もうずいぶん昔の話になるのですが、他のペンネームでこんな漫画を描いたことがあります。
主人公は39歳になるサラリーマン。長期ローンを組んで買った郊外の小さな家に、奥さんと二人の子供とともに暮らしています。
しかし仕事は毎日忙しく、また、得意先の接待などもあり、いつも早朝に家を出て帰りは夜遅くなってしまうので、なかなか家族と一緒に過ごす時間がとれないのです。
「いったい俺は何をやっているんだろう」。やりがいを感じる仕事の内容でもありません。年齢的な面もあるのか、だんだんとストレスが溜まってきてしまい、彼は悩むことが多くなります。
「俺の人生というのはこんなものなのか、、、」
「人生って何だろう? これまで自分は、本当に望むような生き方をしてきたのだろうか?」
「自分がこの世に生まれてきた本来の意味って何だろう?」
いつも原付バイクで駅まで行って、そこから電車に乗り、一時間半近くかけて都内へ通勤しているのですが、ふと気がつくと、なんと駅に向かわず、いつの間にか甲州街道(国道20号線)を西に走っていたのです。
もう会社へ行く気力もなくなってしまいました。実は彼は長野県の出身なので、久しぶりに地元にでも戻ろうか、と、そのまま甲州街道を走り、塩尻から国道19号、そして長野から国道18号へと走り続け、生まれ育った町に戻ってきます。しかし、両親はとうに亡くなっていて、実家も取り壊されているのです。お墓参りをしつつこんなことを思います。
「子供の頃、将来は絶対にこんなことやりたいって思ってたことっていったい何だったっけ? 俺の夢って何だったっけ?」
その日は卒業した小学校の片隅で野宿するのですが、翌日、そこへ地元出身の有名女子プロゴルファーがテレビ番組の撮影に訪れます。自分の中ではすっかり忘れていたその女性を見たとき、子供の頃、その女性と約束した事実を思い出します。そして自分の本来の夢が強烈に蘇ってくるのです。
彼は今回、国道を20、19、18と溯ることによって、18歳の頃の進路に悩んでいた自分に会うことができ、本当の夢を思い出すことが出来た、というストーリーなのですが、どうでしょうか? ワタシ的には結構面白いと思うのですが、ウケませんでした(苦笑)。
で、当時、取材を兼ねて、この国道20号から18号の途中までダラダラとバイクで走ったことがあります。わりと変化があって楽しい旅になったんですよ。
親の元から独立し生活をしていくことはとても大変なことです。しかも、生きることに真面目な人ほど繊細で傷つきやすく、苦しみも悩みも多くなるのだと思います。
世の中ほとんどの人がそれを乗り越え、苦しくとも頑張って生きているのですが、どうしようもなく弱い心を持った人は新興宗教にハマったり、酒に溺れたり、麻薬に手を出してしまったりするのかもしれませんね。ちなみにワタシの場合はバイクに跨り、旅をして温泉に入って、地元のラーメンを食べれば、人生上の悩みなんてふっ飛んでしまいますけどね。
そんなワタシにもたったひとつだけ悩みがあるとすれば、「いったいいつまでバイクに乗り続けることができるのだろう?」ってことでしょうか。バイクに乗れるってことが生きる楽しみ、それがワタシの生きがいなんだもんね。これからも力いっぱいアクセルを開けて、人生街道を走り続けようと思っております。(去年はたったの2399Kmしか走ってないけど)
毎回毎回つたない文章とへたくそな漫画や写真で申し訳ないのですが、みなさまどうぞ令和の2年もよろしくお願いいたします。