもあるオッサ、軽快なコミューターとして気になるマッカ、という3つのことなるキャラクターを持つ電動バイクと、キッズ向けのストライダー的バランス学習用バイク、ペダルを持ったバイク、そして電動バイクへと続くため、年齢、体格によってチョイスを拡げるようになっている。
ブースはホワイトで彩られ、その上にケイクのバイクやパーツが並べられた他とは全く異なる空間に仕上がっていた。価格帯はキッズ用を除けば86万9000円から291万5000円。製品の精度は高く試乗会の時に触れたクイックリリースレバーの動きは、稚拙な例えで申し訳ないが、モトコルセが作り出すカスタムパーツに触れたときのようなミッチリとして着実に動く心地よいほどに手に馴染む精度を持っている。そこに見た目とのギャップも大きく一気に注目度があがってしまった。今、電動バイクの世界観の先端にはこんなプレミアムゾーンがあることを知ったブース展開だった。
インディアン──アメリカ、もう一つの老舗ブランド。
ライバルとは背中合わせ?
ハーレーダビッドソンブースと通路を隔てて展示スペースを構えていたインディアン。同じ嗜好性を持つライダーにとっては見比べが短時間でできる構成だったともいえる。
(レポート:松井 勉 撮影:増井貴光)
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