TRDハイラックスで
アジア
クロスカントリー
ラリーに
そのきっかけは
ノースアイランドラリー
今回のドライバーである新田正直氏は、カーボンコンポジット製品を手掛けているトラスの代表である。ご存知の方も多いだろうがスズキのモトGP参戦チームであるTEAM SUZUKI ECSTARのフェアリングなどの製作を手掛け、さらには鈴鹿8時間耐久レースではBMWの参戦車両の外装製作で2002年から参画し、2011年からは「Team Tras」として参戦を続けてきたこともある。そんなバイク好きな新田氏、そして松井氏が参加したのが、バイクで北海道を走るノースアイランドラリー、そして、冬の北海道をクルマで走るシバレルラリーであった。
松井氏とペアを組んで参戦したシバレルラリー2021には、新田氏が2020年から参戦していたTOYOTA GAZOO RACING ラリーチャレンジに使用していたトヨタ・アクアで参戦。その車内でラリーのステップアップの話が盛り上がって、結実したのが今回のアジアクロスカントリーラリー参戦であった。
この参戦のために仕立てられたハイラックス。この車両はレースカーの開発でトヨタのモータースポーツ活動を支えているTRDのカスタマーサポート部門が協力して仕上げた車両となり、このTRDがラリー参戦のサポートも行うこととなる。
そして出来上がったAXCR参戦用のハイラックスは、トヨタのレース部門を担当するTRDが、世界のラリー競技に参戦するカスタマー向けに開発した「TRD Hilux MSB」。そこにトラスつながりで、スイスのBcomp社が開発中の天然繊維素材のコンポジットを使用した外板を特別に採用した一台となっている。持続可能な材料のテストを目的とした参戦でもある。またこの参戦には、自動車用のケミカル&工具をリリースしているドイツが本国のウルトがサポートすることが決定しており、車両にも大きくウルトのロゴが並ぶ。
ドライバーの新田氏は
「すべてが初めて尽くしなので、わからないことばかりですが、経験豊富なTRDさんのサポートを受け準備も整い、パートナー企業の支援を受けてWÜRTH TRD Hilux MSB Tras135での完走を目指し突き進みます」
とコメントしている。
また、コ・ドライバーとしてこの車両に乗り込む松井氏は
「冬の北海道をラリーするイベント『しばれるラリー2021』にラリチャレ仕様のアクアで参加した時、道中で新田さんと過去に私が参戦したパリ・ダカールラリーやバハ1000の話で盛り上がり、本格的に作り込んだ車両を使用し準備を整えればラリーレイド参戦は可能ですと話したそばから、あちらこちらに電話をしはじめた新田さんがあっという間に準備を整え、AXCR2022参戦が決まりました。インターライセンスを継続していたお陰で、新たな形でラリーレイドに挑戦することが出来ることをとても嬉しく思っています。AXCR2022フィニッシュラインに向けて楽しみながら頑張ります」
とコメントを残している。
このハイラックスはすでに現地に向けて日本を発っており、チームは11月中旬に現地へ移動し、準備を進めるとしている。
(レポート:青山義明)
■第27回アジアクロスカントリーラリー2022
開催地:タイ王国〜カンボジア王国
スケジュール:2022年11月21日(月)〜26日(土)
総走行距離:約1,700km
チーム名:WÜRTH TRD Hilux MSB Tras135
車両:TRD Hilux MSB
ドライバー:新田正直 Masanao Nitta
コドライバー:松井勉 Tsutomu Matsui
テクニカルサポート:TRD/TCD Asia