2021年のFIM世界耐久選手権(EWC)にヨシムラは、SERT(SUZUKI ENDURANCE RACING TEAM)とコラボしてヨシムラSERT Motulとして参戦。ル・マンとボルドールというふたつの24時間耐久レースを制する圧倒的強さを示し、参戦初年度でシリーズチャンピオンを獲得した。
その偉業を記念し、ヨシムラが神奈川県内のホテルで約200名の関係者を集めて祝勝会を開催した。観戦対策としてワクチン接種証明の提出や現地で抗原検査を実施しての開催となった。
チームのメンバーが檀上に並び、加藤陽平チームディレクター(TD)がチームを支えたすべてのスタッフを紹介した。加藤TDは「スズキファクトリーチームとして参戦初年度にシリーズチャンピオンを獲ることができました。この素晴らしい結果は、我々チームだけで成し遂げたのではなく、日頃から応援していただいているスポンサーの皆さん、協力会社の皆さん、OBやライダーの皆さん、そして世界中のヨシムラファンの協力、応援があったからこそ」と感謝を述べた。
スズキからは、レーシングカンパニー長の近藤豊氏、レース車両開発グループの佐原伸一氏がビデオで祝福。ヨシムラジャパンの吉村不二雄社長は、加藤TDと12月3日にモナコで開催されたFIM表彰式に招待され「Gold Medal Nicolas Rodin del Valle」(二輪レースの普及や発展に貢献した人物や企業に贈られる)を受賞したことも発表した。
不二雄氏は「1978年のル・マン、ボルドールと24時間耐久に参戦した経験があるが、どちらもリタイヤに終わっている。今回チャンピオンを獲得できたことは驚きでもあるが、偶然ではなく、ライダーの判断、メカニックの迅速な対応、加藤TDの働きがあってのこと。この結果により、ヨシムラとして表彰されメダルを授与されたことは至福の限り」と加藤TDを称え、喜びを語った。
サプライズで、元TOKIOの長瀬智也が登場、会場がどよめく中で、加藤TDと吉村社長に花束を渡した。
長瀬氏は「僕は神奈川県に生まれ、オヤジが筑波でレースをしていたことで、レースが近くにあり、日本のモータースポーツのスピリッツにも魅了され、ヨシムラの応援団のひとりとして応援させていただいております。ずっとエンターテインメントの仕事をさせていただきましたが、その世界を出て進化するべく走り続けています。僕が人生の最後までにやらなければいけないと思っていることが、いくつかあり、その中のひとつが“レースを盛り上げる”というのがあります。ヨシムラがEWCでワールドチャンピオンとなったことは、少しぬるま湯につかった世の中にカツを入れてくれたんじゃないかとも思っております。速く走ることだけをシンプルに考えるヨシムラを、応援し続けていきたい。これからもレースで元気を与え続けてください」と祝辞を述べた。
EWCのテストライダーとして貢献した渡辺一樹と加藤TDのトークや、ヨシムラが九州にあった1950~60年代を知る雁ノ巣会九州タイミングアソシエーション太田祐三氏、倉留福生氏も檀上にあがり、ヨシムラ創業者のポップ吉村との思い出を語った。また、ヨシムラで全日本チャンピオンを獲得した辻本聡、鈴鹿8時間耐久で優勝経験のある加賀山就臣、酒井大作も登場。辻本はヨシムラ時代のジャンパーを着込み、切磋琢磨したライダー時代を振り返った。参列者には森脇譲氏をはじめとするモリワキファミリーや浅川スピードの浅川邦夫氏などを始め、ポップ吉村の愛弟子でもあるメカニックたちも出席。EWCを共に戦った海外勢からもビデオレターが届き、祝勝会に華を添えた。
(レポート:佐藤洋美 写真提供:ヨシムラジャパン)